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myrmecoleonの「グラフで見るニコニコ動画 第2期」 第17回

予想がつかない2017年1月期アニメの二次創作投稿数

君はニコ動やpixivで二次創作するのが得意なフレンズなんだね!

2017年02月16日 20時00分更新

文● myrmecoleon 編集●村山剛史/ASCII.jp

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安定の続編と追う新作

 pixivでは以前から女性人気の高い「銀魂.」で投稿が多いです。「小林さんちのメイドラゴン」「この素晴らしい世界に祝福を!2」も好調。「弱虫ペダル NEW GENERATION」も人気が高く、また急上昇した「けものフレンズ」が圏外から一気に5位まで入りました。ほか「幼女戦記」「リトルウィッチアカデミア」「ガヴリールドロップアウト」なども好調です。

 「銀魂.」は人気作品のアニメ4期目となる続編で初の深夜アニメ。今回pixivで最も投稿の多いタイトルですが、前回のアニメ化と比較するとやや投稿数は低下。また週ごとに減少傾向にあります(6週目で増加しているのは山崎退・月詠の誕生日があったため)。

 女性投稿者が最多のタイトル。投稿者の9割が女性です。R-18イラストは3%と少なめ。キャラ別で投稿が多いのは主人公「坂田銀時」、ヒロインの「神楽」、神楽とのカップリングでよく描かれる「沖田総悟」など。

 ニコ動ではMMD動画や声真似歌ってみたなどが人気です。

アニメ「銀魂.」より公式番宣PV。原作は週刊少年ジャンプ連載中の空知英秋のマンガ「銀魂」。キレのいいギャグが売りだが前期からクライマックスに入りシリアスな展開が続いている。本編配信はニコ動では有料のみ。

 「弱虫ペダル NEW GENERATION」は人気作品のアニメ3期目となる続編。こちらも前回と比較して投稿数は低下。第4週で急増していますがこれはこの週に関連の同人誌即売会が開催された影響。

 pixivでの投稿者はほぼ女性。また海外の投稿者が8%と非常に少なく、ほぼ国内の女性投稿者に支持されているタイトルです。R-18イラストは12%と高め。キャラ別で多いのは今回のシリーズで卒業する箱根学園の3年「荒北靖友」や「東堂尽八」、新たな総北で主将を務める「手嶋純太」など。

 こちらもニコ動ではMMD動画が多めです。

アニメ「弱虫ペダル NEW GENERATION」より第1話の公式配信。原作は週刊少年チャンピオン連載中の渡辺航のマンガ「弱虫ペダル」。高校の自転車競技部を舞台にしたスポーツ友情ドラマ。1~2期で描かれたインターハイが終わり、3年生が卒業し新たな体制が築かれていくシーズンが始まる。

 「リトルウィッチアカデミア」は若手アニメーターの育成プロジェクトから始まった変わり種の企画で、今回初のテレビシリーズとなるオリジナルアニメ。

 pixivでの投稿者は海外の投稿者が非常に多く約半数が海外から。男性7割女性3割と女性の投稿も多いです。キャラ別で人気が高いのはルームメイトの「スーシィ・マンババラン」がトップ。次いで主人公の「アツコ・カガリ」、同じくルームメイトの「ロッテ・ヤンソン」、優等生の「ダイアナ・キャベンディッシュ」など。

アニメ「リトルウィッチアカデミア」より公式PV。TRIGGER制作のオリジナルアニメで、若手アニメーター育成プロジェクトの「アニメミライ2013」の企画の一つとして上映、続編の劇場版が公開されたのち、ついにテレビアニメ化。魔女になることを夢見て魔法学校に入学した女の子が仲間たちとともに成長していくファンタジー。アニメらしい楽しさにあふれた作品。


1月開始アニメの主な10作品および下位で上昇中3作品の関連タグについて、1月1日スタートで7日間ごと区切ったpixivでのイラスト投稿数をグラフにしたもの。集計方法はグラフ1に同じ。★は6週目にピークのある箇所

わーい! けものフレンズが2月からまさかのブレイク

 今回の注目作はなんといっても「けものフレンズ」。動物をテーマにした3DCGアニメですが2月に入ってから急に注目され、ニコ動・pixivともに関連作品の投稿が記録的に増加しています。この記事執筆中にも増加が加速しており、ランキング圏外から合計でニコ動1位・pixiv5位まで駆け上がりました。

 1日ごとの投稿数の推移(グラフ5)を見ると、ニコ動・pixivともに3話放送後の1月下旬になって若干投稿が増加している様子が見られます。この頃にいくつかブログ記事のヒットがあり、興味を持った人が見て反応したのかもしれません。当時のニコ動の動画を見ると3話のトキの歌やアルパカ・スリの味のある演技、サーバルがバスにはねられるシーンなどが小ヒットした様子が伺えます。

 また遺跡の様子が描かれアニメ世界の真相が垣間見える4話放送後の2月になってじわじわ伸びだし、この流れから5話の放送とOP「ようこそジャパリパークへ」のCD発売が重なった8日前後に爆発的な伸びを見せました。以降は公式の動きもあり、ヒットがヒットを生む構図ができている印象。

 pixivでの投稿者は8割が男性。海外からの投稿はほとんどなく今のところ日本国内のみの盛り上がりとなっています。R-18イラストは5%ほどと少なめ。キャラ別では「サーバル」の人気が高く、次いで「かばんちゃん」「トキ」などがよく描かれています。

 「けものフレンズ」自体は2015年のスマホゲーム版が配信されていた頃から爆発的ではないもののpixivでイラスト投稿があり、放送前から900件以上、最近でも月30~40件程度の投稿がありました。

 アニメ放送後も1月25日頃までは当時からの投稿者が目立ち、アニメ版ヒットのための応援投稿なども見られます。その後アニメ化以降の投稿者が増えていくのですが、pixivでのヒットにはアニメ以前からのファンの活動の支えがあったのかもしれません。

 ちなみに2016年までの投稿者は3割が女性でした。メイドラゴンにも見られるように可愛い女の子キャラは男女ともに人気が出ることもあり、アニメ化後も展開次第では女性投稿者も増えて長期の人気になっていく芽もあるかもしれませんね。

アニメ「けものフレンズ」より第1話の公式配信。メディアミックス企画で2015年よりスマートフォン用ゲームが配信されていた(2016年12月に終了)。記憶喪失の「かばんちゃん」が女の子の姿をしたさまざまな動物の「フレンズ」たちと出会いながら自分のことを知るために旅するアドベンチャー。1話の配信動画は1月中には20万に達しなかったのが執筆中に100万再生を超える人気に。たっのしー!
アニメ「けものフレンズ」のOP曲「ようこそジャパリパークへ」の作詞・作曲者本人による歌ってみた。映像も前日にニコ動に投稿された特別PVを使っており、今回のヒットで制作陣も盛り上がって「公式が野生」というようなフリーダムな動きをしています。すごーい!

「けものフレンズ」関連のニコ動の動画(左軸)およびpixivのイラスト(右軸)の1日ごとの投稿数の推移。データ取得はグラフ1と同様

 男女別の投稿者数は男性では「小林さんちのメイドラゴン」「この素晴らしい世界に祝福を!2」「けものフレンズ」「幼女戦記」「ガヴリールドロップアウト」「リトルウィッチアカデミア」などで多いです。女性では「銀魂.」「弱虫ペダル NEW GENERATION」「小林さんちのメイドラゴン」など上記タイトルのほか、新作の「ACCA13区監察課」が伸びてるようです。

アニメ「ACCA13区監察課」より公式PV。原作は月刊ビッグガンガンで連載していたオノナツメの同名のマンガ。国の警察・消防・医療などを担う巨大民間組織ACCA。その不正を監視する監察課副課長を務めながら謎も多いジーン・オータスをめぐるシリアスストーリー。作中では貴重品のタバコのように高級感と危険な香りのする作品。


 海外からの投稿では「小林さんちのメイドラゴン」「リトルウィッチアカデミア」「この素晴らしい世界に祝福を!2」「銀魂.」「ガヴリールドロップアウト」などが人気。R-18イラストが多かった作品は「この素晴らしい世界に祝福を!2」「弱虫ペダル NEW GENERATION」「小林さんちのメイドラゴン」「銀魂.」「けものフレンズ」「リトルウィッチアカデミア」など。ほか「AKIBA’S TRIP -THE ANIMATION-」でR-18が2割を超えています。

 キャラ別のR-18イラストでは「めぐみん」「アクア」「トール」「ダクネス」「カンナカムイ」とこのすば・メイドラゴンの2作が上位独占。特に「ダクネス」は3割がR-18イラスト。ほかでは「亜人ちゃんは語りたい」のサキュバスの亜人教師「佐藤早紀絵」でR-18イラストが4割でした。

 今期作品でpixivでの投稿が多かったキャラクターは「この素晴らしい世界に祝福を!2」の「めぐみん」、「幼女戦記」の「ターニャ・デグレチャフ」、「小林さんちのメイドラゴン」の「カンナカムイ」「トール」など。上位はいずれも女性。

 男性キャラでは「銀魂.」の「坂田銀時」「沖田総悟」、「弱虫ペダル NEW GENERATION」の「荒北靖友」などの投稿が多いです。

 週ごとに見ていくと放送前の第1週は銀魂や弱虫ペダルの男性キャラクターが多かったのが、放送第1回の多い第2週で「めぐみん」「千矢」「ターニャ・デグレチャフ」「トール」などが上昇。3~4週で「めぐみん」「ターニャ・デグレチャフ」がトップで安定かと思いきや「カンナカムイ」ちゃんが急上昇して5週目でトップになりました。さらに「けものフレンズ」の爆発的ヒットで「サーバル」ちゃんも2位に食い込みまた分からなくなっています。

1月1日から7日ごとに多かった各タイトルのキャラクター名のタグを順に並べたもの。同一キャラクターのタグについては上位のもののみ掲載。濃い黒字は前週から順位が上昇したキャラクター。男性キャラクターは青、女性キャラクターは赤で塗ってある。男性キャラの比率が減っていく様子と、上位の移り変わりが分かる。2月5日~11日に上昇している「山崎退」は誕生日

「魅力的なキャラ」を擁する作品はまだまだ埋もれている!?

 今期は2016年の1月と似ており、通じてみると目立って投稿の多いタイトルは無し、特に女性投稿は銀魂・弱ペダ・青エクなどがあるものの低調です。2016年の「おそ松さん」同様、前期も「刀剣乱舞」と「ユーリ!!! on ICE」があり女性人気の話題はそちらに引きずられているのかもしれません。

 男性人気では途中までこのすばがトップでしたが、前人気に対して大きな拡大とはなっていません。一方新作では好調なタイトルもあり、特にカンナカムイちゃん人気の「小林さんちのメイドラゴン」はニコ動・pixivともに大きく伸びました。pixivではやや弱いものの「幼女戦記」も好調です。

 そして6週目にもなって「けものフレンズ」が劇的な増加。記事執筆中にリアルタイムに増加しており予想がつかない動きとなっています。ここまで時間差でブレイクする例は珍しいですね

 ヒットの理由はわかりませんが、良い作品であることは間違いないですし、前述の通りアニメ化以前にも小さな人気はあったタイトルでしたので、いろんなものがいい具合に噛み合った結果なのでしょう。規模は違いますが比較的小規模な人気のあったタイトルが何年か越しに何かのきっかけで急にブレイク、という流れ自体は2015年末のガルパンも思い出します。

 すでに閉鎖されたスマホゲームのアニメというのが珍しいですが、ここ数年で多数のキャラクター主体のソーシャルゲームが登場し、惜しまれて終わったタイトルもあります。あまり知られていない魅力的なキャラクターは多いため、何かのきっかけでアニメ化等からブレイクという流れは今後も出てくるかもしれませんね。今後も注目していきたいと思います。

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 コミックマーケット91でスペースまで来てくれた皆様、ありがとうございました。『ニコニコ統計データハンドブック2017』など新刊・既刊はCOMIC ZINに委託中です。

筆者紹介:myrmecoleon

 趣味で同人誌やニコニコ動画関連の研究をしてる人。コミケ・ニコニコ動画・pixiv・deviantARTなどの調査を行ない、『ニコニコ統計データハンドブック2017』など同人誌としてコミケで頒布。2014年に自身の企画で「次元の壁をこえて 初音ミク実体化への情熱 展」を開催。元明治大学米沢嘉博記念図書館スタッフでニコニコ学会β実行委員。
 Twitterアカウントは@myrmecoleon。関わった著作に『進化するアカデミア 「ユーザー参加型研究」が連れてくる未来』(イースト・プレス刊)など。画像は筆者を擬人化?して描いてもらったキャラ「ありらいおん子」。男の娘。

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