人工知能・自然言語処理エンジニアが合流で日本語変換がさらに賢く
鉄板キーボードアプリ「flick」に“感情を読む”機能搭載!?【開発者インタビュー】
2017年04月05日 11時00分更新
自然言語処理のエキスパートが加わることで
「みんなの顔文字キーボード」改め「flick」は再誕した
── 池上さんとはどんな風に知り合ったのですか?
石本 もともと池上は、人工知能や自然言語処理の専門家で、GitHubやTwitterなどで情報発信をしていたんです。入力モードを切り替えずに日本語入力が可能な「モードレス日本語入力」というソフトを公開しているのを知り、『これは!』と思ってスカウトした次第です。2016年7月のことですね。
── 池上さんは、IO Inc.に入社する前は何をされていたんですか?
池上 ネット広告配信事業を手がける会社でソフトウェア開発をしていました。自然言語処理を使ってWebページに最適な広告を表示する仕組みなどを手がけました。
── 元々、自然言語処理を専門にしていたのでしょうか?
池上 大学院で日本語入力の研究をしていて、そのとき自然言語処理を学びました。もともと大学時代はネットワークを学んでいたんですが、研究室に入ってから勉強し直した感じですね。
── なぜ自然言語処理や日本語入力に興味をもたれたのですか?
池上 『Google検索ってスゴいなー』と思ったのがそもそものきっかけです。検索処理に自然言語処理を使っていると知り、どういうものかと調べているうちにのめり込んで行きました。
そして、日本では文章を書くときにほぼ必ず日本語入力ソフトを使うので、『日本語入力が高速になれば、多くの人に貢献できるのでは?』と考えて日本語入力への興味が広がっていきました。
── 入社して「自然言語処理部分を任せる」と言われて戸惑いませんでしたか?
池上 「『みんなの顔文字キーボード』に内蔵している辞書を改善したい」ということで、入社前から業務内容をかなり詳しく聞いていましたし、日本語キーボードの開発にも興味があったので、そこはすんなり(笑)
── かくして池上さんの入社をもって「みんなの顔文字キーボード」から「flick」への進化作業が始まるわけですが、それでも一筋縄ではいかなかったのでは?
池上 AI変換を安定して稼働させるのにちょっと苦労が(苦笑)
石本 AI変換についてはある意味チャレンジングな企画だったので(苦笑)。ユーザーのAI変換の入力頻度とサーバー負荷の関係など、実際のところ「やってみないとわからない」という部分が多かったものですから……。
名前変更の恩恵は意外なところに!?
── さて、「flick」に改名して辞書の改善も果たしました。現状の「flick」は石本さんが開発スタート時に想定していたような日本語ソフトキーボードに仕上がっていますか?
石本 そうですね、「flick」にバージョンアップを果たして、私の思ったようなものは実現しつつあると思っています。ただ、世の中の語彙ってどんどん変化していますから、日本語キーボードの「ゴール」というのはないんじゃないかと思っています。ここ数年、Twitterでユーザーが使っている日本語表現をみるだけでも、かなり変化しているような気がします。
── みんなの顔文字キーボードから「flick」へと名称が変わることで、これまで「顔文字」のほうに魅力を感じてインストールしていたユーザーが離れたということはありませんか?
石本 それはないと思っています。逆に今までアプリ名に「顔文字」と付いていたことで「自分は顔文字使わないから……」とインストールを避けていた方もいると思うんです。「flick」という名称になって「ああ、顔文字“も”打てる真っ当な日本語キーボードだ」という認識になって、ユーザーの入り口は広がったと思っています。
この連載の記事
-
第2回
sponsored
みんなの顔文字キーボード改め「flick」は最高の入力メソッドだ -
第1回
sponsored
男子だって使いたいアプリ! 「みんなの顔文字キーボード」が油断できない完成度なので皆使うべし - この連載の一覧へ