8Kテレビは不透明だが8Kディスプレーは定着する
もう1名のゲストスピーカーはテクニカルジャーナリストの西川善司氏。
西川氏は今年を8K元年と位置付け、テレビについては2024年ぐらいを目途に定着するか廃れるかの結果が出ると予測。
その論拠として、歴史的に技術が実用化されてから5~7年で廃れるか、定着するかが決まってきたと指摘した。たとえば2004年にテレビとして初めて製品化されたフルHDは、2012年には携帯電話で実用化されるほど認知された。
その一方、2010年に製品化された3Dテレビは、2017年では対応テレビがゼロ(ホームプロジェクターで一部搭載)となり、7年で廃れたことを挙げた。
8K放送については2018年12月から実用化されるが、8Kで放送するのはNHKのみで、さらに既存のアンテナやブースターなどの受信装置の刷新も必要なため、普及するかどうかは不透明とした。
しかし、映像パネルとしての8Kは製造メーカーが高精細化に前向きで、ニーズもあるので当たり前のものになるだろうと予想。すでに1000ppiオーバーの高精細パネルは量産レベルに達しているという。
どんな用途で使われるかについては、デジタルサイネージやCAD、絵画などのデジタルアーカイブといったデザイン分野や、内視鏡手術や3D銀河地図といった医療・科学技術分野、そして高解像度化していくのが当たり前だと思われているPCディスプレー分野などが本命として挙げられた。
さらに、次世代の通信システムである「5G」と8Kも関係が深いと指摘。10Gbpsという転送速度もさることながら、遅延時間が1ms台というのが大きく、たとえばVRではユーザーの向いている方向の情報を送信して、その結果を受信するまでの時間が短くて済むため、8K VRで有用なのではないかとした。