このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

Windows Info 第92回

Windows 10の次期アップデート、Fall Creators Updateでの重大な進化点とは?

2017年07月02日 10時00分更新

文● 塩田紳二 編集● ASCII編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

Fluent Design Systemでデザインシステムを一新
Android/iOSとのアプリ共通化を目指していく

 Windows 10は、Windows 8.1 Update時点のモダンスタイルをベースにUWPのデザインスタイルを定義した。つまり、Windows 10は固有のデザインスタイルを持っていなかったわけだ。

 これまでのWindowsのメジャーアップデートでは、新しいデザインシステムの導入が行なわれることが多かった。たとえば、Windows Vistaでは、Aeroと呼ばれる新しいスタイルが導入され、さらに改良されてWindows 7に引き継がれた。Windows 8ではMetroが導入され、8.1や8.1 Updateでも改良が進み、Windows 10に引き継がれた。

 そして、「Windows 11」に向けて、このタイミングでデザインスタイルが更新される。それがFluent Design Systemと呼ばれるものだ。3年周期で行われていたWindowsのアップデートでは、いきなりデザインシステムが変わったが、Windows 10では段階的にアップデートされていくため、まずは、システム側の対応をRS3から開始する。

 現在提供中のWindows Insider Preview Build 16226では、スタートメニューとアクションセンターがFluent Designになっているという(アクションセンターのほうが違いがわかりやすい)。ただし、リリース時の情報によれば、透過性の表示に問題があり、アクションセンターが透過表示されない不具合があるらしい。

現在配布されているWindows Insider Preview Build 16226では、アクションセンターのデザインがFluent Design Systemを使うものに変更になっているという

 RSシリーズがWindows 10の次となるメジャーアップデートを目指すという点から、デザインシステムの変更は自然なものではあるが、このデザインシステムの変更には、もう1つの目標がある。

 デザインシステムは、アプリケーションの見た目を作るために、GUI部品とそれをレイアウトするシステムやウィンドウを提供する。また、Windows 8のストアアプリが、横スクロールするアプリのスタイルが標準になったように、デザインシステムは、ユーザーインターフェースの構造も定義する。

 つまりFluent Design Systemの導入は、UWPの標準的なスタイルを変更するものなのである。もちろん互換性があるために、Fluent Design導入以前に作られたアプリも、そのままのスタイルで実行できるが、今後はFluent Designに準拠したアプリを作ることが求められるわけだ。

 ここで、マイクロソフトが開発者にユーザーインターフェース変更を要請するには、マイクロソフトが進めているUWPアプリのマルチプラットフォーム化に関係がある。RS3を発表した今年5月のイベントでは、同時に「XAML Standard」が発表された。これは、マルチプラットフォームで利用可能なXAMLを定義するものだ。XAMLとは、Windowsでユーザーインターフェース部分を記述する「言語」だ。たとえば、ボタンを押したときにへこんだり光ったりする効果はXAMLで記述する。

 これまで、UWPアプリは、マイクロソフトが買収したXAMARINフレームワークを使い、コアロジックの部分は、UWP(もちんろWindows10 Mobileを含む)、Android、iOSで共通化できたが、ユーザーインターフェース部分に関しては、それぞれのプラットフォームのやり方で開発する必要があった。

 しかし、XAMLスタンダードでユーザーインターフェースを記述すれば、それをWindowsでも、AndroidでもiOSでも動かすことが可能になる。

XAML Standardを使うと、Windows UWP(画面左)、Android、iOS、Windows 10 Mobileのユーザーインターフェースをまとめて記述することが可能になるという

 すでにマイクロソフトは、マルチプラットフォームの.NET実行環境である.NET Coreや、マルチプラットフォーム共通ライブラリとなる.NET Standardを発表している。このXAML Standardの登場により、ほぼ同一のソースコードをマルチプラットフォームで動作させることが可能になるわけだ。Fluent Designにアプリを対応させることは、XAML Standardを使うことにほかならず、これにより、開発者がアプリをマルチプラットフォーム化しやすくなる。

 モバイル向けのアプリは、現在では2つ以上のプラットフォームに対応させることが普通になってきた。というのは、1つのプラットフォームだけでは、収益が足りず、開発投資を回収しにくくなってきたからだ。

