コンバータを使用してさまざまなインクを楽しむ!
適合カートリッジは、欧州統一規格のインクカートリッジなら基本的に大丈夫だ。筆者はペリカンのカートリッジを使用している。
カートリッジを使用した時のヴィニャスは筆者が普段愛用している数本の万年筆の中では最軽量の17gだ。ツバメフール紙(5mm方眼)を使用したツバメ ダ・ヴィンチ手帖との相性は抜群だ。
しかし、万年筆の楽しさは、カートリッジだけでは限度のあるカラーバリエーションを、市販のお気に入りのインクや昨今流行の自分だけの調合インクに替えて楽しむ時だろう。
筆者は、文具屋さん巡りをしていて偶然見つけて、色味より瓶の形とパッケージを気に入ってしまったカランダッシュの「アイデリック・ブルー」というインクを使ってみた。
瓶入りのインクを使用する場合には、万年筆それぞれにサイズを適合化した「コンバータ」という部品を使用する。ヴィニャスの場合は、カートリッジと同じメーカーであるペリカンがベストマッチのコンバータだ。
欧州統一規格のものであれば、基本的に使用は可能だが、実際にロットリングのコンバーターとペリカンのコンバータの2つを見比べてみたところ、ほとんど同じで問題ないと思える。しかし、実際に両者を取り付け、取り外してみると、意外とその差異が体感できる。
ロットリングのコンバータは万年筆との結合部分が浅く、丸い接続部分がわずかだがルーズだ。
一方、ペリカンのコンバータは奥までしっかり深く挿入でき、接続部分も二重の丸い形状でタイトに固定できるため、インク漏れや持ち運び中のコンバータの脱落などはまずないだろう。
歴史と伝統ある万年筆は、当初、カートリッジやコンバータという概念はなく「つけペン」(ペン先にインク壺のインクをつけながら筆記・描画に用いるペン)だったであろうから、ペン先にインクが付くことは大した問題ではなく、ニブもインク瓶に浸かる部分もインクの付着や腐食に強い素材が使われている。
しかし、筆者は昔からどうもコンバータを使い、ペン先部分をどっぷりとインク壺に突っ込んでインクを吸い上げることが苦手だ。
インクを充填後、何より、ペン先部分に付着した余分なインクをクリーニングペーパーやティッシュペーパーで拭き取る時、そのインクの量が半端なく多くて苦手なのだ。
そんな筆者は、まずコンバーター単体をインク瓶に突っ込んで、インクをコンバータ内に一杯にしてから万年筆と結合する。ペン先を注意深く見ながら、コンバータのネジつまみを軽く回してインクをペン先ににじむくらいまで送り込んで使っている。
コンバータで直接インクを吸い込んだ場合は、周囲にあふれる余分なインクは極めて少なく、不用意に指先を汚すこともない。
考えられる問題としては、コンバータの付け外しが少し多くなり、最悪、ペン先とのドッキングにおいて多少甘くなるかもしれないが、インクの充填は連日行なう作業でもなく、最悪、新しいモノに交換しても1000円以下の出費だ。
それだけで、余分なインクが付着しないきれいなペン先と指先を確保できるなら安いものだ。
筆者のような使用法は、明らかに伝統的な万年筆のお作法からすれば“掟破り”だろうが、もともと、万年筆風鉛筆補助軸から生まれた掟破りの新世代の万年筆だから、万年筆を知らない新しい世代が楽しみながら工夫しながら、ユニークなインクのバリエーションと、筆記感覚を楽しめれば最高だ。
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