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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第166回

音声とカメラがインターフェースになる時代

2017年05月24日 10時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

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今度は人間が進化する番では?

 スマートフォンはタッチ操作によって、より手軽で高度なアプリやゲームを、パソコンやテレビよりも小さな画面の中で実現し、すでに我々の生活の中での「メインスクリーン」となっています。

 そのスマートフォンの操作性を、声やカメラは、さらに広げてくれることになります。特に文字入力は、声やカメラが利用できれば、ストレスはかなり減少します。Wi-Fiのパスワードの打ち間違い、注意深くやっても1度は引っかかりますよね。これがなくなると考えると、なんて素晴らしいんだろうと思うわけです。

 スマートフォンのインターフェースは進化していきますが、ここで、一つ見落としがちなのが、使う人間の進化です。

 もちろんインターフェースは、初めての人でも使いやすくという設計がなされるべきで、新しいものであればあるほど、そう考えて作られています。ただ、機械の使い勝手以前の部分、つまり身体的な体験の部分において、なんらかの訓練が必要になるのではないかなと思います。

 たとえば声で文字入力をするとき、指先で入力するよりも、文字入力自体は早いかも知れませんが、打ち込みたいことを考えて、指を動かす代わりに喋らなければなりません。  筆者が古いタイプだからかもしれませんが「書き言葉」と「話し言葉」があるように、書き言葉を喋るというのはなかなか難しいものです。話し言葉で喋ってもチャンと認識してくれますが、考えて黙々と指を動かす方が楽に感じるなら、書こうとした言葉を口に出す練習が必要になります。

 またカメラでの操作についても、カメラの中の映像が認識できる大きさになるまで、近づかなければなりません。視力は人によって異なりますし、昨今のカメラ画素数を持ってすれば、人が見分けられる以上の解像力はありそうですが。

 そして、これまでのタッチ操作に、声やカメラというインターフェースを織り交ぜて、最短の時間で操作する方法を、各自が心得る、という最適化の作業も必要になります。

 人の好みもありますし、声が出せない、というシチュエーションもあります。そのため、いくつかの方法を候補として用意し、そのときに取り得る最も早い方法を選ぶという判断をしなければなりません。

 インターフェースが増えるというのは、ただ便利になるだけでなく、そうした選択肢や葛藤が増えることでもあります。ただ、個人的には、新しいインターフェイスに触れる事は大好きですし、新しインターフェイスの善し悪しを吟味するのは楽しいし、より効率的な方法が身につく事は、ひとつの進化だととらえています。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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