微細化すると寿命が縮むため
メモリーを縦に積むことで容量を稼ぐ
セルの寿命の短さを助長しているのが、微細化である。冒頭のスライド画像に戻ると、容量を増やすためにものすごい勢いで微細化を進めているのがわかると思う。
ところで、微細化というのは、セル全体の寸法をそのまま縮めるという意味であり、すると必然的にトンネル酸化膜も薄くなっていく。ということは、その分早く酸化膜が寿命を迎えるという意味であり、これがそのまま寿命の短縮につながることになる。
また微細化そのものも、このところ頭打ち気味であり、容量は増えないわ寿命は縮まるわ、しかしながら大容量化への要望は激しいわ、ということでフラッシュメモリー業界が考えたのは「それでは縦に積みましょう」という策だ。
最初は文字通り、素直に複数のフラッシュメモリーを縦積みして、間をTSV(Through Silicon Via:シリコン貫通電極)でつなぐというもの(下の画像の左上)だった。
画像の出典は、SamsungのISSCC 2014における論文より”
これだと確かに容量は稼げるものの、コスト削減にならない(前回も触れたがTSVを構築する分、むしろコストが上がる)ので、根本的な解決にならなかった。
そこで、2次元構造のFlashのセルを縦積みにするのではなく、根本的に3次元構造のセルを開発しましょう、という話になった。これに基づいて2007年に東芝が発表したのがBiCS(Bit Cost Scalable) NANDである。
BiCSの構造の概略は東芝のウェブサイトに掲載されているが、要するに縦方向にセルを並べる構造で、セルそのものも円筒形になっている。
画像の出典は、“東芝科学館”
この構造をBit Cost Scalableと呼ぶのは、製造コストが抑えられるからということだ。
画像の出典は、“東芝科学館”
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
-
第894回
PC
AMD「Ryzen AI Embedded X100」のリアルタイムAI制御が、Jetsonの弱点であるCPU性能を突く -
第893回
PC
インテル製GPU「Crescent Island」の正体、容量480GBメモリーでエージェント型AIとKVキャッシュ問題に挑む -
第892回
PC
Hot Chipsで明かされた「Wildcat Lake」の全貌 Foverosを捨てMCPを選んだインテルの舞台裏 -
第891回
PC
謎多き次世代Xeon「Diamond Rapids」を解剖、3D Meshの進化と新命令セットAPXがもたらす変革 -
第890回
PC
Samsung「SF2P」の全貌! GAA最大の弱点であるPMOS性能低下を克服し、TSMC追撃へ準備万端 -
第889回
PC
なぜ巨大チップは歪んで壊れるのか? SK HynixのHBM4「MR-MUF」とTSMCのCoWoS-Lを襲う熱膨張の罠 -
第888回
PC
NVIDIA Rubin Ultra開発中止の真相! 180層CoWoS-Lの歪曲トラブルと、急造ラックNVL576に透ける苦肉の策 -
第887回
PC
AIなしではもはや限界 TSMCが明かすメモリー開発にAIが不可欠となった現実 -
第886回
PC
CFETの足を引っ張るPMOSを救え! imecが提案する新絶縁層と、あえて精度を緩める「Notch Alignment」の妙手 -
第885回
PC
TSMCも次世代「CFET」の全貌を披露! Forksheetスキップの背景と、世界最小6T SRAM実証で見えた2030年への布石 -
第884回
PC
Samsungが次世代CFETの試作に成功! IBMの10万ドル方式に対抗する、量産重視な「一括形成プロセス」のリアリティ - この連載の一覧へ











