雪の日だけ偶然に見られるかも知れない
5本のタイヤを持つ車両
摩擦係数測定車 激レア度:★★★★
こちらの黄色いバン、もといツーリングワゴンはレガシーなのか? とエンブレムを見てみると、なんとサーブの9-5だった。直列6気筒エンジンでも入りそうな長いボンネットは、カモメテールランプの昔のソアラを思わせるスタイリッシュさ。やっぱスウェーデンのデザインは違うよなー。
一見ドノーマルに見えるこの車両だが、実は5本目のタイヤがリアのハッチ下についている。そして後部座席はツブされ、巨大な水槽が!
じつはコレ、滑走路の摩擦係数を測定する、その名もずばり「摩擦係数測定車」! 飛行機が飛んでこない夜中に水を撒きながら時速95kmで走り、滑走路面の摩擦を測るのが仕事だ。
飛行機のタイヤは滑走路とセットになって、グリップ力を生んでいる。一般道はアスファルトで舗装した路面と、タイヤの縦横に刻まれたトレッド(ミゾ)との摩擦で、雨の日でも安全に路面を掴み走れる。
でも飛行機のタイヤは、車のように縦横にトレッドを刻んでしまうと、スグにパンクしてしまうので、縦(進行)方向のみにトレッドが刻んである。横方向のトレッドは、滑走路の舗装面に刻んであるグルービングというミゾ。深さ6mm、幅6mmのミゾが32mm間隔で刻んであるのだ。
雨降りなどでは、タイヤの進行方向に刻んであるトレッドと、滑走路に切ってあるグルービングの溝から排水され、ハイドロプレーニング(水によりタイヤが浮いてしまい、スリップ状態になること)を防止している。
だから飛行機のタイヤが雨の日でも確実に路面を掴めるかを、摩擦測定車で散水しながら規定値以上の摩擦があるかを測定しているってワケ。
消防車や給水車など、水を運ぶ車はだいたい水槽が小部屋に分かれていて、ハンドルを切っても重心のズレを最小限に抑えるもの。でも摩擦測定車の水槽は、仕切りなし!
ドライバーに「運転しづらくないんすか?」って聞いたところ、カーブをするとタンクの水が左右に揺れるので、とっても運転しづらいということだ。
まぁ業務用車両の中でも、さらに特殊用途、特殊車両ってことなので、運転の難しさはドライバーの腕でカバーするっていう男らしい車だ。
さて普段は夜中にしか走らないこの車だが、唯一昼間に見られるときがある。それは雪の日だ。除雪車を走らせた後や、降雪が激しいときに出動し、安全・確実に飛行機が止まれる摩擦を保持できているかを調べるのだ。