弱いつながりの積み重ねが強力なビジネスインフラに
名刺管理でビジネス効率を最大化する「Sansan」を使ってみる
2018年01月19日 09時00分更新
今回から4回に渡って紹介するのは、名刺管理サービスの「Sansan」。松重豊さんが出ているテレビCMで、名刺を管理していないことでトラブルに陥り、「それさぁ、早く言ってよぉ~」と嘆くのを見た人は多いだろう。とはいえ、Sansanで何ができるのかがわからない人も多いのではないだろうか。名刺をデータ化してくれるのは確かなのだが、その先にある業務効率化や業績アップにつながる仕組みがスゴイのだ。初回は、Sansanでできることと何が実現できるのかを紹介しよう。
名刺を一括管理すると人脈を効率的にビジネスに活かせるようになる
「Sansan」は企業で扱う名刺を一括管理するクラウドサービスだ。もちろん、B2Bなのだが、テレビCMを積極的に利用し、知名度が急速に向上している。Sansan株式会社は2007年に創業し、現在は国内外に複数の拠点を構え、導入企業は6000社以上。法人向けの名刺管理サービスとしては、シェア81%を獲得しているNo.1企業だ。三井住友銀行やみずほ銀行、トヨタ、電通といった大企業から、経済産業省や徳島県、北九州市といった官公庁まで広く利用されている。
ユーザーはSansanから貸与されるスキャナーで名刺をスキャンすると、データベースに人物情報が登録される。紙というアナログの名刺をデジタル化することで、ビジネスシーンに大きな変化が起きるのだ。
単に名前や会社名で検索可能になるだけでなく、その情報を企業で共有することが価値の創造につながる。たとえば、Aさんが交換した名刺は今すぐには結果に結びつかないものだとしても、同僚のBさんからすると探していたキーパーソンという可能性がある。また、新人の時に交流会で交換した同業他社の新人が、数年後に大出世して決裁権を持っていることだってあるだろう。これらがSansanを使うことで、シームレスに情報を共有でき、スムーズに欲しい相手にアプローチできるようになる。
従来型の名刺管理では、自社の複数部門もしくは担当者ごとに独自管理しているので、同じ名刺を何度も入力する無駄な手間が発生する。さらに、せっかくつながっている人材が社内にいるのに、他部門の人間がイチから関係構築するのも非効率すぎる。人脈をクラウド管理することで、大幅な業務効率の改善が可能になり、働き方改革に大いに貢献してくれるのだ。
Sansanは、名刺交換を「弱いつながり」と定義し、その弱いつながりが積み重なることでビジネスインフラになると考えている。ある程度の規模で名刺情報を蓄積する必要があるが、本来属人化される情報である名刺を組織全体で共有することで、資産として活用できるようになる。つまり、本来であれば失注していたり、そもそもキーパーソンにたどり着けなかったところが、Sansanを使うことで受注につながる可能性がぐっと高くなるというわけだ。
前述のように人脈を検索して効率的にアプローチするだけでなく、人脈リストにマーケティング施策を打ったり、リリースを送付したりできる。年賀状やお中元を手配するのも簡単だ。取引先の人事異動があっても、誰かが名刺を交換すれば即社内で共有できる。現場の営業だけでなく、秘書や総務、広報をはじめ全社で活用できるサービスなのだ。
個人情報を保護しつつもほぼ完ぺきにデータベース化する
名刺をデジタル化するだけなら、さまざまな方法がある。連絡帳アプリに手動で入力してもいいし、OCR処理でテキストを認識してくれるアプリもある。しかし、Sansanでは、ほぼ100%(約款上は99.9%保証)の精度でデータ化するために、OCR処理に加えて人力でも入力している。通常、文書のOCR処理というと、そこそこの精度があればキーワード検索できるので、よしとされている。しかし、名刺情報では、電話番号やメールアドレスが1文字間違っているだけで使い物にならなくなるので、この精度はありがたいところ。
人力入力というと、個人情報の保護が気になるかもしれない。たとえば、有名人の名刺に住所や電話番号が書いてあれば、流出する可能性があるからだ。そこで、Sansanでは名刺のデータをばらばらに分解して、オペレーターに見せている。たとえば、名字と名前は別の担当者に見せて入力してもらっており、オペレーターは名刺の全貌を見ることができないのだ。
Sansanのデータには、名刺以外の情報も登録される。特に、名刺を交換した担当者と交換日の情報は重要だ。さらに、タグを付けることもでき、「201800201セミナー参加者」や「DM一括配信リスト」といったキーワードで検索できるようにしておけるのだ。
Sansanスキャナで多数の名刺も一気に取り込める
日々増え続ける名刺は、Sansanスキャナでまとめて取り込む。事業所ごとに設置し、全員で共有する仕組みだ。簡単なタブレット操作で、その日に交換した名刺をスキャンするだけ。登録が完了すれば、ウェブアプリやスマホアプリで確認し、活用できるようになる。
ライセンス費用は、月間にデータ化する名刺の枚数から見積もる。一般的に、外部の人間と会う職種だと1人当たり月間100枚くらい交換するので、500人規模の企業だと月間5000枚。年間だと6万枚という感じになり、この場合だと600万円/年前後になるイメージ。ミニマムだと、5人の小規模企業だと6万円/月前後。もちろん、正確な金額はケースバイケースで、見積が必要になる。なお、前出のSansanスキャナは、月額1万円/台となる。
無料試用もできるので、Sansanのウェブサイトから申し込んでみよう。
次回は、実際にお借りしたSansanスキャナを使ってデータを登録する手順から、Sansanのデータベースの使い方を紹介しよう。
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