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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情第430回

業界に痕跡を残して消えたメーカー CG業界を牽引したSGI

2017年10月23日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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MIPSを買収するという荒業で
高性能プロセッサーを完成させる

 問題はこれらの後継だった。SGIはR3000とR4000の後継としてよりパワフルなプロセッサーをMIPS Computerに求め、MIPSはこれに応えてR6000とR8000の開発にかかるが、資金難などの理由で開発が滞りがちであり、1992年になんとかR6000はリリースするものの、いろいろ問題が出るなど困ったことになっていた。

 そこでSGIは、R8000の完成を担保するために同社を買収することを決める。買収は株式交換の形をとり、2億3000万ドル相当を支払っている。さすがにこの買収があった1992年は1億1840万ドルの営業損失を計上しているが、市場からはこの買収は好意的に見られており、株価への影響はそう大きくなかった。

 この買収によりMIPS部門はまずR4400、ついでR8000を完成させ、より高性能なプロセッサーの開発に向かうことになる。そしてIris CrimsonはR4400ベースに、Iris IndigoはR4000ベースにそれぞれプロセッサーを更新して、より性能を高めることになった。

MIPSのマイクロプロセッサー「R4400」。写真は東芝がライセンスを受けて製造したもの

 このMIPSの買収の前後あたりで、Clark博士はSGIを離れる。すでにCTOの座からも退いていたClark博士は、取締役会議長には1994年1月まで残ってはいたものの、基本的には投資家として活動することを決めており、「種」を探しているところだった。

 そのClark博士が出会ったのがMarc Andreessen氏であり、Netscapeの創業につながることになる

今度はCRIを買収
これが思わぬ方向に向かう

 次にSGIが狙いを定めたのが映画業界であり、まず1993年にはLucas Film傘下のILM(Industrial Light and Magic)とスペシャルプロジェクトを開始する。ILM自身は1987年からSGIのワークステーションを利用しており、SGIとの共同プロジェクトには乗り気だった。

 1995年にはDreamWorksともチームを組み、彼らの3DレンダリングソフトウェアをSGIのマシンで動かすといった取り組みがなされている。また1997年には、VRML(Virtual Reality Modeling Language)向けツールを開発していたParaGraph International Inc.も買収している。このあたりまでは理解できる話である。

 いまいち理解できないのが、1996年のCRI(Cray Research, Inc.)の買収である。SGIの立場で説明すると、当時SGIはローエンドが1万ドル程度、ハイエンドが100万ドル程度のマシンを販売していた。ところがそのローエンドはPCが急速に勢力を伸ばしてきており、苦しいポジションにあった。

 もちろんローエンドへの対抗策は考えていくとしても、ここでさらに売上を伸ばすのは困難である。そこでハイエンド方面をより延ばす方向に行こう、という判断だ。

 CRIは1995年当時、19億ドルほどの科学技術計算市場で43%あまりのシェアを持っており、両社の合併で40億ドル規模の売上が達成できる見通しだった。この買収でSGIは7億6700万ドルを支払っている。

 さてこの結果は? というと、1997年度こそ36.6億ドルの売上と7860万ドルの営業利益を計上したが、1998年度の第1四半期は7億6800万ドルの売上に対し、5550万ドルの営業損失を出す。これを受けて700~1000人規模のリストラが行なわれ、製造工場2つも売却、McCracken氏も責任を取って辞任する。

 後任はまたしてもHPから、コンピューター部門の副社長を務めていたRichard Belluzzo氏が1998年1月からCEOに就く。

1999年に恵比寿ガーデンプレイスで行なわれた「SGI Visual Revolution'99”」のために来日し、記者会見するRichard Belluzzo氏

 Belluzzo氏はただちに社内を再編するとともに、不採算部門の切り離しなどを行ない始め、その結果としてMIPS部門はMIPS Technologiesとして再び独立企業に戻ることになる。またCRAY部門もやや遅れてだが、2000年にTera Computer Co.に売却される

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