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既存システムと次世代型システムをAPIでつなぎ、顧客ビジネスのデジタル変革を促す

レッドハット、3scaleのAPI管理ソリューションを提供開始

2017年01月30日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 レッドハットは1月27日、昨年同社が買収したAPI管理ソリューションである「Red Hat 3scale API Management Platform」の正式提供を開始した。同日の説明会では、API管理製品市場におけるレッドハットの戦略、他のレッドハット製品との統合方針などが紹介された。

説明会に出席した米レッドハット APIマネジメント担当シニアディレクター&ヘッドのスティーブン・ウィルモット(Steven Willmott)氏

レッドハット日本法人 プロダクト・ソリューション本部 本部長 岡下浩明氏

「デジタル変革もIoTも、API抜きでは難しい」ウィルモット氏

 3scale API Management Platformは、もともと2007年に創業した米3scale(スリースケール)が開発、提供してきたものだ。顧客企業数は700社以上。昨年7月にレッドハットが3scaleを買収し、プロダクトラインアップへの統合を進めてきた。

3scaleの顧客企業。業界を問わず利用が進んでいるという

 3scaleの共同創業者でありCEOを務めていたウィルモット氏は、3scaleではオープンソースソフトウェア(OSS)を「信奉」しており、実際にすでに一部コンポーネントはOSS化していると語った(今年9月をめどとして全面的にOSS化する予定)。また、レッドハットという企業については「ソフトウェアの力を用いて、顧客企業の競争力を高めることに長けていると思う」と評価する。

 APIへのアクセスゲートウェイ、認証/セキュリティ、利用状況の可視化、課金、開発者向けポータルなど、統合的なAPI管理手段を提供するAPI管理ソリューションは、企業のデジタルトランスフォーメーション(デジタル変革)やIoT/モバイル対応といった取り組みを成功させるために欠かせない存在として、企業からの注目を集めている分野だ。

 ウィルモット氏は、モバイル/IoTやデジタル変革だけでなく、顧客(取引先)とのシステム連携、パートナーエコシステムの拡大、社内におけるアプリ開発のアジリティ、自社保有データのマネタイズといったビジネスの文脈においても「APIを活用しなければ、こうした変革は難しいだろう」と語り、管理ソリューションの重要性を強調した。

 APIを通じてビジネス変革を果たした企業の一例として、ウィルモット氏は、3scaleの導入顧客である食品メーカーの米キャンベル社を取り上げた。「キャンベル・スープ」で有名な同社は、2、3年ほど前から、製品の栄養情報やレシピ情報をAPI経由で提供してきた。そして現在は、そのAPIを活用して「Amazon Echo/Alexa」に対応したアプリを提供している。

 このアプリは、ユーザーがAlexaに「今夜の献立はどうしよう?」と尋ねると、ユーザーの好みなどを質問しながらお勧めレシピを検索し、さらには調理中の手順も音声で(つまりハンズフリーで)ガイダンスしてくれる、というものだ。ウィルモット氏は、「APIを通じて、キャンベルはブランドエクスペリエンスを高めることに成功した」と語った。

3scale導入顧客であるキャンベルのAPI活用事例

APIゲートウェイとマネジメント部を分離させ、スケーラビリティを高める

 3scale API Management Platformの技術面での特徴は、スケーラブルかつ柔軟な分散アーキテクチャにあると、ウィルモット氏は説明した。具体的にはモジュラー構造を採用し、アプリケーションがAPIを公開する「ゲートウェイ」部分と、認証やアクセス解析、課金、開発者ポータルなどの管理機能を提供する「コントロール」部分を分離している点だ。

アーキテクチャ概要(図は3scale Webサイトより)。APIトラフィックを処理するゲートウェイ(図左)と管理機能を持つコントロール部(図右)を分離している

 このAPIゲートウェイは、3scaleが提供するSDKを利用してアプリケーションに組み込むことも、nginxベースで開発されたプロキシを通じて提供することもできる。また、コントロール部(マネジメントサーバー)はAWS上に構築されており、クラウドサービスとして提供されている。

 こうしたアーキテクチャにより、外部アプリなどからのトラフィックの集中するゲートウェイが柔軟にスケール可能になるとともに、APIサービスにおける単一障害点の発生も防げるため、安定性が高い。また、多くの競合製品がゲートウェイのノード単位でのライセンス課金になっているのに対し、3scaleではゲートウェイをいくつ設けても料金は変わらない(公開するAPI個数とAPIコール数に基づく料金体系)。加えて、API管理プラットフォームそのもののAPIも提供しており、DevOps環境でのプロセス自動化に対応できると、ウィルモット氏は説明した。

 3scale API Management Platformは、すでにレッドハット製品との統合を開始している。ゲートウェイ(プロキシ)はコンテナ化されており、「Red Hat OpenShift Container Platform」との連携で、API負荷に応じたオートスケールなどが可能になる。そのほか、「Red Hat Single Sign-On(SSO)」や「Red Hat JBoss Fuse」「Red Hat Mobile Platform」などとの連携も進めている。さらに今後は、コンテナ化されたマイクロサービスのAPIを3scaleで統合管理することになるだろうと、ウィルモット氏は語った。

 「モダンなアジャイルインテグレーションは『分散型統合』『コンテナ』『API』という3つの要素で成り立つ」「新たに3scaleを加え、レッドハットはこの“3本柱”を提供できるようになった」(ウィルモット氏)

レッドハットでは、分散型のアジャイルな統合、コンテナ、APIを実現する“3本柱”を揃えたと、ウィルモット氏は説明した

 3scale API Management Platformのハイブリッド版(コントロール部にクラウドサービスを利用)のサブスクリプション価格は、年額468万円(5APIグループ、100万コール/日)から。今年春(2017年第2四半期)からは、コントロール部もオンプレミス導入する「フルオンプレミス版」の提供も予定している。

「APIは既存システムと次世代型システムの“ブリッジ”」岡下氏

 レッドハット日本法人の岡下氏は、3scaleのAPI管理ソリューションについて「レッドハットはとても良いソリューションを手に入れたと考えている」と述べた。

 「昨年末に弊社望月(社長)が述べたとおり、今年2017年は、さまざまな顧客がデジタル変革に挑戦する年になる。顧客がそうした環境を作っていくために、レッドハットはOpenStack、コンテナ(OpenShift)、Ansibleといったビジネスを始めてきた。しかし、そこで1つ足りないピースがあった。それがAPIだ」(岡下氏)

 岡下氏は、企業がコアビジネスのデジタル変革を進めていくうえでは、「従来型システムと次世代型システムの架け橋」となるAPIが欠かせないと位置づける。そこを担うのが3scaleということになる。まずは既存のコアビジネスを“API化”し、3scaleを活用してそのAPIを活用する新たなアプリケーションの開発を促進し、新たな価値創出へとつなげていく。

従来型システム(RHEL、JBoss)のレイヤーと次世代型システム(OpenShift、MAP)のレイヤーの間をAPIでつなぐのが3scaleの役割

 「レッドハットにはOpenShiftやJBoss、Ansibleといったプロダクトもあるからこそ、3scaleの価値が生きる。そうしたピースを持っていることが、レッドハットとしての差別化ポイント」(岡下氏)

 国内市場においては、まずはAPI管理に対する注目度の高い金融業/FinTech領域、そしてIoT/モバイルの領域に、3scaleのソリューションを展開していく方針。また、ビジネス戦略の視点から、顧客における既存システムのAPI化に対する助言を行うコンサルティングやワークショップなども、国内で展開していく方針だと説明した。

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