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クラウドの力を見せつけたAWS re:Invent 2016 第5回

バッチやETLなど一見地味な新サービスの存在意義とは?

データの品質が差別化につながる時代のAWSのアーキテクチャ

2016年12月06日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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データ分析の延長上にある機械学習サービス「Amazon AI」

 さて、こうしたデータ分析の延長上にあるのが、いわゆるAIの分野だ。ビッグデータを分析し、データを価値に変えて行くにはAIの存在が必須。これに対して、AWSはGPGPUを利用可能な「P2インスタンス」やディープラーニング用のAMI(Amazon Machine Image)、Amazon Machine Learningを提供すると共に、機械学習用のフレームワークを提供するMXNetへの投資を行なってきた。

AI分野でのAWSのサービスと取り組み

 こうしたAWSの機械学習の利用実績はさまざまな業界に浸透しつつあり、ECのリコメンデーション、イメージ検索、不正利用の防止、自動運転、スポーツの事前予想などの用途で実績を挙げているという。また、Amazon自体も商品検索、出荷や物流の効率化、既存製品における機械学習機能の追加などを推進すると共に、Alexaの音声認識技術をベースにしたAmazon Echoのような製品を手がけている。

Amazon自体もAIやディープラーニングの技術を活用している

 とはいえ、クラウドにおけるAIのサービス化は、競合となるGoogleやMicrosoft Azure、IBMの方が先行している分野でもある。これに対して、今回は「Amazon AI」と呼ばれる機械学習サービスの製品群を発表し、一気に巻き返しを図るようだ。

 今回発表されたAmazon AIでは、イメージ認識・分析を行なう「Amazon Rekognition」、テキストツースピーチの「Amazon Polly」、自然言語解析の「Amazon LEX」の3つが用意される。このうちAmazon LEXはAmazon Echoに搭載されているAlexaの技術を用いたもので、人間の会話から自動的に意図を読み取り、適切な回答を返してくれる。Lambdaをトリガーにして、サービスを起動することができ、各種のエンタープライズサービスと連携する。

画像認識・分析を行なうAmazon Rekognition

 ジャシー氏の紹介で登壇したAWS プロダクトストラテジー GM マット・ウッド氏は、旅行予約を例にしたAmazon LEXの音声認識のデモを披露した。ウッド氏は話しかけると、録音した音声をテキスト化し、ユーザーの意図を読み取る。あとは意図を満たすためのスロットを埋め、適切な答えを戻すという流れになる。たとえば日付がなければ、「いつにするか」を聞く質問を戻すし、パーソナライズされたり、Webサービスと連携していて日付がわかっている場合は、ホテルや航空機の予約など具体的なアクションを促すという。

Amazon LEXを使ったデモを披露するAWS プロダクトストラテジー GM マット・ウッド氏

 S3へのクエリ機能、ETLやバッチ管理など、一見地味なサービス群だが、実用性は高い。発表後に話を聞いたデータ分析系のエンジニアは、「今まで自分たちが手作業で補っていた領域が、すべてマネージドサービスになった」と興奮気味に話していた。ユーザーのニーズからサービスを組み上げるAWSの真骨頂が、まさにこれらの新サービスに現れているのではないだろうか? そして、AIの分野も順当にサービスを積み上げ、一気通貫のデータアーキテクチャを提案してきた。エンジニア層のみならず、よりビジネスに近いユーザー層が、今後AWSをデータ分析プラットフォームの選択肢に挙げてくるのは確実だろう。

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