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デジタル時代のアナログオーディオ入門 第3回

いい音のままの残す‼! アナログレコードをPCMレコーダーでハイレゾ録音!

2016年04月20日 10時00分更新

文● 鳥居一豊

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PS-HX500はデジタル録音とはいえ
アナログのよさを十分に実感できる音

 ここまで2パターンの録音方法を試したが、それぞれ録音した音はどうなのか、実際に録音して聞いてみた。

 PS-HX500では当然のようにDSD音源を選び、2.8MHzで録音。Hi-Res Audio Recorderの編集画面で直接再生してみた。

 信号はデジタル化されているし、再生機器そのものがアナログプレーヤーからPCに変わったこともあり、音質的にまったく同じとは言えないが、アナログプレーヤーでの再生時に感じた音質傾向がそのまま録音されていた。

 「幻魔大戦」サントラの「光の天使」では、キーボードの音の鮮明さもしっかりと出ており、ボーカルも粒立ちよく再現される。声の厚みやニュアンスの豊かな再現は十分にアナログソースらしい感触だ。

 「平井堅/ミラクルズ」も、歌声の厚みのある再現や熱気のこもったリズム感もしっかりと感じられる。多少、シャーっと言うトレースノイズや針飛びノイズがより目立っているような感じもあるが、このあたりは仕方のないところだろう。

 針飛びノイズに関しては、レコードのホコリを丁寧に取り除くことで解消できるので、録音時には特に念入りに盤面のクリーニングをしよう。

 これだけの音質で録音ができれば、アナログ盤のデジタル化としては十分なレベルと言っていい。保存したオーディオデータに対応した携帯プレーヤーに転送すれば、外出時でも手軽にアナログレコードに近い音質で楽しめるというわけだ。

 PCM形式でもサンプリング周波数を96kHzや192kHzとすれば、十分にアナログ的な音の厚みやダイレクトな感触を得られるが、DSD形式の方が音の感触が滑らかでアナログの感触により近いと思えた。

 DSD録音が手軽に行なえるのはほかにはあまりないので、PS-HX500を使うならば、ぜひともDSD録音を試してみて欲しい。

TN-570×PCM-D100で録音した曲は
鮮明な音と低音の力強い音をそのまま再現!

 次はTN-570×PCM-D100で録音した曲。こちらもDSD2.8MHzで記録し、PCM-D100で直接聴いてみた。

 マイルス・デイビスの「カインド・オブ・ブルー」を聴くと、出音の鮮烈さや、ベースのブリッとした厚みのある音が鮮やかに聴きとれた。

 パワフルな低音の出方もきちんと味わえる。デジタル化による音質的な変化もあるが、より微細な音がきめ細かく再現されているようで、「ドボルザーク/交響曲第9番 新世界より」では、混濁しがちだった各楽器の音もより明瞭に再現された。

 反面、トレースノイズなどもやや強調されがちになる。このあたりの感触も純粋なアナログ録音とデジタル化した音源の再生の違いとなるかもしれない。

 ちょっと曖昧な表現だが、アナログ再生では音楽そのものが存在感豊かに伝わるのに対し、デジタル化するとノイズも含めたすべての音がより精密に再現されるようにも感じた。だから、情報量も多いがノイズも耳に付きやすくなるようだ。

 このように、好みで言えば純粋なアナログ再生の方が印象は良かったが、かといってデジタル化が無意味というわけではない。聴けば聴くほど劣化するアナログ音源をデジタルでアーカイブしておくのは重要だし、手軽に屋外などでも楽しめる良さは変わらない。

 普段はデジタル化した音源で楽しみ、ここぞというときに時間をかけてアナログ再生を楽しむという使い分けをするのがいいだろう。

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