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CGでも“1回限りのライブ”を! 初音ミクのリアルタイム3Dライブを支えるPCとは

2017年09月28日 19時00分更新

文● ジサトラショータ

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「導入以来、PCが原因の事故はゼロ」

現場で使用されていたG-GEAR。GeForce GTX 1080 Tiを搭載した最新のハイスペックPCで、リアルタイムに映像をレンダリングしている

――さっそくですが、導入されているPCの話に移りたいと思います。今回の企画に『G-GEAR』は何台ほど、どのような用途で使われていますか?

玖緒 映像のリアルタイムレンダリングのために、『G-GEAR』を正と副、計2台で運用しています。『ドクター・コッペリウス』(編注:作曲家・冨田勲氏の追悼特別公演。『R3』を用い、初音ミクとオーケストラ、バレエダンサーのリアルタイム共演を実現した)の時はレンダリング用のPCを6台導入しましたが、その際もメイン3台、サブ3台の運用でした。要するに、出力するモニターの数だけ正と副を用意しているという感じです。メイン機に故障がない限りサブは使わないので、実際の演目で利用しているのは1台とか3台ということですね。

――リアルタイムレンダリングということで、PCには高い性能が求められると思います。導入しているPCの構成はどのようなものでしょう。

玖緒 PCの選定はTSUKUMOさんや映像担当に任せていますが、基本的にはそのとき選べる一番いいものを導入するようにしています。今回で言うと、GPUはGeForce GTX 1080 Ti、CPUはCore i7-7700Kという構成ですね。2台とも同じスペックです。

――今回も最新のPCを導入されたとのことですが、以前のPCに比べ、より快適になったポイントはありますか?

© Crypton Future Media, INC. www.piapro.net

玖緒 実は今回から、『17(イチナナ)』モデルという初音ミクの新しいモデリングデータをライブで使用するんですね。このモデルが非常に(処理が)重たいんですよ。旧モデルは当時の技術力などもあって、シェーダーなんかも比較的軽いものを使っていたんですが、今回すべて刷新しました。で、実際に『17』モデルとライブに付随する要素を合わせた状態で、まず3年前ぐらいに導入したPC上で動かしてみたんですが、fpsが60を割り込んでしまって。

――ライブに付随する要素、というと、具体的にどのようなものですか?

玖緒 これも今回が初めての試みなんですが、ミクを投影するスクリーンの枠の周りにLEDライトのバーを付けたんですね。それをUnity上にライトとして作りこんで、ミクのモデルと連動させているんです。それで何ができるかと言うと、フレームには合計240個ぐらいライトを置いているんですが、そのライトの動きに連動してミクのモデルにも色を乗せられるんですよ。普通のコンサートだと、会場のライトがミクに当たってもミクに色は乗らないんです。臨場感を出したかったんですが、これをやってみたら、新モデルと合わせて処理がずいぶん重くなってしまった。60fps以下になると、どうしてもカクツキが目立ってしまいますよね。そこで今回、TSUKUMOさんのご協力で最新のハイスペックPCを導入することで、なんとか60fpsを保てるようになりました。

――技術的にも新しいことをされていると、最新のPCは必要になってきますよね。ちなみに、『G-GEAR』を導入される前の環境はどのようなものでしたか?

玖緒 実はリアルタイム3DCGの企画を始めたときからTSUKUMOさんのPCを導入していて、そこからずっとお世話になっているんです(笑)。

 それ以前だと、映像担当の人間はワークステーションタイプのノートPCを利用していたのですが、持ち運びは楽だけどどうしてもfpsが出ないと。Maya(編注:Autodeskの3DCG制作ソフトウェア。ゲームやアニメーション制作で圧倒的なシェアを誇る)が動く前提でデスクトップPCを探していたんですが、そこでTSUKUMOさんに出会ったという感じですね。

――そもそも長くお付き合いをされているということですね。実際に利用されてみての印象も良かったということでしょうか。

玖緒 はじめて『G-GEAR』で『R3』を舞台で動かしたのが『イーハトーヴ交響曲』(編注:宮沢賢治の文学作品を題材とした、冨田勲氏作曲の交響曲。2012年の初演から初音ミクとコラボレーションした公演を行い、オーケストラ・合唱とミクの共演を実現した)の再演からで、そこからはずっと映像投影に『G-GEAR』を利用しているんですが、実はそのときから今まで、PCに起因するトラブルがひとつもないんですね。

 こういう舞台機材で数年間の事故率がゼロ、というのは(導入する理由として)本当に大きいです。そのあたりの信頼性が一番で、長くTSUKUMOさんを利用させていただいています。

――最後になりますが、今後の展望をお聞かせください。

玖緒 最初にも言いましたけど、自分でライブを見に行きたいですね(笑)。やっぱり、システムを組んでポンと置いて、あとは自律システムが勝手にステージを進行させていく、というものを作るのが最終目標なので。そこはTSUKUMOさんのお力もお借りしつつ、挑戦していければなと思います。

――本日はありがとうございました。


提供:Project White

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