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myrmecoleonの「グラフで見るニコニコ動画 第2期」 第18回

人気作が集まる2017年4月期アニメの二次創作を調査

けもフレショック後の4月アニメはエロマンガ先生が大ヒット

2017年05月29日 18時00分更新

文● myrmecoleon 編集●村山剛史/アスキー編集部

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pixivではヒロアカが人気。プリパラ・BORUTOも好調

 pixivでは「僕のヒーローアカデミア(第2期)」「アイドルタイムプリパラ」「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」の投稿が好調。いずれも続編もの。

 ほか「Re:CREATORS(レクリエイターズ)」「夏目友人帳 陸」・「遊☆戯☆王VRAINS(ヴレインズ)」などで投稿増加の傾向が見えます。

 「僕のヒーローアカデミア(第2期)」は2016年4月から6月に放送された1期(連載2期第12回で紹介)の続編。放送前および1期放送中と比較しても投稿が伸びています。

 投稿者の4分の3が女性。4分の1が海外投稿者と海外人気も高め。R-18イラストは少なめ。キャラ別では1期の頃と同様に「爆豪勝己」「轟焦凍」「緑谷出久」がよく描かれています。

 ニコ動ではMMD動画や米津玄師によるOP「ピースサイン」などの動画がよく投稿されていました。

アニメ「僕のヒーローアカデミア(第2期)」より第14話(2期1話)の公式配信動画。原作は週刊少年ジャンプ連載中の堀越耕平の同名のマンガ。ほとんどの人間が特殊能力を持つ世界で、能力を持たなかった少年がヒーローを目指してがんばる話。今期は同学年の生徒たちと競い合う「雄英体育祭」を中心に描く。

 「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」は人気作品「NARUTO -ナルト-」の息子世代を描く続編。人気タイトルの続編ということもあり投稿が伸びています(ただし集計はNARUTO含む)。

 こちらも4分の3が女性投稿者。NARUTOは以前から海外人気が高く、3分の1の投稿者が海外から。R-18イラストは1割ほど。キャラ別では「うずまきナルト」「うちはサスケ」「春野サクラ」など前作からのキャラに投稿が集中しています(うずまきボルトは次点)。

 ニコ動ではMMDの投稿が多いです。

アニメ「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」の公式配信PV。原作は週刊少年ジャンプ連載中の池本幹雄作画の同名のマンガ。岸本斉史のマンガ「NARUTO -ナルト-」の続編にあたり、ナルトの息子ボルトの活躍が描かれる。

 「Re:CREATORS(レクリエイターズ)」はTROYCA制作のオリジナルアニメ。

 R-18イラストは少なく投稿者は男性が8割。海外人気が高く4割の投稿者は海外から。キャラ別では「軍服の姫君」がよく描かれ、次いで主要女性キャラの「セレジア・ユピティリア」「メテオラ・エスターライヒ」などが人気。また登場は6話からですが「築城院真鍳」の投稿が増えています。

 アニメ「Re:CREATORS(レクリエイターズ)」の公式配信PV。「BLACK LAGOON」の広江礼威によるキャラクターデザイン・原作,「アルドノア・ゼロ」のあおきえい・TROYCAによる制作のオリジナルアニメ。アニメやマンガ,小説のキャラクターたちが現実に現れて争い合う物語。


 男性投稿者が多いタイトルでは「アイドルマスター シンデレラガールズ劇場」「エロマンガ先生」「グランブルーファンタジー ジ・アニメーション」「冴えない彼女の育てかた♭」「僕のヒーローアカデミア(第2期)」。特に「冴えない彼女の育てかた♭」は9割が男性で男性人気に偏ったタイトル。

 男性人気は新作では「エロマンガ先生」に集中した傾向が見えます。

 女性投稿者が多いタイトルは「進撃の巨人 Season 2」「僕のヒーローアカデミア(第2期)」「アイドルマスター シンデレラガールズ劇場」「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」「エロマンガ先生」など。以前から女性人気の高いタイトルが目立ちます。

 下位では「スタミュ 第2期」で98%が女性投稿者。その他新作では「王室教師ハイネ」は女性人気が高いようです。

 R-18イラストが多かったのは「アイドルマスター シンデレラガールズ劇場」「エロマンガ先生」「進撃の巨人 Season 2」「グランブルーファンタジー ジ・アニメーション」「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」など。特に進撃とグラブルは2割ほどと高め。

 海外投稿者は「エロマンガ先生」「アイドルマスター シンデレラガールズ劇場」「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」「僕のヒーローアカデミア(第2期)」「グランブルーファンタジー ジ・アニメーション」が多く、特にエロマンガ先生とBORUTOは前述の通り、海外投稿者は3分の1以上と高いです。下位では「Re:CREATORS(レクリエイターズ)」が4割、「ゼロから始める魔法の書」が半数以上海外投稿者でした。

