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Dropbox Japanの河村社長にいろいろと聞いてみた

社長、Dropboxの日本戦略はどうするおつもり?

2016年02月29日 13時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●飯島恵里子/ASCII.jp

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ソースネクストは世界で初めてPOSA版の「Dropbox Pro」を販売した。POSAとはレジを通して支払を完了した後に、初めて有効になるプリペイドカード。クレジットカードの登録は不要、簡単にサービスを利用することができる

プッシュ戦略とプリインストール戦略でユーザーを獲得する

 Dropboxは基本的にユーザーが記事を読んだり口コミを耳にして、自分でウェブサイトにたどり着き、申し込むと言う流れが主流だった。そのチャンネルはそのままに、現在はいくつかの戦略を実行中だ。まずは、ディストリビュータと連携して、プッシュ型の営業を行っている。昨年12月には、ソースネクストから「Dropbox Pro1年版/3年版」が発売された。1年版は1万2000円+税と同じだが、3年版は2万4000円+税ととてもお得。現在は、別の会社からもリリースの準備を進めているところとのこと。

 さらに、日本のあるPCメーカーと協力し、Dropbox Basicをプリインストールして使ってもらうというキャンペーンを行う予定だそうだ。PCメーカー名は教えてもらえなかったが、近々発表されるとのことで楽しみだ。

 日本のユーザーは海外と異なる傾向が2つあるそうだ。日本の大企業の多くは、クラウド・ストレージを禁止しているという点。Dropboxもプロクシでブロックされているケースが多い。2つ目は、アメリカだとユーザーが強くて、Dropboxユーザーが上司を突き上げて、「こんなにいいものがあるんだから導入しよう」となるのだが、日本のそういうパワーはまだまだ弱い点だ。しかし「一方」と河村社長は続ける。

「日本市場はポテンシャルとしては、すごいチャンスがあると思うんですよ」と河村社長

 「日本の場合は500名以下の従業員の会社が7割もあるんです。そういったところはセキュリティに対してそこまで厳しくありません。そういったところにアプローチできると考えています。また、ペイド(支払ってくれている)ユーザーさんを見ると、アメリカの1.5〜2倍くらい同期や共有、コラボレーションなどのサービスを使いこなしてもらっています。日本市場はポテンシャルとしては、すごいチャンスがあると思うんですよ」

 加えて、既存のファイルサーバーが古くなり、管理が負担になったり、容量を意識するのが面倒になり、クラウド・ストレージを利用したいというユーザーはかなり増えているという。日本市場の見込みは大きいようだ。ただしアメリカやイギリスと比べると、IT環境の動きに2〜3年の時差を感じている、と言う。

多彩な便利機能でビジネスシーンを支える

 最後に、河村社長のお勧め機能を尋ねたところ、連携アプリ、バッヂ、ファイルリクエスト、Paperの4つを教えてくれた。

 Dropboxの大きな魅力のひとつが、他のアプリやサービスと連携している点。老舗だけあり、すでに30万以上ものアプリ・サービスと連携し、データの保存や共有が可能になっている。パスワード管理アプリ「1password」でデータの保存場所に利用したり、神ビューワーアプリ「GoodReader」からストレージのファイルにアクセスしたりできる。加えて、Microsoft OfficeやAdobeのアクロバット・フォトショップ・イラストレータなどと連携し、クラウドからデータをダウンロードせず直接ウェブ上で作業できるのも便利だ。

 特定のファイルを複数ユーザーで共同編集できるのもウリだが、同じタイミングで作業してしまうと、異なるバージョンが生まれてしまう。そこで、Dropboxではバッヂ機能を搭載。他のユーザーが編集中の場合は、バッヂが赤くなって教えてくれる。コメントで作業の完了を催促することも可能だ。



 昨年搭載された「ファイルリクエスト」も便利。以前から、Dropboxユーザーではない人にファイルをダウンロードできるURLを送るということはできたが、逆はできなかった。しかし、「ファイルリクエスト」機能で箱をユーザー側で作り、Dropboxユーザーではない人たちにリクエストを送れるようになったのだ。例えば、大学で先生が宿題を出し、生徒が提出用ファイルを同じところに送ることができる。

ベータテスト中のDropbox Paper

 今注目が集まっているのが、ベータテスト中の「Dropbox Paper」だ。ブラウザ上でドキュメントを作成・共有できるプラットフォームで、Googleドキュメントに似ているサービス。

「(Dropbox Japan)社内では、メールではなくPaperを使って議事録やプロジェクト管理などの仕事をしています。メールに添付してやりとりしていると、ドキュメントのバージョンがぐちゃぐちゃになるので不便ですが、Paperを共有することで、同じドキュメントで仕事を進めよう、ということです」と河村社長。

 Dropboxは2020年までに100万人のビジネスユーザー獲得を目指し、派手ではないものの確実に歩を進めている。今後もDropboxの進化を期待できそうだ。


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