あいかわらず白菜など葉物野菜が高く鍋物離れが進んでさみしい昨今ですが、三菱電機が26日、野菜室がまんなかにある冷蔵庫の新製品を発表しました。同社によれば冷蔵庫市場で少なくなってしまった「野菜室まんなかタイプ」を復活させた形です。
三菱電機
三菱冷蔵庫MXシリーズ
503L、572L
3月30日発売
36万円前後~
http://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2018/0226-b.html
同社によると冷蔵庫の買い替えサイクルは約13年。13年前に冷蔵庫を買った人の53.3%が「野菜室まんなか」を使っています。野菜室まんなかを希望する人の66.9%は「野菜室はよく使うのでまんなかにあったほうがとりだしやすい」と回答。一方、「野菜室まんなか」が欲しくても買い替えられなかった人は84%もいたそうです。
理由にあげられたのは「野菜室まんなか」の製品点数が少ないという声でした。
同社によれば冷蔵庫市場では「冷凍室まんなかタイプ」が増え、2009年には「野菜室まんなか」を抜いています。なぜ「野菜室まんなか」が減ったのか。同社は省エネ目標値の達成に向けたメーカーの取り組みを理由の1つと推定。冷凍室や製氷室など同じ温度帯を1ヵ所に集めることで冷却効率を高めようとしたものと考えています。
もう一方には生活の変化もあります。共働き世帯が増え、まとまった家事の時間がとれなくなり、食材のまとめ買いや冷凍ニーズが高まったことで「大きな冷凍室がまんなかにあって使いやすい冷蔵庫」が存在感を示したとも考えられます。実際メーカー各社とも冷凍技術やチルド技術を特長とした大容量モデルをたくさん発売しています。
とはいえ買い替えたい製品がないと困るので、同社は、
・野菜室まんなかMX←New!
・冷凍室まんなかWX
という2シリーズの冷蔵庫をラインナップすることにしました。
MXシリーズの野菜室はWXシリーズに比べて2~3cmほど深めになっています。ケースで上下にわかれていて、ケースの左側には半玉のキャベツが入るようになりました。WXシリーズで半玉のキャベツを出すときはケースを奥にずらさなければいけなかったので便利です。
「まんなか野菜室」でも省エネにするためには同社独自の薄い真空断熱材を使っています。
1. 野菜室⇔-25℃程度の冷却器
2. 冷凍室⇔45℃程度の圧縮機
1と2両方とも室内と機械の間に真空断熱材を入れ、温度が移らないようにして省エネ化しました。同じように冷凍室と野菜室の間にも真空断熱材を使い、おたがいに温度が影響しないようにしています。なお同社の真空断熱材は通常のウレタンより薄いため、部屋同士をしっかり間仕切っても、収納できる食材の容量は減らないそうです。
三菱冷蔵庫の3大機能も搭載しています。
1.切れちゃう瞬冷凍
2.氷点下ストッカーD
3.クリーン朝どれ野菜室
切れちゃう瞬冷凍は、約マイナス7℃で食材を凍らせて包丁でも切れやすくするという機能。氷点下ストッカーDは、約-3℃から0℃で室内の温度を変えることでいたみやすい食材も長期間保存できるという機能。クリーン朝どれ野菜室は、野菜にLEDの光をあてることで光合成をおこしビタミン量などを高めるという機能です。
実際野菜室まんなかは便利です。
おばあちゃんの家にある冷蔵庫がまんなか野菜室なのですが、野菜室に入っている野菜や2リットルペットボトルは大概の冷凍食品より重いので、手元の高さにあると出し入れがむちゃくちゃラクです。共働き育児世帯としては買ってきた野菜の下ごしらえをすませて急速冷凍したほうが料理の手間が省けていいのではという考え方もできますが、世帯によって暮らしはさまざまです。
喫緊の課題は入れる野菜が高すぎることです。最近は野菜が高すぎるためか冷凍野菜の輸入量が増えているそうです(財務省貿易統計による)。そうなるとますます冷凍室ニーズが高まり、野菜室はニッチ機能と化していくことが予想されます。台風各位には活動を自粛いただきたく思っています。冷蔵庫の未来にもかかわる話なので前向きにご検討いただければ幸いです。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ、家事が趣味。0歳児の父をやっています。Facebookでおたより募集中。
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