11月26日、NTT東日本が本社ビルの電気通信設備を報道陣に公開した。電話回線、光ファイバーの配線盤や収容ルータから、各地にケーブルが伸びる地下トンネル「とう道」まで、見どころたっぷりの見学会の様子をレポートする。さらに非常用電源設備の紹介から、話題は災害への取り組みにも。NTT東日本が東日本大震災から得た教訓とは――?
まるで地下迷宮の「とう道」内部へ
見学会で公開されたのは、地下トンネル「とう道」、電話回線(メタルケーブル)を成端する「MDF(Main Distributing Frame)」、光ファイバーを成端する「FTM(Fiver Termination Module)」、それらを束ねて各種通信設備につなぐ「OLT(Optical Line Terminal)/収容ルータ/加入者交換機」、およびそれら機器への電力供給を支える「給電装置」だ。
まずは「とう道」に足を踏み入れる。ここはケーブル収容空間と保守作業空間を確保するための大規模地中構造物。NTTのビルやデータセンターを結ぶ地下トンネルに多くのケーブルを収容し、そこから枝分かれした小さなトンネル「管路」を伝って、地上の電柱につながっている。
「とう道」の距離は東京だけで約300km。首都高速道路とほぼ同じ長さだ。全国では650km。とう道から枝分かれする「管路」は62万kmに達する。ピンとくるだろうか、地球約16周半に相当する距離である。ちなみに地球から月までの距離が約38万kmだ。
「とう道」には、地上から浅いところに掘って作る「開削とう道」と、地下鉄などを避けて地中深くを掘り進む「シールドとう道」の2種類があり、それが複雑に入り乱れている。保守員ですら迷子になるというのだから、まさに巨大な地下迷宮だ。実際、見学中も階段を何度も上り下りしなければならず、やけに立体的な構造となっていた。浸水を防ぐ防壁などがあり、それを乗り越えるようにケーブルを通しているのだそうだ。一体、最深部はどうなっているのだろうか。
ICTを駆使したセキュリティや管理の仕組みも盛りだくさんである。容易に第三者が侵入できないような構造や電子錠はもちろん、火災センサー、酸欠ガスセンサー、可燃性ガスセンサー、高水位センサー、排水ポンプ、避難誘導灯、スピーカーなどが設置され、24時間体制で集中監視と管理が行われている。
案内員は「作業員もたまに迷うんですが、いざとなったらセンサーを作動させれば即モニターされるので心配ありません」と冗談交じりに説明する。通信ケーブル自体も被膜内部に送り込まれた圧縮空気で保護されているという。
家庭の電話回線などは、近隣の電線から「とう道」に潜り、各地をはるばる旅をする。そうしてNTTのビルで束ねられ、各種通信装置と接続される。「MDF(メタルケーブル系設備)」と「FTM(光ケーブル系設備)」は、その入り口となる配線盤で、膨大なケーブルがQRコードで管理されながらきれいに結線されている。束ねられたケーブルはフレッツ光ネクストや専用線を提供するための装置「OLT/収容ルータ」や、加入電話サービスを提供するための交換装置「加入者交換機」につながっている。
(→次ページ、NTT東日本の災害対策)