GoogleとMotorola、MicrosoftとNokia
ソフトウェア企業によるハードウェア事業の買収は……
Huawei Technologies、Lenovoなど中国企業も同社の買収を狙ったと言われているが、GoogleはHTCを丸ごと買収するのではなく、HTCのブランドは残る。
Googleが買い取る2000人のスキルはPixelで実証済み。Pixelの販売台数は8ヵ月で100万台と言われており、次期モデル(Pixel 2?)は10月4日(現地時間)にも発表と言われている。Googleはこれに加え、HTCの特許の非独占的ライセンスを受ける。HTCはハイエンドにフォーカスし、Viveも残る。
Googleに目を向けると、狙いがよくわからない。狙いがハードウェアの獲得だったとしよう。Googleはソフトウェアとハードウェアを垂直統合するAppleのモデルを以前から追求してきた。今となっては特許目的だったとされているMotorola Mobilityとだって、うまくいけばという思いがあったはずだ。それでもAndroidを採用するメーカーとの関係を壊すことはできず、結局Lenovoに売却するという形で終わった。
Googleは2016年、MotorolaからRick Osterloh氏を引き抜き、同氏がハードウェア部門を率いている(Osterloh氏はGoogleがMotorola MobilityをLenovoに売却時に同社を去っていた)。そしてこの1年で、「Google Home」「Google VR」などのハードウェア製品をリリースしている。
だが、HTCから獲得した2000人で自社ブランドのスマートフォンを作っても成功するかどうかはわからない(ソフトウェア側がハードウェアを獲得してうまくいかなかった例として、MicrosoftとNokiaもある)。もしかするとそのリソースでスマートフォンではないものを計画しているのかもしれない。
もしくは単純に、今回の取引はHTCの救済(あるいは恩返し)に過ぎないのかもしれない。言えることは、端末メーカーを手中に収めることができるが、その未来がバラ色には見えないということだろう。残念ながら。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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