世界の一部の空港には、プリペイドSIMの自動販売機が設置されています。その中でも有名なのが、ロンドンのヒースロー空港に設置されている販売機。
イギリスはプリペイドSIMを利用する際、ユーザー登録が不要のため、自動販売機で購入してすぐに使い始めることができます。ロンドンに到着後、市内に出る前に通信回線を確保できるのは便利です。
しかし、1〜2年前からヒースロー空港には携帯電話・SIM販売のチェーン店「SIMLocal」が進出し、そちらでもプリペイドSIMを売るようになりました。
自動販売機で取り扱っているものより価格は割高なのですが、その場で説明を聞きながら買えるとあって、いまでは自動販売機を使う人の姿は減っているようです。
自動販売機で売られているプリペイドSIMは、安いものは10ポンド(約1400円)と手軽に買えるのも魅力のひとつ。ところが、1年くらい前から自動販売機の中身もSIMLocalが販売するSIMに置き換わり、最低でも20ポンド(約2800円)と、割高なものしか買えなくなってしまったのです。
もちろん、利用できるデータ量は増えていますが、手軽に買えるSIMが無くなってしまったのはちょっと残念です。
さて、2017年2月下旬、MWC 2017の取材途中で久しぶりにヒースロー空港へ立ち寄ったところ、新しいプリペイドSIM自動販売機が設置されているのを発見しました。
大型化され、しかも、SIM以外に端末も取り扱っています。現地用のルーターや携帯電話、スマートフォンを入手したい人にとって、これは有用かもしれません。
取り扱っているプリペイドSIMは、3UKの12GB対応が30ポンド(約5200円)、EEの10.5GB対応が20ポンド、MVNOのLebaraのものが20ポンドの3種類。なお、Lebaraを買うなら自動販売機向かいにあるコンビニのWHSmithに、より低価格な料金のものも売られています。
端末はルーターが3種類。EEの6GBデータSIM付きの「Osprey 2 Mini」が60ポンド(約8400円)、これにはSIMロックがあります。
そして、SIM Localが販売する世界各国で使えるバーチャルSIM搭載のグローバルルーターが80ポンド(約1万1200円)、ファーウェイのSIMフリールーター「E5330」が75ポンド(約1万500円)。
ほかにアルカテルの携帯電話が2種類、スマートフォン「Pixi 4.5」が100ポンド(約1万4000円)、「Lumia 550」が145ポンド(約2万300円円)。スマートフォンはやや前の製品なのでスペックからするとちょっと割高かもしれません。
せっかくなので自動販売機でSIMを買ってみました。購入したのは3UKの12GBのSIM。イギリス国内だけで使うなら、EEのSIMが10.5GBで10ポンド安く買えますが、3UKのSIMは海外でもそのまま使える「Feel At Home」というサービスが提供されています。これはイギリス内の無料データ分を、そのまま海外でも使えるというもの。対応の国と地域は44ヵ所。今回の渡航先であるスペイン(バルセロナ)もカバーされています。
さっそく、まずはバルセロナの前に立ち寄ったギリシャのアテネでテスト。通信事業者はCosmoteをつかみ、回線速度は3Gでした。しかし、ローミングをONにするだけで、ロンドンで買ったSIMがそのまま使えるのはいいですね。
続いてMWC 2017の開催されるバルセロナで電源をオン。通信事業者はMobistar、接続はこちらも3Gでした。LTEにつながらないのはちょっと残念ですが、動画の視聴や配信でも行なわない限り、十分使えるでしょう。
ただし、海外ではテザリングができないので、挿したスマホをルーター代わりに使うことはできません。それでもヨーロッパを周遊する際は便利に使えるでしょう。
EUはローミング料金の撤廃を今年夏に控えています。いずれはほかの国でも同様のプリペイドSIMが販売されるようになるでしょう。
ただし、ドイツやスペインのようにユーザー登録が必要な国でSIMを買うのはやや面倒なもの。ロンドンなら登録不要、自動販売機でも買えるので、ヨーロッパ周遊を考えている人に3UKのSIMはオススメですよ。
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