 マイクロソフトは、こうしたモバイルアプリ開発者をターゲットにWindowsをメインの開発環境にすることを狙う。実際、Androidアプリケーションの多くはWindowsで開発されている。また、iOSアプリの純正の開発環境はMac上にあるが、マイクロソフトは、Windowsでの開発を可能にした。iOSアプリの開発者にとっても、マルチプラットフォーム対応を行うのであれば、Windowsの利用は不可欠であり、もし、iOSもAndroidも開発が可能なのであれば、開発環境をWindowsに移行する開発者も出てくるだろう。

 このとき、Windows用アプリもほとんど手間なく開発できるのだとすれば、Windowsストアでの販売を考える開発者もいるだろう。

 マイクロソフトは、こうした開発者取り込みのための活動を「Windows is Your Home for Development」(Windowsは開発者の家)と呼び、Windows 10が目指すゴールの1つに設定している。

Windows Subsystem for Linuxをさらに強化し、
Linuxを用いる開発者の取り込みも進める

 マイクロソフトが呼び寄せようとしている開発者は、AndroidやiOSといったモバイルデバイス向けアプリの開発者だけでなく、Linuxを利用する開発者も狙う。Linuxでもモバイルデバイスや各種Linuxサーバーなどの開発ができるからだ。そのためのツールが「Windows Subsystem for Linux」(WSL)だ。つまり、Windowsの中でLinuxそのものを動作させ、開発者を呼び込もうというわけだ。

 もっとも現在のWSLには、不十分な点もある。そこでRS3では、Ubuntu以外のLinuxディストリビューションにも対応し、WSLにインストールできるLinuxディストリビューションをWindowsストアから入手可能にした(従来もダウンロード先はWindowsストアだったが、lxrunという専用アプリ経由でしかインストールできなかった)。

 対応したのはFedoraとSUSEという2つのディストリビューションだ。WSLは、LinuxディストリビューションのうちINITと呼ばれるプログラムを差し替え、一部の構成を変更するだけで動作できる。RSシリーズが完成する頃には対応ディストリビューションもさらに増えると予想される。

 また、現在のWSLは、Linuxカーネルの一部の機能しか実現していないため、利用できないLinuxアプリケーションがあった。RS3ではLinuxカーネル機能が強化され、さらに多くのアプリケーションが動作することになると思われる。おそらく、最終的に目標とするのは、Linux用のDockerコンテナーファイルをそのままWindowsで実行可能にすることだろう。RS3では、OpenCLへの対応が予定されており、Googleのディープラーニング開発フレームワークであるTensorFlowをWSLで動作させたときにGPUによる演算を行わせることが可能になるという。

RS3で予定されているWindows Subsystem for Linuxの改良点。OpenCLやUSBメモリへの直接アクセスがサポートされる

 RS3に入る機能などは、実はWindows Vistaで2000年台前半に実現される予定の技術だった。しかし、当時はインターネットはあったものの、クラウドという概念もなく、スマートフォンも普及していなかった。次回はこのあたりについてさらに掘り下げていきたい。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事

