オープンイノベーションの考え方を導入
こうしたインテリジェントクラウドの取り組みにおいては、オープンイノベーションの考え方を導入しているのが大きな特徴だという。実は、ここにきて、同社が変革のキーワードとして掲げている言葉として、「パスタマ」と「コオペティション」がある。
パスタマは、顧客がパートナーとしての販売を行なうもので、カスタマとパートナーを組み合わせた日本マイクロソフトの造語。また、コオペティションは、コオペレーション(協力)とコンペティション(競争)とを組み合わせたもので、従来は競合相手と思っていた企業が協業関係になることを指す。「インテリジェントクラウドを実現する上でパスタマとコオペティションは重要なものになる。パスタマは、顧客が運用している自社のオンプレミスの資産を、マイクロソフトのクラウド上で展開して外販する」という。
パスタマの1社となる関電システムソリューションズとは、このほど電力業界向け管理システム『NISHIKI』を販売することでの協業を発表した。これによって、同社では、3割の外販比率を5割にまで引き上げる計画を明らかにしている。日本マイクロソフトでは、今後、600社の企業をターゲットとしてパスタマを増やしていく。建設業界をはじめとして、いくつかの先行企業が出始めている。自社のコンピテンシーをパッケージ化して、クラウド上に乗せて、外販していくことに対して支援を行なっていく」などとした。
もうひとつのコオペティションの説明においては、まず2020年までに、国内オンプレミス市場が4000億円減少する一方、クラウド市場が約4000億円増加することを示したほか、ハイブリッド型クラウドを検討している企業が約4割を占めていることを指摘。「データセンター向けの製品、技術を提供しているのは、マイクロソフトの製品、技術だけではない。そのために、これまでは競合関係にあった企業との連携が必要になってくる。
たとえば、マイクロソフトは、レッドハットのCCSP(Certified Cloud and Service Provider Program)に参加するとともに、レッドハット製品をAzure上でサポート、提供。RedHat Enterprise Linux、Atomic Host、OpenShiftにおけるMicrosoft .NETの統合を図っている」とした。
斎藤氏からはMicrosoft Azureの現状や計画についても説明された。Azureのデータセンターは全世界22カ所で運用しており、140万マイルのファイバーチャネルで結ばれているが、これを27カ所まで拡大していく。直近45日間で100万のCPUコアを新たに展開し、ひとつのデータセンターで日本の年間サーバー出荷台数を超える60万サーバーを導入していることなどを披露。年内までに単一インスタンスの仮想マシンの稼働率を99.95%から、99.99%に引き上げる計画などを明らかにした。