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田畑の見える化サービスを来春開始

ドローン・ジャパン、国産「ドローン米」世界展開へ

2016年10月12日 06時00分更新

文● 川島弘之/TECH.ASCII.jp

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 ドローン・ジャパンは、ドローンで田畑を見える化する「DJアグリサービス」を2017年4月より開始する。

 対象はお米。その栽培技術を継承するため、栽培を見える化する。具体的には、(1)リモートセンシングサービス、(2)クラウドサービス、(3)データ提供サービス、(4)レポートサービスを提供する。

DJアグリサービスプラットフォームについて説明するドローン・ジャパン代表取締役社長の勝俣喜一朗氏

 特に、リモートセンシングの精度にこだわり、マルチスペクトルセンサー(米MicaSense製)を搭載したドローンを活用して、圃場の画像管理、圃場分析、植生指数化、ドローン航行管理までを実現する。そのデータをクラウド上で管理・運用・解析。導き出されたデータを、農業アプリ事業者に提供するのが(3)で、データを分かりやすくまとめたレポートとして生産者に提供するのが(4)となる。

サービス全体図

 自動航行技術は、ジャパン・ドローンズと開発。リモートセンシングでは高さを一定にするのが重要となるが、地形を認識した上で地面からの高度を一定にできるほか、指定した範囲を超えないジオフェンス機能などを実現している。また、植生指数化は独自開発したアルゴリズムを活用し、データを保管するクラウドサービスには日立システムズの製品を採用した。

独自アルゴリズムで植生指数化し、圃場ごとのデータをGUIに表示する

 これらドローン実機から、データ収集・分析作業、認定オペレーターによる現地サポートまでを合わせて提供するのが「DJアグリサービス」だ。「基本的に農家側で用意したり操作したりする必要はない」とのこと。なお、認定オペレーターは「DJキャラバン隊」という名称で今後拡充。JA職員や各地のドローンの操縦熟練者などを想定している。

 価格は、1haあたり4500円から。ただし、5haから、年間20回の飛行、かつ近隣地域5件以上の契約が必要となる。「ドローンの農業活用はほかにも沢山あるが、まだ多くが実証実験の段階。今回はしっかり実サービスとして発表したところに着目していただきたい。特に農業者向けに栽培支援アプリなどを提供している事業者に対して、ドローンによる圃場の画像リモートセンシングデータを提供するのは国内初」とのこと。

日本米の輸出量ももっと増やせるはず!

 まずは、2017年9月まで全国100圃場分に限定し、早期導入プログラムを開始する。現在すでに“農薬・化学肥料”に極力頼らない3軒の酪農家に協力してもらい、試験運用を実施。各々の田んぼから16年産米が収穫されている。

 そのお米をドローン・ジャパンが買い取り、「ドローン米」というブランドのパックご飯として製品化。2017年3月より国内外で発売する。ラベルに記載されたQRコードからは、ドローンの空撮映像による田園風景・圃場の様子が見られる。収益はDJアグリサービスの改良に費やし、篤農家の技と志をさらに見える化して伝えていくために活用する。

「ドローン米」のブランドでパックご飯として商品化

 これを「ドローン米プロジェクト」として、自然調和を心がける日本ならではの稲作栽培を世界に広げるべく、積極的に取り組む姿勢。

 その深意について、ドローン・ジャパン代表取締役社長の勝俣喜一朗氏は「なぜパックご飯なのかというと、世界を意識している。生のお米は関税が高くなるが、パック米に加工するとお菓子と同じ扱いとなる。いま、日本語の“美味しい”が世界標準の言葉になっており、日本の自然農法に世界から注目が集まっている。にもかかわらず、日本の農家には、ご飯大盛り一杯につき約30円しかリターンがない。世の中の風潮としては、いかに農業を効率化するか、大規模するか、コストを下げるかに注目が集まっているが、それ以上に丹精込めて作る生産者への価値を考えなければいけない。そのために、ドローン米プロジェクトでは、作り手、伝え手、食べ手をドローンでつなげるものにしていきたい」と説明する。

作り手、伝え手、食べ手をつなぐドローンでつなぐ「ドローン米プロジェクト」

 さらに野心的な展望として、「日本のこれからの農業は課題山積だが、その分、チャンスも大きい。世界の食糧危機や環境破壊問題が間もなく押し寄せてくるが、日本の農業の在り方が世界に広がれば、究極的にはそうした問題解決にもつながるのではないか。そこまで意識して取り組んでいる」と説明。

 数値的な目標として「日本のお米の生産高は年間800万トン。そのうち世界に輸出されているのは4000トン。全世界で流通しているお米は年間2500万トンにものぼるのに、日本からはわずか4000トン、0.016%しかシェアがない。世界中で日本食ブームが起きているいま、しっかりと日本の“農”を伝えていけば、輸出量はもっと増やせるはず。例えば、カリフォルニア米は8%のシェアがあるが、その半分の4%くらいまではいけるのでは。もちろん、そのためにやるべきことは多いので、1つ1つ取り組みたい」と語った。

発表会にはドローン・ジャパンのほか、ジャパン・ドローンズ代表のRandy Mackay氏や、試験運用を行った市川農場の市川範之氏などが登壇した

 今後は正式なサービス提供に向けて、さらにブラッシュアップを図る。例えば現在、東京大学 大学院農学生命科学研究科 生物機械工学研究室では、田んぼの水面をアイガモのように泳ぎ、人手では測れない田んぼの奥でも水温・水質が計測できるロボットを開発している。実証後、この「アイガモドローン」についてもポートフォリオに加える方針だ。

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