トゥルーワイヤレスは便利だけど、普段使うオーディオ機器としてはどうなのか。まだ業界の人が話のネタに使うようなもので、一般のスマートフォンユーザー、特に音楽のリスナーが買うモノではないんじゃないか。というのが昨年までのジャッジでした。が。
やっぱケーブルがないっていいよね!
最近はそういう結論にいたりつつあります。トゥルーワイヤレスの抱える大問題は、小さくバラバラなので行方不明になる不安をどう克服するかです。しかし行方不明になっても心が痛まない程度に安ければ、ハラハラせずに持ち歩けるのではないか、と。
そのトゥルーワイヤレス機に、国内取扱い製品がまた増えました。VAVAというブランドの「MOOV 20(VA-BH001)」です。VAVAは激安Bluetoothイヤフォンでおなじみ、TaoTronicsの姉妹ブランドということですが、製品の仕様から言って、従来品よりワンランク上を狙っているのでしょう。
一見するとよくある低価格トゥルーワイヤレス機に見えますが、VA-BH001の魅力は、斬新で実用的なアイデアと、このカテゴリーの製品イメージを一新させる再生音のバランスにあります。
VAVAの国内代理店はe☆イヤホンで、価格は9999円。1万円を切ったと書けるギリギリの設定はさすがです。この価格なら万一ロストしてもクヨクヨすることはない……。いや、するにはするでしょうが「こないだイヤフォン失くしちゃってさーガハハハ」と豪快に笑えば、あの人結構いさぎよくてカッコイイと言われてモトが取れそうな値段です。いや、そう思いたいということですが。
ちなみにAmazonでもVAVAブランドの同じ製品が1000円ほど安く売られていますが、e☆イヤホン扱いの製品はAACやaptXに対応しているということで、価格差はそこで納得できるでしょう。
あっと驚く防水コーティングと斬新な特許技術
VA-BH001のパッケージは、本体装着品も含めS、M、Lと3サイズのイヤーピース。そして充電用のUSBケーブル。これらが本体とともにファブリックで覆われたケースに入ってきます。取扱説明書には日本語での記載もあります。
本体側の充電端子はmicroUSBで、充電時間は約2時間、連続音楽再生時間も2時間。マイク内蔵でヘッドセットとしても使える仕様で、連続通話時間は3.5時間、待機時間は50時間。バッテリー容量は50mAhということですが、もう少し余裕が欲しいかなという数字です。
スペックにはIPX4相当の防滴仕様という記載がありますが、本体側のmicroUSBポートはカバーもないむき出しの状態。装着するとポートが上を向くデザインなので簡単に水が入ってしまう。ところがポートの内側はコーティングされているらしく、水の侵入に耐性を持たせているとのこと。このアイデアは驚きです。
防水性能を持たせるために、USBポートにはカバー付きにするのが一般的な方法ですが、そうすると充電の度にカバーの着脱をしなければならない。microUSBサイズの防水カバーは小さい上に、きつく嵌合させないと機能しないので、外すのが面倒くさい。これはその面倒を解消する画期的なアイデアです。
試しに水をぶっかけてみました。さすがに接点に水が付いたまま電流を流すのはマズいので、その後、よく振って乾かしてから通電したところ、問題なく充電できています。
画期的なアイデアは、さらにもうひとつ。イヤーピースの下側はキャスケットのような形をした、着脱可能な薄いシリコンに覆われています。このシリコンの表面には微妙なカットが施され、エンクロージャーから浮いた中空構造になっているおかげで、柔軟に耳に当たってフィットします。
これは左右両方で12.8gという、やや重いイヤフォンを支える対策として必要だったのだと思います。ですが一般的なイヤーハンガーやスタビライザーと違って、ユーザーは意識することなく使える上、気密性が増すので遮音性の点でもメリットがあります。一石二鳥の頭のいいデザインであり、このシリコンパーツにわざわざ特許表示を入れているくらいなので、メーカーとしても頭を使った部分なのでしょう。