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データ統合からMDMやDQ、API管理までを包含、機械学習エンジンによるデータ活用支援も

インフォマティカ、新たなデータ管理クラウドサービスを発表

2017年10月23日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 インフォマティカ・ジャパンは10月20日、クラウド型データ統合/データ管理サービス「Informatica Intelligent Cloud Service(IICS)」を国内発表した。データ統合機能に加え、新たにマスターデータ管理(MDM)やデータ品質(DQ)などの機能も提供するほか、機械学習エンジンによるメタデータ主導型インテリジェンスを通じて“次世代のiPaaS(Integrated Platform as-a-Service)”を目指すという。正式リリースは2018年第1四半期の予定。

 同日の発表会では、米インフォマティカでクラウド、ビッグデータおよびデータ統合担当のSVP兼GMを務めるローネン・シュワルツ氏が、インフォマティカ製品の優位性やIICSにおける新たな取り組み、特徴などを説明した。

「Informatica Intelligent Cloud Service(IICS)」の概要。データ統合やマスターデータ管理(MDM)、データ品質&ガバナンス、データセキュリティといった各種機能(コンポーネント)を、単一インタフェースで利用できる

米インフォマティカ クラウド、ビッグデータおよびデータ統合担当SVP兼GMのローネン・シュワルツ(Ronen Schwartz)氏

マイクロサービスアーキテクチャを採用、機能を大幅に拡張

 IICSは、エンタープライズクラスのデータ統合、アプリケーション統合、データ品質&ガバナンス、マスターデータ管理、API管理、データセキュリティといった機能を、クラウドを通じて提供するサービス。ITユーザーおよびビジネスユーザーが、メインフレームからオンプレミス、クラウド、IoTまで、あらゆる場所(アプリケーション)にあるデータを容易に統合可能にプラットフォームとなる。

IICSは、あらゆるデータをあらゆるパターンで統合し、あらゆるユーザーがデータ活用できるプラットフォームを目指す

 同社はこれまでもクラウド型データ統合サービス「Informatica Cloud」を提供してきたが、IICSでは、同社製品の共通基盤である「Informatica Intelligent Data Platform(IDP)」をベースとしながらもアーキテクチャの刷新を図り、現代のクラウド環境に合わせてエクスペリエンスを再構築するとともに、機能も大幅に拡張している。

 具体的には、新たにマイクロサービスアーキテクチャを採用することで「アジャイル開発が可能になり、新たな技術の追加と提供がより迅速にできるようになった」(シュワルツ氏)。また、従来サービスはデータ統合機能のみだったが、IICSではそれに加え、マスターデータ管理やデータ品質、データセキュリティといったデータ管理の各種機能も提供する。こうした各機能のサービスは、まとめての(バンドルでの)利用だけでなく個別での利用も可能になるという。

IICS(Integration Designer)のインタフェース。ユーザーエクスペリエンスも大きく刷新されたという

機械学習エンジン「CLAIRE」がユーザーのデータ活用を支援

 もうひとつの特徴として、IDPが備える機械学習エンジンの「CLAIRE」が、メタデータに基づいて自律的にデータの内容やコンテキストを理解し、それに基づいてユーザーにさまざまな指針を与え、データ活用をサポートする機能も提供される。

 IDPは元々、他社のミドルウェアやアプリケーションなども含め、自社内にあるあらゆるメタデータを集約することで「どこにどんなデータがあるのか」を把握できる能力を備えている。ここに機械学習技術を適用して、より高度なインテリジェンスを導き出すのがCLAIREだ。

 たとえばデータ資産カタログの「Enterprise Information Catalog」ツールでは、CLAIREが各データの「ビジネス上の意味」(これは「顧客」データ、これは「売上」データといったこと)を理解しており、その意味に基づいて社内のあらゆるデータ資産が検索できる。また、検索結果はその意味に基づいて「Google風に」ランク付け表示されると、シュワルツ氏は説明した。「これからマルチクラウド化が進むと、どこにどんなデータ資産があるのか、全体を把握して見つけ出せる能力がとても重要になる」(シュワルツ氏)。

「Enterprise Information Catalog」の概要。企業全体のデータ資産を可視化し、セルフサービスによるデータ活用を促す

 さらに、CLAIREによって「自律型のインテグレーション」能力も備えていくと、シュワルツ氏は説明した。具体的には、たとえば新しいアプリケーションやデータベース(つまりデータソース)がIICSに追加(接続)された場合に、CLAIRがそこにどんなデータがあり、どう活用すべきかをユーザーにガイダンスするといったものだという。

 今回の発表に伴い、IICSはプレビュー版の提供を開始する。2018年第1四半期に予定される正式リリース時には、日本語化された状態で提供を開始するとした。

 シュワルツ氏は、インフォマティカはiPaaS市場でおよそ20%のシェアを持っており、ガートナーのマジッククアドラントでは「リーダー」ポジションに位置づけられていると紹介した。現在、同社のクラウド事業は「前年比50%増」のペースで成長しており、クラウド型での利用デマンドは強いと感じているという。今年、来年中には、オンプレミス型とクラウド型の顧客比率が半々になるのではないかと述べた。

 課金体系についても、今回のIICSに関しては「新しいかたちを模索している」という。これまでは処理したデータ量に基づく課金体系だったが、それだけでなくアプリケーションの接続数や利用した機能数などに応じた課金体系、さらに中小規模の企業をターゲットとした安価な課金体系なども考えていきたいと語った。

 「これまでのiPaaSはデータ統合(integration)にフォーカスしたクラウドサービスだったが、インフォマティカでは今回、その機能を大幅に拡張した。IICSでは、完全な“DataManagement-as-a-Service”を提供する」(シュワルツ氏)

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