AMDは米国時間の6月20日、テキサス州オースチン市のThe Joe R. and Teresa Lozano Long Centerにおいて、Zenアーキテクチャーを採用するデータセンターおよびサーバー向けCPUの「EPYC」(エピック)を正式発表し、最上位モデルとなるEPYC 7601など4製品の顧客向け出荷を開始した。これに先立ち、6月19日にはオースチン市内のAMD社内において、報道関係者向けの技術セッションが開催され、EPYCのラインアップや機能などを明らかにした。
同社でエンタープライズビジネスを担当するスコット・エイラー氏(Scott Aylor, Corporate Vice President, Enterprise Solutions)は、AMDがデータセンター市場に再参入するために、EPYCでは
・パワー:業界をリードするパフォーマンス、コア数、メモリ、I / O
・最適化:リソースのバランスを最適化し、すべての用途に適した規模のコンピューティングを実現
・セキュリティー:x86では業界初の半導体レベルで組み込まれたデータセキュリティー
の3項目を柱に、CPUを開発。EPYCの第一世代製品となる「EPYC 7000シリーズ」では、
・最大32基のZenコア
・CPUあたり8チャンネルのDDR4インターフェース
・CPUあたり最大2TBのメモリ容量
・128 PCI Express 3.0レーン
・専用セキュリティサブシステム
・チップセットの統合
・次世代EPYCプロセッサとのソケット互換性
を特徴とし、32コア/64スレッド構成の最上位モデル「EPYC 7601」を筆頭に、コア数やベースクロック、TDPが異なる製品すべてを、7月末までに市場投入する計画を示した。なお、今回発表されたEPYCプロセッサのラインナップは表の通りだ。
すでに、AMDの投資家向け会議で公開されているように、EPYCは4つのCPUダイをひとつのパッケージにまとめたMCM(Multi Chip Module:マルチ・チップ・モジュール)構成を採り、AMD独自のインターコネクト技術であるInfinity Fabricにより、4つのダイを密接かつスケーラブルに接続しつつ、製品製造にかかる歩留まりを最小限に抑える工夫をしている。
その性能は、データセンター市場ではもっとも汎用的に用いられているGCC-02 v6.3コンパイラでコンパイルしたCPU性能に特化したベンチマークのSPECint_rate_base2006や、SPECfp_rate_base2006などによる性能比較データを公開し、2プロセッサ環境では、価格性能比でほとんどのモデルが40%以上の性能向上を果たせるとアピール。また、シングルプロセッサシステム用にも、3製品を投入する計画を明らかにしている。