世間では「人生百年時代」とか言いながらも、普段の生活において一向に“無駄を楽しむ”方向に向くことがなく、逆に無駄のない合理的で世知辛い生活や、人生を追い求める傾向がますます強くなってきていると感じることが多い昨今。
一方、産業界ではメディアの追い風を受けて飛ぶ鳥をも落とす勢いで登場したIoTワールドも、徐々に人々や世間から当初のような熱い眼を向けられなくなってきていると感じる。
昔から、ちょぼちょぼの企業が寄り集まって連合やコンソーシアムを作って、体制が加速したり成功したことは極めて数少ない印象だ。
政府主導の護送船団方式も同様だ。短期間で目的を成就したり、大きなムーブメントを起こせるものは、哲学と思想と技術を持ったずば抜けた強者がいて、多くの後発の企業と社会がそれに便乗することでメリットを確実に得られることに気づいた時だ。
そういう意味で現在のIoTは未着火のまま、うっかりすると消火されてしまう可能性も高い新進産業だ。
政府や公共エネルギー産業、ネットワーク企業などに牽引力として期待する声も大きいが、若いエンジニアの遊び心と能力、熱意、センス、そして未来はまったく見えていなくても、預言者のごとく、感と経験と気迫で、将来の事業規模と利益の拡大を説得するに足る社会システムを描ける達人が必要な時期なのかもしれない。
そんな両者のいずれにも無縁の遊び心だけの筆者は、IoT製品だと言われれば誰もがうなづく2つの製品を、何も考えることなく組み合わせて、ただただ人生百年時代の有意義な時間潰しを楽しんでいる。
組み合わせる最初の製品は、「MicroBot Push」(マイクロボット・プッシュ)と名付けられたロボットフィンガーだ。
現在の製品はIndiegogoで2016年にデビューした初代のマイクロボット・プッシュの改良機である「MicroBot Push 2」に成長している。
MicroBot Push 2と組み合わせるもう1つのIoTガジェットは、以前紹介した、大好物や定期的に購入するアイテムなどをサイクリックに注文するユーザーに便利で小さなハードウェアだ。
Amazonの「柿の種Dash」端末とMicroBot Push 2を組み合わせて遊ぶ
毎回PCやスマホの画面から選んで注文することなく、専用のボタンを押すだけで事前に設定した任意の商品を自動的に注文できる「Amazon Dash」ボタン端末だ。
今回は、これら2つを無理やり組み合わせて暇つぶしをあえて楽しんでみたい。
物理ボタンを遠隔操作で押せる「MicroBot Push 2」
パッケージの中はMicroBot Push 2(第2世代)本体と、スペーサー(3枚)、両面テープやベルクロ、黒いゴムのクッションなどが入っている
MicroBot Pushは、すでに人の生活に使われているあらゆるボタンなどのスイッチを物理的に押すために、人の指の代わりをする内蔵バッテリー駆動のロボットフィンガーだ。本体には人の指先の動きをするモータードライブで伸縮する金属製のロッド(フィンガー)が取り付けられている。
そして、本体背面にはスライド式の小さな主電源スイッチと充電のためのmicroUSBポートも用意されている。
バッテリードライブのガジェットの場合、なにはともあれまず充電だ。そして充電が終われば、取り付けのための準備をしたい。
ハンドスピナーと比べるとおおよそのサイズ感は理解できるだろう
MicroBot Push 2は、サイズは小ぶりだが、コンパクトな家電品のスイッチ周りに取り付けるにはかなりのスペースが必要でいろいろ工夫が必要だ。残念ながら人の指のようにフレキシブルな融通性は期待できそうもない。
そんなMicroBot Push 2でも意外と簡単なのは家電品のリモコンスイッチのボタンを押すことだ。
リモコンスイッチが確実な動作を約束する遠隔装置であれば、その遠隔装置の任意のボタンを押すことで、オーディオ装置をプレーバックしたり、エアコンをオン/オフしたり、よりできることが大きく広がりそうだ。
もちろん、押される側のボタンやスイッチの位置関係は個々に異なる可能性が高いので、MicroBot Push 2の方もそれに合わせて多少の変更や対応は必要だ。しかしMicroBot Push 2の側で変更可能なのは、本体の高さと向きの調整くらいだ。
押す対象となるボタンやスイッチの高さに応じて厚さ約3mmのスペーサーを最大3枚まで積んで高さ調整ができる。また、後述するスマホ側のアプリのキャリブレーションで、ロボットフィンガーの出っ張りを20~100%まで段階的に調整可能だ。

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