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「ニュースパス」開発でのサーバーレス活用、「ServerlessConf Tokyo」レポート(後編)

Gunosyが語る「サーバーレス」とモバイルアプリのいい関係

2016年10月13日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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サーバーレスで大幅な効率的が可能、ただし“銀の弾丸”ではない

 サーバーレスアーキテクチャを取り入れたこうした取り組みの結果、Gunosyでは、過去に抱えていた幾つもの課題について「前に進むことができた」と松本氏はまとめた。

上述した取り組みによって、過去の課題が解消に向かって前進している

 とはいえ、取り組みを進める中では問題も発生したという。松本氏は「サーバーレスとはいえ、時には雲の上のことも考えよう」と述べ、Gunosyで遭遇した幾つかのトラブルを紹介した。

 たとえば、幅広い機能を提供するCognitoと、自社開発の重複という問題である。Congnitoが管理するAWS上のユーザーと、自社システムのうえでのユーザーとがどういう関係になるのかをあらかじめ整理しておかないと、将来的に整合性がとれなくなる可能性がある。松本氏は一例として「ユーザーアカウントのライフサイクル」を挙げ、事前に詳細な検討が必要であることを示した。

Cognitoと自社開発システムの間でのユーザーアカウントの整合性は、事前によく検討しておくべきと松本氏

 そのほか、SDK利用時に裏で動いている処理の挙動、シンク機能の競合解決、シンクに基づくLambdaトリガーの頻度調整、古いデバイストークンとSNSエンドポイントの処理といった部分でも、それぞれ検討が必要だったという。まさに「雲の上のこと」、つまりクラウド上でどのように処理されるのかを十分に考える必要があるということだ。

1人のユーザーが複数クライアントを起動している場合のデータ競合の問題が生じうる

CognitoのシンクをLambdaのトリガーにする場合はその頻度に注意

 サーバーレスアーキテクチャについて、松本氏は適切な目的で使えば大幅な効率化が図れるものの、「(あらゆる課題を解決できる)“銀の弾丸”ではない」ことを強調した。

 「サーバーレスは、盲信するよりも半分批判的な目で見ることが大事かと思う。ニュースパスでは、運用部分の人手を減らすことができた。ただし“罠”もたくさんあるので、皆さんは一つ一つ精査しながら、いろんな事例も見て、適切に使っていくようにしてほしい。AWSに限らず、GCP(Google Cloud Platform)など多彩なサービスも出てきている」

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