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VRおじさんの「週刊VRかわら版」第26回

空撮の民主化に大きな一歩

セルフィーも空からの時代に! 個人向け製品+VRが切り拓く未来

2016年10月05日 14時00分更新

文● 広田 稔 編集●飯島恵里子/ASCII.jp

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VR業界の動向に日本一詳しいと自負するエヴァンジェリスト「VRおじさん」が、今週のVR界の出来事をお知らせします!

ドローンも新時代に突入!?

 どもども! VRおじさんことPANORAの広田です。東京ゲームショウ2016が終了し、いよいよ10月13日のPlayStation VRに向けて発売のカウントダウンが始まったVR業界。もちろん、PS VR関連のニュースも目立っていますが、それ以外も話題が尽きないのが広がりを感じさせます。

 例えば、店舗型VR複合カフェ「自遊空間」が新たにスマートフォン向けVRゴーグルの「Gear VR」を130台導入し、全国70店舗で合計190台が利用可能になったというニュースや、12月9日より愛知県長久手市にオープンするイオンモール長久手にて「namcoイオンモール長久手店」が開設され、お台場「VR ZONE Project i Can」で話題になったVRアトラクションが導入することが話題になりました。

 クリエイター支援のニュースも目立ちます。Tokyo VR Startupsの第2期が決定したり、VR開発に適したコワーキングスペース「Future Tech Hub」が発表されたり、2017年4月にVR専門の教育機関「VRプロフェッショナルアカデミー」の開校が明らかになったりと、今後のVR業界における人材を育む土壌が整って来ております。

 それらと並行して今回、注目しておきたいのがドローン業界です。VRとの関係でいえば、360度空撮に活用されいたり、カメラの映像をヘッドマウントディスプレーで見られたりと、意外とつながりがあるドローン。ここ1週間で動きがあったので、まとめていきましょう。


コンパクト&高性能という絶妙なポジション

 ドローンというと、ラジコン飛行機の最先端といったイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれませんが、カメラの分野でも大きな存在感を示しています。今まで、数十万、数百万円かかっていた飛行機やヘリからの空撮が、数十万円のドローンでできるようになった。しかも数十m程度と、飛行機やヘリよりも地上がよく見える絶妙な距離で、動かしながら撮れるのが強みになります。

 さらにこの流れをさらに推し進めてくれそうなのが、今週発表されたDJIの「Mavic Pro」です(PANORAの記事)。DJIといえば、Phantomシリーズで知られる業界のトップシェアと言われる企業で、多くのプロドローンパイロットも愛用しています。ちなみにドローンの基礎知識については、以前PANORAで掲載した黒田さんへのインタビューがわかりやすいです。

 そのMavic Proはある意味、「空撮の民主化」ともいえる大きな一歩になるでしょう。一番の特徴は、プロペラを折りたたむと500mlペットボトル並みに収まるというサイズにも関わらず、

  • 4Kで3軸ジンバルスタイビライザー付きカメラ
  • 被写体への自動追従
  • 障害物の自動回避
  • 27分という長めの稼働時間
  • ジェスチャーでのシャッター指示
  • 離陸した場所への自動着陸

……といった、最新の機能を盛り込んできているところです。

折り畳んだところと、展開したところ。すでにDJIのサイトで注文可能で、10月中旬以降の出荷予定

 多くの人にとってカメラを使う目的の根底には、自分の人生の瞬間を記録しておいて、後で自分で振り返ったり、誰かに見せたいというニーズがあるでしょう。昨今ではTwitterやFacebook、Instagramといったウェブサービスでの共有が主になってきています。

 高性能なカメラ付きドローンをより気軽に持ち運べれば、今までよりダイナミックなアングルでの写真や動画が撮れる機会を増やせるわけで、シェアした際のインパクトも大きくなります。カメラで言えばミラーレス、VRでいえばGear VRやGoogle Daydreamといった、モバイルプレミアムな絶妙なポジションでしょうか。

 Mavic Proは価格的にも11万9800円と、10万円台後半からだった高性能モデルと1桁万円台のホビーモデルの中間に位置してます。今までのホビー機の画質や撮影機能に満足できなかった層、ちょっと触って終わりではなく継続してドローン撮影を活用したい層も取り込んでいけそうな勢いです。筆者もぶっちゃけほしい!

自動追従機能は備えていませんが、同じ今週にGoPro初のドローン「Karma」について国内でもプレス向け発表会が実施されました

住宅地でも飛ばせる200g以下のモデル

 そんなMavic Proにも法律という大きな壁があります。日本では昨年12月より航空法が改正されて空港周辺や人口密集地、150m以上の上空での飛行が原則禁止となり、飛ばしたい場合には事前に許可が必要になりました。スナップショット的にドローン撮影をしたい場合、人口密集地なことも多いわけで、これはかなりの制限となります。

 ただ、200g以下のドローンは、この法規制の対象外という抜け道もあります。そこで注目されているのが、DMMが10月7日に発売を予定している「DOBBY」で、約199gとこの条件をクリアーしつつ、被写体への自動追従やジェスチャー機能なども盛り込んでいます(PANORAのニュース記事)。価格は5万4800円とより安価です。

DOBBY

 さらに360度撮影を前提とした、民生向けのドローンも開発されています。VR専門のインキュベーションプログラム「Tokyo VR Startups」の第1期卒業生となる日本のベンチャー企業、IcARusは、360度カメラを備えた円盤型のドローン「ELFLY」(エルフライ)を制作中です。

 上下に魚眼レンズを搭載し、空から周囲を一気に撮影可能。さらにVRヘッドマウントディスプレーをかぶって、空を飛ぶ感覚を再現できるという使い方も目指しています。現在、THETAを始めとする360度カメラが1桁万円台で登場し、空間を切り取って残せる存在として徐々に認知度を高めつつありますが、それの空撮版というのが興味深いですね。クラウドファンディングも予定しているとのことなので、ぜひ注目しておきましょう。

ELFLYはプロペラが当たっても怪我をしないように網で覆われており、天地の中央に2つのレンズを備えています。手に持っているのはIcARus代表の村下熙氏

 ドローン業界はVRと同じで、数百、数千万円かかっていた空撮を一気にコストダウンして身近なものにしてきました。DJI、パロット、3Dロボティクスといった「御三家」があるのも、VRにも似てますね。VR、AR、AI、IoT、ドローンといった現在注目されている技術は、相互に作用して発展していく部分があります。VRに興味がある人も、ぜひドローンを調べてみると広がりが出てくるはずです。


著者近影

広田 稔(VRおじさん)

 フリーライター、VRエヴァンジェリスト。パーソナルVRのほか、アップル、niconico、初音ミクなどが専門分野。VRにハマりすぎて360度カメラを使ったVRジャーナリズムを志し、2013年に日本にVRを広めるために専門ウェブメディア「PANORA」を設立。「VRまつり」や「Tokyo VR Meetup」(Tokyo VR Startupsとの共催)などのVR系イベントも手がけている。


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