SDxをWANやLANまで適用!運用管理の効率化やIoTプラットフォームも
そして、このビジョン2020を実現すべく、グローバルクラウドビジョン2016では、Software-Defined技術の導入やマネージドサービスの拡充、IoTへの取り組みなどを推進するという。同社がグローバル規模で自社保有するクラウド、データセンター、ネットワークを最大限に活かし、顧客のシステム基盤をワンストップで提供するというのが大きな方向性だ。
特に注力するのはSDxで、従来データセンター内で推進してきたSDNの導入を、WANやLANにも積極的に導入する。たとえば、SD-WANにおいては、通信の重要度にあわせてArcstar Universal Oneとインターネット(OCN)を振り分けることで、ネットワークの混雑を回避したり、カスタマーポータルからのネットワーク機器への一元的な設定を可能にする。また、VPNとインターネットの両方でNFVを適用可能にしたり、両者を一体で扱えるマネージドサービスを提供したり、グローバルでのインターネットアクセスをワンストップで調達できるようにしたりすることで、SD-WANに付加価値を載せていくという。
またSD-LANという分野にもチャレンジし、ユーザー拠点のネットワークセグメントの構成や経路の設定をカスタマーポータルから一元的に行なえるようにしていく。LANやWANの構成や運用状況を一元的にチェックできる環境を用意することで、LAN環境の複雑化や構成変更の負担といった課題を解消するという。
さらにシステム間の通信を最適化するSD-Exchangeという新しいコンセプトもスタートしている。これは各システムが必要とする帯域や品質に応じて、SDNと既存のネットワークを組み合わせた最適なプランを用意し、オンデマンドに設定できるというもの。他社クラウドとの接続はコスト重視、データ間接続は帯域重視といった具合に、帯域と品質にあわせて柔軟にネットワークを選択することで、システム間の通信が最適化されるという。
庄司氏は、そのほかGlobal Management Oneでのアプリケーション対応の強化やデバイスからのデータ収集や分析をワンストップで提供できるIoTプラットフォームの提供についても言及。今後の利用が見込まれるIoTに関しては、製造業や自動車、センサー管理などに向けたグローバスプラットフォームを提供するため、他社と積極的に連携していくという。「IoTにおいてはインターネットを経由しないセキュアな通信が重要だと思っている。現在、世界188カ国で利用でき、重要なデータの保管も世界140以上のデータセンターで行なえる」と庄司氏は語る。
2020年までの目標が見えるということで、数多くの報道陣を集めた戦略発表会。「cloud(n)」というサービス名が一切登場しなかったことから、マルチクラウドの運用最適化を見据えつつ、Enterprise Cloudに完全に軸足を移すことが明確化されたようだ。また、SDxに大きな焦点が当てられ、競合に比べて強みを持つネットワークに大きくフォーカスされるという方向性も見える。