今年のJavaOneで紹介されたJava SE/EE/MEの進化と方向性をオラクルが解説
DevOps、マイクロサービス、IoTが注目集めた「JavaOne 2015」
2015年11月30日 06時00分更新
組み込みJavaにおけるIoTへの取り組みを解説
JavaOne 2015におけるもうひとつのテーマは、組み込みJavaにおけるIoTへの取り組みである。
この領域では、Oracle Java ME(Micro Edition) Embeddedのロードマップが示されている。Oracle Java ME Embeddedでは、今年(2015年)9月にME Embedded 8.2の提供が始まっている。
日本オラクル Java Embedded Global Business Unit マスター・プリンシパル・セールス・コンサルタントの宇野浩司氏は、ME Embedded 8.2における変更点を次のように説明した。
「Oracle Java ME Embedded 8.2では、CMSISプラットフォームをサポートすることでポーティングしやすくなったこと、ハードウェアによる暗号基盤のサポートに対応したことなどの変更点がある。さらにはMCUプラットフォームにおいて、アプリケーション用に70%以上の空き領域を改善した。256KBのメモリにおいて、これまでは数10KBであったものを、100KB以上へと広げている。また、Windows用だけでなく、Linux用にもSDKを提供している」(宇野氏)
2016年前半にはJava ME Embedded 8.3の提供を開始する予定であり、さらに、2016年9月のJava SE 9提供と同じタイミングで、Java ME Embedded 9も提供されることになるという。
加えて宇野氏は、「IoTの進展に伴い、クラウドとの統合によるインテリジェンス化の実現と、IoTセキュリティへの取り組みが、今回のJavaOne 2015では重要なテーマになった」と語った。
「インテリジェンスなIoTエッジデバイスへの対応がJavaに求められている。特定機能に限定されたデバイスから、ネットワークに対応した柔軟な組み込みプラットフォームへと進化するなかで、広範囲なインターネット接続、クラウドとの統合、分散インテリジェンスといった要素が重視されている。また、自動車へのハッキングがニュースになるなかで、ハードウェアセキュリティへの関心が高まっている。機密情報への直接アクセスを回避するためにTEE(Trusted Executed Environment)などが注目されたり、eSIMやsSEなど耐タンパー性を備えたハードウェアにも話題が集まった」(宇野氏)
なお、JavaOne 2015では、8歳~高校生までの子供を対象にした「JavaOne4Kids」が開催され、450人以上が参加。IoTやロボットに関するJavaプログラミングに取り組む新たなイベントが行われたという。
Java開発者は全世界で1000万人を突破、コミュニティの動向
JavaOneでは、Javaを取り巻く最新動向も発表されている。
現在、Open JDKのコミッターは、2010年からの5年間で、136%増となっていること、Javaユーザーグループは104%増、Java Championは55%増加、Java Community Process(JCP)への非営利団体の参加は、2014年比で16%増になっていることなどが示されたという。
「JCPではアクティブなメンバーシップ数が約750に達しており、jcp.orgのメーリングリストに登録しているユーザー数は約3700に達している。さらに、JCPへの登録は、個人、Javaユーザーグループ、非営利団体はすべて無料であったが、今後は、一般企業でも年間5000ドルの会費が無料になることが決定した。日本でも同様にユーザーグループが拡大。関西、札幌、福岡にも広がっているほか、コミュニティという点からみれば、さらに増えている」(日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括Fusion Middleware事業統括本部ビジネス推進本部・伊藤敬シニアマネージャー)とした。
Javaの開発者は全世界で1000万人を突破。130億個のJavaデバイスが世界で活用されているほか、全世界のデスクトップPCの97%でJavaが利用されていることも示した。2億台の医療用デバイス、100億台の車載用デバイスでもJavaが活用されており、最も多くの開発者が選択するテクノロジーになっているとした。