ライブへ行こう!
このインタビューは、4月24日に大久保の「ひかりのうま」で催されたレコ発ライブ前に行なった。ひかりのうまは、今回のアルバムのレーベル Club Lunaticaを主催する谷口マルタ正明さんのお店で、彼らにとってはホームグラウンド。旧い喫茶店を居抜きで使い「キューピット」という店の看板も前のままながら、音響はBOSEのL1システムで近代的。ライブ終了後は深夜までカフェ営業していることもあり、知る人ぞ知るアンダーグラウンドシーンのサロンのようにもなっている。
間近で観るてあしくちびるはやはり圧倒的で、アコースティック楽器と声だけという、プリミティブな編成ならではのダイナミックさに、まず耳を奪われる。もちろん演奏も含めたライブパフォーマンスに関する技量については、さすがとしか言いようがない。くっちーの歌とバイオリンさばきの躍動感はこの編成の要だし、kawauchiさんは温厚そうに見えつつ、常に狂気めいたオーラを発散させている。その対比がてあしくちびるのおもしろさだと改めて思える。
彼らはメジャーであれインディーズであれ、日本の音楽シーンに蔓延していた閉塞感を打破する、久々の新しい切り口を持って登場した。既存ジャンルのマニアに向けた、単に偏差値の上下を競うような音楽とはまったく違うところで、独自のポップなアプローチを成立させている。あとは多くの人に聴かれる機会を得て、その評価を待つだけの状態だろう。
関東近県ではほぼ毎週のように彼らのライブがあるので、ぜひ足を運んでほしい。彼らのライブスケジュールは公式サイトやTwitterで。
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ

この連載の記事
-
第164回
トピックス
より真空管らしい音になるーーNutubeの特性と開発者の制御に迫る -
第163回
トピックス
超小型ヘッドアンプ「MV50」のCLEANは21世紀の再発明だった -
第162回
トピックス
欲しい音を出すため――極小ヘッドアンプ「MV50」音色設定に見る秘密 -
第161回
トピックス
最大出力50Wのヘッドアンプ「MV50」は自宅やバンドで使えるのか? -
第160回
トピックス
新型真空管「Nutube」搭載ヘッドアンプのサウンドはなにが違う? -
第159回
トピックス
開発で大喧嘩、新型真空管「Nutube」搭載超小型ヘッドアンプ「MV50」のこだわりを聞く -
第158回
トピックス
唯一無二の音、日本人製作家の最高ギターを販売店はどう見る? -
第157回
トピックス
「レッド・スペシャルにないものを」日本人製作家が作った最高のギター -
第156回
トピックス
QUEENブライアン・メイのギターを日本人製作家が作るまで -
第155回
トピックス
QUEENブライアン・メイのギターは常識破りの連続だった - この連載の一覧へ