 国別でみると中国・台湾・東南アジア諸国でエロマンガ先生、アメリカではヒロアカ、韓国・カナダでシンデレラガールズの投稿者が多いようです。BORUTOは突出して多い国はないものの、フランス・南米などpixivでは投稿者の少ない国でも広く投稿があります。グラブルは台湾・東南アジアでナンバー2。また中国ではエロマンガ先生に次いでRe:CREATORSがヒットしていました。

 キャラではエロマンガ先生の「和泉紗霧」が劇的にヒットしており、アニメ放送以降すでに4000枚近くのイラストが投稿されています。次いで進撃の「リヴァイ」、シンデレラガールズの「白坂小梅」「島村卯月」など。男性キャラでは「リヴァイ」のほか、ヒロアカの「爆豪勝己」「轟焦凍」が人気でした。

 R-18でも「和泉紗霧」がダントツ。かなり離れて「山田エルフ」「神野めぐみ」などやはりエロマンガ先生のキャラクターが強いです。

 週ごとに推移をみると放送直後から「和泉紗霧」が投稿数トップに入っており、「山田エルフ」が登場後これを追うように伸びていました。

4月開始アニメのおもな10作品について、4月1日スタートで7日間ごと区切ったpixivでのイラスト投稿数をグラフにしたもの。集計方法はグラフ1に同じ。★は5週目または6週目にピークのある箇所

人気健在! けものフレンズ

 一方、4月アニメが放送中にも関わらず注目を集めていたのが、前回劇的な拡大を見せた「けものフレンズ」。4月アニメの流行の背景としてこちらも紹介しておきます。

 最終回前後をピークにアニメ終了後は投稿数を落としていますが、現在でも今期トップのシンデレラガールズと同クラスの投稿数を保っています。

 2月の調査時から変わった点としては、前回の推定通りに女性が増加。4月以降の投稿では4分の1ほどが女性投稿者になりました。

 また海外からの投稿も増えており、2割近くが海外投稿者となっています。国別では台湾・中国・韓国などが多いものの、東南アジアやアメリカなどからも投稿が増えてきています。最近ではフルルとグレープ君が世界的に話題。

 キャラ別では現在もサーバル・かばんちゃんが人気、次いでアライさんとフェネックの投稿が目立ちました。

 サプライズの12.1話、Mステ、カフェ、動物園コラボ、舞台化など話題に事欠きませんが、さすがにアニメの放送がないと投稿は落ち気味のようです。MMDモデルが順調に増加しているため、ニコ動のMMDけもフレ動画の増加が期待されます。

「けものフレンズ」関連のニコ動の動画(左軸)およびpixivのイラスト(右軸)の1日ごとの投稿数推移。データ取得はグラフ1と同様

和泉紗霧が“例の紐”以来の突出した人気キャラに

 4月開始タイトルは以上の通り、継続して人気の高いタイトルが上位を占めるなか、新作のエロマンガ先生の活躍が目立ちました。特に「和泉紗霧」のイラスト投稿数が劇的で、単独のアニメキャラにここまで注目が集まるのは、当連載では2015年4月期の「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」のヘスティア様以来(2期第4回で紹介/今期に外伝の「ソード・オラトリオ」放送中)。キャラの可愛さもさることながら、美少女絵師という設定が好まれたのでしょうか。

 続編では「進撃の巨人 Season 2」「僕のヒーローアカデミア(第2期)」が好調。オリジナルアニメでもニコ動では「サクラクエスト」、pixivでは「Re:CREATORS(レクリエイターズ)」が比較的好評です。

 前期急上昇した「けものフレンズ」の人気も健在。投稿規模は落ちているものの、女性や海外などの広い投稿者を獲得しつつあり、今後の創作の連鎖が期待されるところです。今後も注目していきたいと思います。

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筆者紹介:myrmecoleon

 趣味で同人誌やニコニコ動画関連の研究をしてる人。コミケ・ニコニコ動画・pixiv・deviantARTなどの調査を行ない、『ニコニコ統計データハンドブック2017』など同人誌としてコミケで頒布。2014年に自身の企画で「次元の壁をこえて 初音ミク実体化への情熱 展」を開催。元明治大学米沢嘉博記念図書館スタッフでニコニコ学会β実行委員。
 Twitterアカウントは@myrmecoleon。関わった著作に『進化するアカデミア 「ユーザー参加型研究」が連れてくる未来』(イースト・プレス刊)など。画像は筆者を擬人化?して描いてもらったキャラ「ありらいおん子」。男の娘。

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