ASCII倶楽部

注目ニュース

  • 角川アスキー総合研究所

プレミアム実機レビュー

ピックアップ
1
KIOXIA(キオクシア) 旧東芝メモリ microSD 128GB UHS-I Class10 (最大読出速度100MB/s) Nintendo Switch動作確認済 国内サポート正規品 メーカー保証5年 KLMEA128G
KIOXIA(キオクシア) 旧東芝メモリ microSD 128GB UHS-I Class10 (最大読出速度100MB/s) Nintendo Switch動作確認済 国内サポート正規品 メーカー保証5年 KLMEA128G
¥2,249
2
【Amazon.co.jp限定】Meta Quest 3S(128GB)購入で『Gorilla Tag』ゲームを無料プレゼント|VRヘッドセット|メモリが33%増加 | 2倍のグラフィック処理性能 |ワイヤレスのVR体験
【Amazon.co.jp限定】Meta Quest 3S(128GB)購入で『Gorilla Tag』ゲームを無料プレゼント|VRヘッドセット|メモリが33%増加 | 2倍のグラフィック処理性能 |ワイヤレスのVR体験
¥50,490
3
Anker PowerLine III Flow USB-C & USB-C ケーブル Anker絡まないケーブル 240W 結束バンド付き USB PD対応 シリコン素材採用 iPhone 17 / 16 / 15 / Galaxy iPad Pro MacBook Pro/Air 各種対応 (1.8m ミッドナイトブラック)
Anker PowerLine III Flow USB-C & USB-C ケーブル Anker絡まないケーブル 240W 結束バンド付き USB PD対応 シリコン素材採用 iPhone 17 / 16 / 15 / Galaxy iPad Pro MacBook Pro/Air 各種対応 (1.8m ミッドナイトブラック)
¥1,290
4
ソニー ゲーミングイヤホン INZONE Buds:WF-G700N Fnatic監修/ワイヤレス / 低遅延2.4GHzワイヤレス接続 USBType-Cトランシーバー同梱/LE Audio対応/アクティブノイズキャンセリング/立体音響 / 最大約24時間バッテリー / 急速充電/マイク付き / PS5 スマホ PC Switch グラスパープル
ソニー ゲーミングイヤホン INZONE Buds:WF-G700N Fnatic監修/ワイヤレス / 低遅延2.4GHzワイヤレス接続 USBType-Cトランシーバー同梱/LE Audio対応/アクティブノイズキャンセリング/立体音響 / 最大約24時間バッテリー / 急速充電/マイク付き / PS5 スマホ PC Switch グラスパープル
¥20,800
5
Anker USB Type C ケーブル PowerLine USB-C & USB-A 3.0 ケーブル iPhone 17 / 16 / 15 /Xperia/Galaxy/LG/iPad Pro/MacBook その他 Android 等 USB-C機器対応 テレワーク リモート 在宅勤務 0.9m ホワイト
Anker USB Type C ケーブル PowerLine USB-C & USB-A 3.0 ケーブル iPhone 17 / 16 / 15 /Xperia/Galaxy/LG/iPad Pro/MacBook その他 Android 等 USB-C機器対応 テレワーク リモート 在宅勤務 0.9m ホワイト
¥640
6
Anker iPhone充電ケーブル PowerLine II ライトニングケーブル MFi認証 超高耐久 iPhone 14 / 14 Pro Max / 14 Plus / 13 / 13 Pro / 12 / 11 / X/XS/XR / 8 Plus 各種対応 (0.9m ホワイト)
Anker iPhone充電ケーブル PowerLine II ライトニングケーブル MFi認証 超高耐久 iPhone 14 / 14 Pro Max / 14 Plus / 13 / 13 Pro / 12 / 11 / X/XS/XR / 8 Plus 各種対応 (0.9m ホワイト)
¥990
7
Kindle Paperwhite シグニチャーエディション (32GB) 7インチディスプレイ、明るさ自動調整、色調調節ライト、12週間持続バッテリー、広告なし、メタリックブラック
Kindle Paperwhite シグニチャーエディション (32GB) 7インチディスプレイ、明るさ自動調整、色調調節ライト、12週間持続バッテリー、広告なし、メタリックブラック
¥23,980
8
Amazon Kindle Paperwhite (16GB) 7インチディスプレイ、色調調節ライト、12週間持続バッテリー、広告なし、ブラック
Amazon Kindle Paperwhite (16GB) 7インチディスプレイ、色調調節ライト、12週間持続バッテリー、広告なし、ブラック
¥18,980
9
CIO フラットスパイラルケーブル CtoC 1m (Type-C/USB-C) PD 急速充電 平型 磁石 マグネット吸着 まとまる 充電ケーブル PD 240W データ転送 480Mbps (ブラック, 1m)
CIO フラットスパイラルケーブル CtoC 1m (Type-C/USB-C) PD 急速充電 平型 磁石 マグネット吸着 まとまる 充電ケーブル PD 240W データ転送 480Mbps (ブラック, 1m)
¥1,680
10
エレコム 電源タップ 6個口 3m 雷ガード 個別スイッチ ほこりシャッター付 耐熱 PSE技術基準適合 ブラック T-K6A-2630BK
エレコム 電源タップ 6個口 3m 雷ガード 個別スイッチ ほこりシャッター付 耐熱 PSE技術基準適合 ブラック T-K6A-2630BK
¥1,590

Amazonのアソシエイトとして、ASCII.jpは適格販売により収入を得ています。

デジタル用語辞典

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン