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ついに3万円台から可能に! 4K BD再生環境構築 第3回

臨場感が倍増でも実はお手軽!? 4K BDをDolby Atmos環境で楽しむ!

2016年12月14日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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スピーカーを天井に置かなくてもいいサラウンドシステム

ヤマハ「YSP-5600」

ヤマハ「YSP-5600」

 スピーカーを天井に置くのは難しい、という人たちのために登場したのが、ヤマハ「YSP-5600」。現在のサウンドバースタイルの先駈けとも言うべきワンボディーで完結するサラウンドスピーカーシステムの上級モデルだ。

 同社のYSPシリーズはもともと、多数のビームスピーカーを制御して音のビームを作り出し、壁の反射を利用してリアル5.1ch/7.1chを実現していた。これに加えて、天井へ音を反射させるスピーカーも追加して、Dolby Atmos対応を果たしたわけだ。

 実売価格は17万5000円前後と高価であることや、サイズが大きいために薄型テレビの前に置いて使うことができず、専用のラックやスタンドを使ってテレビの手前に配置するような使い方になるのが難点。

 広い部屋があって、予算的にも余裕のある人にはいいが、もう少しコンパクトで使いやすいモデルでないと多くの人にとってはまだまだハードルが高いようだ。

 ちなみに、天井に設置するべきスピーカーの音を、天井の反射を利用して実現する方法は、Dolby Atmosを開発したDolby自身も推奨し、それに特化した専用スピーカーとして、「Dolby イネーブルド・スピーカー」を規定。

オンキヨー「D309H」。左右ペアで実売価格 5万円前後

2Wayタイプのオンキヨー「D309H」。左右ペアで実売価格 5万円前後

オンキヨー「SKH-410」

フルレンジタイプのオンキヨー「SKH-410」。左右ペアで実売価格 1万円前後

 国内でもオンキヨーが2種類のイネーブルド・スピーカーを製品化している。これらは、天面位置にスピーカーユニットがあり、しかも角度が設けられていて、天井に向けて音を放射する。基本的には、フロントスピーカーの上に重ねて置いて使うスタイルが標準だ。

バーチャル技術とイネーブルド・スピーカーで難関を解決
パイオニア「FS-EB70」

パイオニア「FS-EB70」。3ピース構成でAVアンプとサウンドバーともに、薄型のデザインを採用し、設置性を高めている

パイオニア「FS-EB70」。3ピース構成でAVアンプとサウンドバーともに、薄型のデザインを採用し、設置性を高めている

 現在、多くの家庭で手軽にサラウンド再生が楽しめるスピーカーの主流として、サウンドバースタイルのシステムがあり、多くのメーカーから発売されている。

 基本的な考え方としては、テレビの前に置いた横長のスピーカーでバーチャル技術による仮想サラウンドを実現するというもの。これにより、後ろにスピーカーを置くことなく、テレビの前のサウンドバーと、部屋の隅の置いたサブウーファーだけで、仮想5.1chや7.1chのサラウンドを実現しているわけだ。

 スピーカーが一体化され、しかも部屋の四方にスピーカーを置く必要がないので実現のハードルが低く、大きな人気となっているのはご存じの通りだ。

 そのサウンドバーにイネーブルド・スピーカーを組み合わせ、Dolby Atmos環境を実現できるのが、パイオニアの「FS-EB70」(実売価格 11万7000円前後)だ。

 基本的な構成としては、フロント3ch、イネーブルドスピーカー2chを内蔵したサウンドバーと、ワイヤレスのサブウーファー、駆動するための薄型AVアンプの3つの機器のセットとなっている。

FS-EB70のサウンドバー部の左側の上面を映したところ。上面の部分に音を通すための孔が開いていることがわかる。この下にイネーブルド・スピーカーがある

FS-EB70のサウンドバー部の左側の上面を映したところ。上面の部分に音を通すための孔が開いていることがわかる。この下にイネーブルド・スピーカーがある

 背の高さが53mmの薄型スピーカーの内部には、フロントL/R、センター用として各2本のユニットが内蔵され、両サイドには斜め上の向きで配置されたイネーブルド・スピーカーが合計2つある。

 残念ながらサウンドバーは保護カバーが一体化されているために中の様子を見ることはできなかったが、分解したモデルではきちんと角度を付けて配置されていることが確認できる。

サウンドバー部の裏側の接続端子。AVアンプと接続するための専用形状のコネクターがある。配線は1本とシンプルだ

サウンドバー部の裏側の接続端子。AVアンプと接続するための専用形状のコネクターがある。配線は1本とシンプルだ

サブウーファー部を底面から見たところ。大きめのウーファーユニットが下向きに配置されている。ユニットの下にある孔がバスレフポート

サブウーファー部を底面から見たところ。大きめのウーファーユニットが下向きに配置されている。ユニットの下にある孔がバスレフポート

 サブウーファーは、今や主流のワイヤレス接続タイプで、電源コードを接続する必要はあるが、AVアンプとの配線は不要。部屋の隅などに置く場合でも配線を引き回さずに済むので使い勝手がいい。

 形式としてはバスレフ型で、低音ユニットは床面に配置。床に低音を放射して四方に音を拡散するタイプだ。

 システムの中心となるAVアンプ部は、高さ約70mmの薄型設計ながら、Wi-FiやBluetoothにも対応した本格的なもの。4系統のHDMI入力は4K/60p、HDCP.2.2に対応し、UHD BDの4K+HDR信号の伝送にも対応した最新のもの。

 ネットワーク・オーディオ再生機能やインターネットラジオ機能も備えており、UHD BD再生やテレビのスピーカーとして使うだけでなく、音楽再生も十分に楽しめる実力を持つ。

 サウンドバー部のユニットが20kHz以上の超高域再生に対応してないので、ハイレゾマークは付いていないが、ネットワーク・オーディオ再生では、WAV、FLAC、DSDなどのハイレゾ音源の再生自体は可能。リニアPCM最大192kHz/24bit、DSD最大5.6MHzの音源に対応している。

 AVアンプとしては、同社の高級モデルでも採用される自動音場補正「MCACC」を搭載。付属のマイクを使って測定することにより、部屋の環境に合わせた最適な音場に補正できる。

 さらには、サブウーファーとの低音のズレを補正する「フェイズコントロール」、イネーブルド・スピーカーを使った再生で問題になる天井からの反射音と、ユニットから直接伝わる音のズレを補正する「リフレックス・オプティマイザー」を搭載。

 機能も含めてかなり本格的な内容になっているのだ。

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