山根博士の海外モバイル通信 第359回
ひとつのベース端末から4つの派生モデルを作り分ける手腕が光る
アメリカで大人気! ZTEが6型ディスプレーの大型スマホを続々投入中
2017年09月14日 10時00分更新
アメリカのスマートフォン市場で、ZTEがシェアを着々と伸ばしているとのこと。Best Buyのプリペイドコーナーへ行けばZTEのスマートフォンは大手MNOからMVNOまで各社が扱っており、低価格品からミドルレンジモデルまで種類も豊富です。
カウンターポイントの調査によると、2016年第4四半期のZTEのアメリカでのスマートフォンシェアは10.7%。AT&TやT-Mobile、Sprintといった各キャリアの販売台数でもシェア3位。そしてMVNO向けのプリペイドもよく売れています。その中でも強化しているのが大画面モデル、少し前まで“ファブレット”と呼ばれていたカテゴリーの製品です。ZTEのプリペイド向けスマートフォンの主力製品は、6型ディスプレー搭載モデルがずらりとラインアップされているのです。
まずはプリペイド向けとは言えデュアルカメラを搭載する「Max Blue LTE」。Snapdragon 625を搭載、メモリー2GB、ストレージ16GBとミドルレンジに位置する製品です。ディスプレーは6型、この手の製品ではHD解像度(720×1280ドット)のモノが多いのですが、こちらは1080×1920ドットのフルHD解像度でメイン機としても使えます。外部コネクターはUSB Type-Cで急速充電の“Quick Charge 2.0”にも対応。MVNOのTracfone向けの製品です。
本体サイズは142.2×71.1×7.6mm。大柄ですが、片手で持つことも十分可能です。本体の厚さも実際には思ったほどには感じません。この大画面で動画を見るのもよさそう。カメラは背面に1300万画素×2、フロントに500万画素。199ドルとSIMロックの有るプリペイド製品の中では上位に位置する価格帯ですが、性能は悪くありません。
続いてのモデルはVirgin MobileやBoost MobileなどSprint回線を使うMVNO向けの「Max XL」。Snapdragon 625、メモリー2GB、ストレージ16GB、6型フルHD解像度ディスプレーとスペックはMax Blue LTEとほぼ同等。通信方式はLTE/W-CDMA/GSMに加え、CDMAに対応するのも両モデル共通仕様です。カメラは1300万(リア)+500万(フロント)という構成。価格は129.99ドルですが、現在は99.99ドルで販売中(SIMロック有り)。
両者を比べてみると本体のデザインを若干変えているほか、背面の仕上げも大きく変えています。Max Blue LTEは落ち着きのあるブルー。デュアルカメラもさりげなく目立ちます。一方でMax XLは同じマット系ながら、布のような質感を持たせた表面処理が目立ちます。スピーカーの穴の形状も両者変えていますね。指紋認証センサーの位置がほぼ同等なので基盤は同じなのでしょうが、きちんと違う製品に作り込んでいるのです。
ZTEに限らず各メーカーはアメリカ向けに独自モデルをいろいろと出していますが、ZTEのスマートフォンのグローバルブランドのひとつと言えば「Blade」。アメリカでもその名を付けたスマートフォンを出しています。
MetroPCS向けの「Blade Z Max」は前2モデルと基本スペックは同じですが、ストレージは32GBに強化。リアカメラは1600万画素+200万画素で、ボケの効いた味わいある写真を撮影可能です。発売開始時は179.99ドルでしたが、現在は129.99ドルで販売されています(SIMロック有り)。
そしてCricket Wireless向けの「Blade X Max」もストレージは32GB。どうやらBladeブランドモデルがストレージアップの上位機、ただのMaxモデルはベーシックモデルと分けているようです。価格はSIMロック付きで99.99ドルから129.99ドル。なお紹介した全てのモデルに「Max」の名前が付いているのは、これが大画面の意味だからです。他社では「Note」や「Ultra」という愛称ですね。
さて、このBlade X Maxだけは他のモデルとは異なりフロント左上に「ZTE」の名前が入っています。他のモデルではZTEの名前が背面に入っているのですが、その理由は背面を見るとわかります。
Blade Max Xの背面を見ると、キャリア名の「cricket」の文字が指紋認証センサーの下に入っています。他の3モデルはそこにZTEの名前が入っていますね。他のモデルはMVNOの別キャリアからも出るケースがあるのでキャリア名は入っておらず(Tracfoneは下部にロゴ入り)、一方Blade Max XはCricket専用品ということでこんな仕上げになっているのかもしれません。なお、背面仕上げはこちらもイメージを変えていることがわかります。Blade Z Maxのマット仕上げは高級なイメージです。
ひとつのベース端末から4つの派生モデルを作り分けるのはなかなかうまい戦略。6型フルHD解像度ディスプレーなら日本でも十分受け入れられるかもしれません。Axonシリーズなどハイエンド製品が魅力のZTEですが、アメリカ向けのミッドレンジ機の日本投入も検討してほしいものです。
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