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やっぱりスマホ新製品に注目! MWC 2017レポート 第36回

AndroidタブレットからWindowsタブレットへと移行が進む3つの理由

2017年03月07日 10時00分更新

文● 中山智 編集●ASCII.jp

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 スペイン・バルセロナで開催されたMWC 2017では、スマートフォンをはじめ今年も数多くのデバイスが登場しましたが、例年に比べて見かける頻度が少なくなった製品ジャンルがあります。それは「Androidタブレット」です。

 以前まではワールドワイドで販売を展開しているような大手メーカーなら、AndroidスマホとAndroidタブレットをセットにして数多く展示していました。ところが、今年はAndroidスマホだけというメーカーが多く、Androidタブレットの新作を出しているメーカーはほとんどありませんでした。

大手メーカーでAndroidタブレットを大々的に紹介したのはサムスンくらい

 実際、市場ではタブレットの人気が下がってきており販売も低調です。この人気低下の背景には、スマートフォンの大画面化があります。ウェブブラウズや電子書籍の閲覧、動画サービスの視聴といった「コンテンツビューワー」としての役割が、7型~10型クラスのタブレットではなくスマートフォンが担うようになってきたためだと思われます。

 MWC 2017での発表会や記者向けの説明会でも、メーカーはユーザーがスマートフォンに大画面化を求めているという調査結果を提示しています。コンテンツビューワーとしての役割はスマートフォン1台に集約したいというのが、ユーザーの志向のようです。

LGエレクトロニクスの発表会では、67%のユーザーがスマホに大画面を望んでいると説明

モトローラの説明会では、63%のユーザーがスマホの画面サイズが重要としている

 こうした状況のなか、逆に増えてきているのがWindowsタブレットです。大手メーカーでは、サムスンが「Galaxy Book」、HPが「HP Pro x2 612 G2」、アルカテルが「Alcatel PLUS 12」を発表しています。Windowsタブレットは、Windows 8が登場した直後にもブームがあり多くのメーカーからリリースされましたが、今回発表されたモデルには、当時とは違った3つの共通点を備えています。

サムスンの「Galaxy Book」

HPの「HP Pro x2 612 G2」

アルカテルの「Alcatel PLUS 12」

キーボードが付属する2in1タイプで生産性アップ

 第一にキーボードが付属すること。これまでのWindowsタブレットは、本体のみでピュアタブレットとして活用し、オプションとしてキーボードを発売というケースがほとんどでした。それが一転して、今回登場した3モデルはキーボードが同梱されており、いわゆる2in1タイプのPCとして使えます。

いずれの機種もキーボードがカンタンに着脱でき、タブレット単体としても問題なく使用できる

キーボードがカバーにもなるので、持ち運びにも便利

 コンテンツビューワーとしてタブレットを使うだけならキーボードは不要ですが、エクセルやワードなどの編集といった作業は文字入力がメイン。それをタブレットだけでするとソフトウェアキーでの入力となり、ディスプレーの表示スペースを大きく占有するので、作業効率が悪くなります。コンテンツビューワーとしてだけ使うのではなく、生産性を高めるためにタブレットを使うならキーボードは必須というわけです。

「Alcatel PLUS 12」のキーボードは、クラムシェエルと同じようにしっかりとタイプできる

 また、それなら最初からキーボードも同梱してタブレットのケースやカバーとしてデザインしたほうが利便性も高く、見た目にもスマートというポイントもあります。

付属のペンでクリエイティビティーな作業もできる

 第二の共通点は入力デバイスにペンが付属すること。Galaxy Bookはスマートフォンの「Galaxy Note」シリーズでも評価が高い「Sペン」が付属します。HP Pro x2 612 G2とAlcatel PLUS 12にも、ワコムの技術をベースとしたペンを同梱。単に指の替わりにタッチ操作をするだけでなく、筆圧を検知して精細なイラストが描けるレベルのペンになっています。

「HP Pro x2 612 G2」のペンは、筆圧も検知し紙へ書き込む感覚で使える

 高性能なペンとタブレットの組み合わせというと「iPad Pro」と「Apple Pencil」の組み合わせがありますが、Windowsタブレットの場合、デスクトップやノートなどふだん使っているPCと同じソフトがそのまま使えるという強みがあります。

 例えばイラストレーターなら、同じソフトを使って下絵をWindowsタブレットで描き、そのファイルをデスクトップPCで仕上げるというように、作業の流れがスムーズになります。iPad Proの場合、MacやWindowsでまったく同じようにソフトを使うというのが難しいため、作業として覚えることも増えて手間もかかります。

サムスンはステッドラーとのコラボレーションで、鉛筆ふうのSペンを投入

 もちろんビジネスユースで手書きメモをとるといった使い方もできますが、クリエイティビティーな作業がストレスなくできるというのは、Windowsタブレットと高性能なペンの組み合わせの大きな利点と言えます。

LTE搭載でどこでもモバイル通信が可能

 最後の共通点は、SIMスロットを搭載することでWi-Fiのない環境でもモバイル通信でインターネットへ接続できること。Alcatel PLUS 12はキーボード側にSIMスロットがあり、キーボードがモバイルルーターのように動作するため若干性質は異なりますが、ほかの2モデルはタブレットの状態でもインターネットに接続可能です。

「Alcatel PLUS 12」はキーボード側にSIMスロットがある

 最近はクラウドを使ってファイルのやりとりをしたり、オフィス系ファイルもオンラインで複数人の共同編集という使い方も多く、ビジネスユースでも常にインターネットに接続できるほうが便利。個人的にはWi-Fiが使える場所を探したり、モバイルルーターを持ち歩くよりもスマートに使えると考えているので、この傾向は大歓迎です。

「Galaxy Book」は本体にSIMを挿入でき、単体でモバイル通信に接続可能

 上記のようにタブレットは生産性を高め、クリエイティビティな作業にも使えるというポイントにメーカーの軸足が移ってきています。それを実現するには現時点ではWindowsタブレットがベターというのが、各メーカーの考えのようです。


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