このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

最注力製品はRHEL OpenStackやAnsible、コンテナの企業利用促進も

レッドハットの新年度戦略は「10年後を見据えた基盤作り」

2016年04月21日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 レッドハット日本法人は4月20日、新年度(2017会計年度、2016年3月~2017年2月期)の事業戦略発表会を開催した。同社代表取締役社長の望月弘一氏は、「今後10年のITイノベーションとビジネス基盤を見据えた際のファウンデーション(基盤)を作っていく重要な年となる」と述べ、特にOS以外の領域におけるビジネス成長を図っていく方針を明らかにした。

レッドハット 代表取締役社長の望月弘一氏

RHELとその他製品の売上げ比率を「2020年までには『5:5』に」

 望月氏はまず、2016年度のビジネス概況を振り返った。グローバルの売上は前年度比15%増の20億5000万ドル(営業利益率23.6%)で、54四半期(14年間)連続の売上成長を達成した。特にアプリケーション開発&エマージング技術分野では、対前年度比で46%増と大きな成長を遂げている。日本市場のみの数字は非公表だが、「ほぼグローバルと同様の成長」(望月氏)だった。

 昨年度の日本市場では、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)OpenStack Platformの実績数が3.5倍と大きく伸びた。「これは国内OpenStack市場の平均(2~2.5倍)よりも大きな成長」(望月氏)。そのほか、リアルタイムビッグデータシステムやIoT事業基盤、SDS(Software-Defined Storage)事業基盤の国内実績も増加した。新製品としては、商用PaaS基盤の「OpenShift Enterprise 3」MBaaSの「Red Hat Mobile Application Platform」が国内投入されている。

 引き続き2017年度も、RHELのビジネス(OSビジネス)を土台として、OpenStackや仮想化製品の「クラウドビジネス」、SatelliteやCloudFormsの「ITマネジメントビジネス」、JBossやOpenShiftの「アプリケーションプラットフォームビジネス」という成長領域の“三本柱”を伸ばしていく。ただし、各ビジネスの売上バランスに関しては徐々に変革を進めていく方針だという。

「オープンソースで顧客のビジネスイノベーションに貢献」するというビジョンの下、RHEL、クラウド基盤、ITマネジメント、アプリケーションプラットフォームの各製品を展開していく

 「レッドハットのコアコンピタンス(価値の源泉)はRHELであり、現在も売上の8割を占める。OS市場全体は大きな拡大が見込めないため、メインフレームやWindowsからシェアを奪うかたちで年率10%の伸びを目指す。一方で、RHELとその他(三本柱)の売上比率を、現在の『8:2』から2020年には『5:5』に持っていく。そのために、OS以外の各分野では、それぞれ年率30%くらいの成長を目指さなければならない」(望月氏)

 こうした変革は、今後10年間のITイノベーションとビジネス基盤を考えてのことだという。望月氏は「今年度は、10年後を見据えた際のファウンデーション(基盤)を築く年だ」と述べ、2025年にどうしたビジネスIT基盤が必要とされるのかという予測を示した。

2025年には、RHELやOpenStackがあらゆる環境に展開し、コンテナ技術や自動化技術もより高度化/普及しているというビジョン

 このビジョンに基づき、望月氏は2017年度の最重要テーマとして、「OpenStack市場におけるトップシェアの獲得と維持」(クラウド)、「インフラ自動化ツール「Ansible」ビジネスの立ち上げ」(ITマネジメント)、「企業によるコンテナ活用の定着」(アプリケーションプラットフォーム)、「クラウド、オンプレミスにおけるRHELのトップシェア維持」(OS)という4点を挙げた。

2017年度の最重要テーマ。4つの領域それぞれで、2025年に向けた「基盤」を固めていく

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード