パソコン事業の切り離しも進んでいく
一方、パソコン事業については、「現在、他社との再編を検討しており、集中して交渉している段階にある」とする。
東芝の室町社長は、再編については、「国内企業に絞り込んで交渉を進めている」ことを明らかにしており、富士通およびVAIOとの統合などがウワサされている。
室町社長は、「方向性は一致しているものの、さまざまな条件について集約ができていないという課題がある。私の期待としては、少なくとも2016年度第1四半期までに決着を付けたいと考えて、交渉をしている」と語る。
同社では、4月1日付けで、子会社である東芝情報機器に移管したパソコン事業を、東芝クライアントソリューション株式会社として発足することを発表。また、海外BtoC事業を終息させるとともに、ODMベンダーへの生産委託を中止し、同社の不適切会計処理問題の温床となっていたODMベンダーとのBuy-Sell取引も廃止することを発表している。
だが、室町社長のコメントを聞く限り、4月からの新年度は、パソコン事業は連結対象の形でスタートすることになりそうだが、今後は、パソコン事業の切り離しについても、急ピッチで進んでいくことなりそうだ。
同社の発表によると、2014年度末の社員数は21万7000人だったが、パソコン事業や家電事業の売却などによって、2016年度末には18万3000人にまで削減されることになるという。
2016年度以降は、「家電の東芝」、そして「ノートPCの東芝」という言葉は、残念ながら、もう使えなくなる可能性が高い。

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