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グローバルモデルをそのまま投入した「HTC 10」の狙いとは

「HTC 10」は打倒iPhoneの第一手? HTC NIPPON社長インタビュー

2016年06月11日 12時00分更新

文● 佐野正弘 編集●ゆうこば

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グーグルと共同でAndroidのユーザー体験を共通化

 HTC 10は機能面だけでなく、UIなどのソフトウェア面でも、グーグルと協力を進め、重複するアプリ数を減らしてユーザー体験をシンプルにする取り組みが進められている。こうした取り組みは、海外では昨年発売された「HTC One A9」から進められているそうで、日本ではHTC 10が初となる。

プリインストールアプリのビフォー(左)&アフター(右)の例。通話アプリや連絡先、カレンダー、ミュージックプレイヤーなどに注目

 なぜHTCが、このような取り組みを進めているのだろうか。玉野氏によると、そこにはiPhone、ひいてはiOSが世界的に勢力を伸ばしていることが大きいという。iPhoneは安価なAndroid端末に押されてシェアを落としていると言われているが、同社の調査では逆に、利用が拡大しているとのこと。それはiPhoneの普及率が最も高い日本だけでなく、米国や欧州、中国などでも起きているそうで、「Android陣営の危機感はかなり高い」と玉野氏は説明する。

 そしてiPhoneの利用が高まっている大きな要因の1つとして挙げられたのが、「ユーザー体験が共通しており、端末やキャリアを変えても、改めて操作を覚える必要がないこと」(玉野氏)だという。Androidは自由度が高く、OSの深い部分に手を入れてのカスタマイズも可能だが、そのことがメーカーやキャリアを変えると使い勝手などが変わってしまい、1から使い方を覚えなければならないという問題も引き起こしている。

HTCとグーグルは、Androidデバイス全体のUXの改善を進める

 そうしたユーザー体験の問題が、iPhoneからAndroidへの乗り換えを妨げているとHTCは判断。グーグルに働きかけ、グーグルと端末メーカー、そしてキャリアが一体となって、ユーザー体験の共通化を実現するための取り組みを進めているのだそうだ。アプリの一本化はそうした取り組みの1つであり、自社製のアプリにこだわらない方針をHTCは示している。

 さらに今後は、OSの深い部分に手を入れることなく、メーカーやキャリアの独自アプリやサービスを実現できるようにし、OSを可能な限りフラットな状態にしてユーザー体験の共通化を図りたいと、玉野氏は話している。だがここで問題となるのが、カスタマイズを重視するメーカーやキャリアが抵抗する可能性があること。特に日本の場合、キャリアが独自の機能やアプリをプリインストールして提供するケースが多く、HTC 10もauが提供する独自アプリが入った状態で出荷される。それだけに、OSを深いレベルでカスタマイズできなくなることを、キャリアが嫌う可能性も十分考えられる。

 だが玉野氏によると、「日本のキャリアは通信と直接関係のないサービスに注力しているので、そこまで大きな問題にはならない。むしろ、海外キャリアの方が、OSに手を加えて独自のコミュニケーションサービスやセキュリティを導入していることが多い」とのこと。キャリアによるカスタマイズは日本に限ったものではなく、むしろ海外の方が深刻だと説明する。

 それだけに玉野氏は、「グローバルで主要キャリアと話をしていくことが重要」だと話す。「iOSと同じようにアップデートできる環境を作ることができなければ、競争に勝てない」(玉野氏)ことから、HTCとしても今後、グーグルと協力しながら、Androidの分断化を減らす取り組みをしていくとのことだ。

SIMフリー市場やVRへの取り組みは?

 今回のHTC 10はキャリア向けモデルとなるが、HTCは昨年「HTC Desire EYE」と「HTC Desire 626」でSIMフリー市場にも再参入している。玉野氏によると、昨年のSIMフリー市場への再参入は、市場の動向を探るトライアルとしての意味合いが大きかったそうだが、実際に参入してわかったのは、2万円以下の価格帯でないと販売が伸びないことだという。

SIMフリースマホ「HTC Desire EYE」(左)と「HTC Desire 626」(右)

 「日本ではLTEに対応する必要があるなど、端末にも高い性能が求められる。だがその価格帯ではHTCの良さと性能を両立するのが難しく、中国などのベンダーには勝てない」と玉野氏は話すが、それがSIMフリー市場の現実であることも事実。では、HTCはどうやって、この市場に本格的に切り込んでいこうと考えているのだろうか。

 玉野氏によると、SIMフリー市場では3〜4万円台のミドルレンジの価格帯に注力する方針とのこと。そうした価格帯の中でもHTCの特性が打ち出せるモデルを投入しつつ、フィールドテストなどに時間をかけ、高い品質を確保することで評価を高めていく考えを示している。

 また、HTCは「HTC Vive」を発売するなど、最近では仮想現実(VR)の分野でも注目されている。「HTC Viveの発売で『ここまでできる』ということを多くの人に見てもらい、その体験をモバイル化する。来年の頭にはモバイル化を推進していければと考えており、準備を進めている」(玉野氏)とのことで、来年にはHTC Viveの技術を取り入れながら、スマホによるVRにも力を入れていく考えのようだ。

VR HMD「HTC Vive」

 最後に玉野氏は、「HTCは世界で初めてメタルボディーのスマートフォンにチャレンジするなど、チャレンジする姿勢が注目されてきた。HTC 10にも、渾身のこもったメタルユニボディに、世界初、日本発、au初といった要素を詰め込んでいることから、ぜひ一度体験してみて欲しい」と、同社のファンに向けて改めてHTC 10をアピールした。今後の取り組みにも注目されるところだが、まずはHTC 10で、HTCの魅力を再確認してみたいところだ。

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