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myrmecoleonの「グラフで見るニコニコ動画 第2期」 第9回

続編では「ごちうさ」「ハイキュー」 新作では「ワンパンマン」「鉄血」

温故知新「おそ松さん」大人気の2015年10月期アニメの二次創作

2015年11月13日 18時00分更新

文● myrmecoleon 編集●村山剛史/ASCII.jp

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ワンパンマン・オルフェンズ好調
ニコ動では落第騎士、pixivでは終わりのセラフも

 続いてその他のタイトルについて、7日間毎の投稿数で過去4週間の投稿の推移を見てみます。

 いつも通り、放送初週や翌週にOPやEDが初放送される関係で動画の投稿が増え、その後落ちていく傾向が見られますが、今回は「ワンパンマン」「ゆるゆり さん☆ハイ!」「落第騎士の英雄譚」「ルパン三世」「学戦都市アスタリスク」などで再浮上の動き(なお「蒼穹のファフナー EXODUS」はこの週の回から第2クール新OP・EDが放送された関係の増加)があり、特に「ワンパンマン」と「落第騎士の英雄譚」でそれが大きく、放送以降に評価が高まっている気配があります。

 また「うたわれるもの 偽りの仮面」「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」は再浮上こそありませんが投稿は多い傾向です。

アニメ「ワンパンマン」より公式PV。原作はONE原作・村田雄介作画による同名の漫画作品(「となりのヤングジャンプ」連載中)。niconicoでは本編配信はニコ生のみ。JAM ProjectによるOP曲「THE HERO !! ?怒れる拳に火をつけろ?」が人気で「主題歌差し替えMAD」などがよく投稿されている。
アニメ「落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)」より第1話の公式配信動画。原作は海空りくの同名の小説(GA文庫刊)。展開が似ているため今期放送中の「学戦都市アスタリスク」としばしば比較される。戦闘時の演出などが好評なほか、3話の松岡禎丞の演技が話題となった。

 全体の投稿の傾向としては今期もOP・ED曲の演奏してみたが多いほか、ワンパンマンのJAM Project、落第騎士の酒井ミキオなどアニソンで人気のあるアーティストの新作が重なったため「主題歌差し替えMAD」の投稿が目立ちました。

10月開始アニメのおもな9作品の関連タグについて、10月1日スタートで7日間ごとで区切ったニコ動での動画投稿数をグラフにしたもの。集計方法はグラフ1に同じ

 続いてpixivのグラフを見てみると「おそ松さん」ほどではないものの「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」と「ワンパンマン」で投稿数の加速が見られます。ほか「終わりのセラフ 名古屋決戦編」「ゆるゆり さん☆ハイ!」「蒼穹のファフナー EXODUS」で投稿増加の動きが見えるほか、「終物語」「ノラガミ ARAGOTO」は安定して投稿の多い様子が見られます。

 投稿者の傾向としては「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」は男女半々程度の投稿層とみられ、男性投稿者は「ご注文はうさぎですか??」に次いで多い作品です。R-18イラストはやや多め。

 キャラクターも男性主人公の「三日月・オーガス」や「オルガ・イツカ」だけでなく女性キャラの「クーデリア・藍那・バーンスタイン」もよく描かれています。男性人気・女性人気双方を獲得している様子が伺えます。

 「ワンパンマン」も半々に近いですがやや女性人気強め。女性投稿者はオルフェンズより若干多い様子でおそ松・ハイキューに次ぎ、男性投稿者もオルフェンズに次ぐと、性別ごとの投稿者をみると男女共に三番手あたりの位置になります。R-18イラストはやや多め。

 キャラクターでは主人公の「サイタマ」、メインキャラの「ジェノス」、女性キャラでは「戦慄のタツマキ」がよく描かれています(タツマキは集計時点ではまだアニメ本編に登場してませんが)。

アニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」のYouTube公式配信PV。ガンダムシリーズのテレビアニメ最新作。niconicoでは配信はなく、ガンダムファンクラブやバンダイチャンネルなどで配信されている。


 男女別の投稿者数としては、女性の投稿者が多い作品は上記した「おそ松さん」「ハイキュー!! セカンドシーズン」「ワンパンマン」「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」のほか「終わりのセラフ 名古屋決戦編」「K RETURN OF KINGS」「ご注文はうさぎですか??」「蒼穹のファフナー EXODUS」「ノラガミ ARAGOTO」など。ごちうさは男性投稿者の割合が高い作品ですが、女性の投稿者も多いです。

 男性の投稿者が多い作品では上記の「ご注文はうさぎですか??」「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」「ワンパンマン」のほか、「終物語」「おそ松さん」「ゆるゆり さん☆ハイ!」「うたわれるもの 偽りの仮面」「ハッカドール THE あにめ~しょん」など。

 R-18イラストの投稿数では全体の投稿数も多い「ハイキュー!! セカンドシーズン」「おそ松さん」「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」「ワンパンマン」「ご注文はうさぎですか??」などが多いです。

 このなかではオルフェンズが比較的R-18イラストの投稿率が高いでしょうか。次点で「ハッカドール THE あにめ~しょん」と「落第騎士の英雄譚」で多く、この2作品は2割以上がR-18イラストとなっています。

 ちなみにR-18イラストの比率でいうと「ヴァルキリードライヴ マーメイド」「ブレイブビーツ」「新妹魔王の契約者BURST」「あにトレ!EX」などが、3分1以上をR-18イラストで占めるという高い比率でした。逆に男性投稿者の多い作品でも「ご注文はうさぎですか??」「ゆるゆり さん☆ハイ!」「うたわれるもの 偽りの仮面」などは比較的R-18イラストが少ない傾向があります。

 ちなみに「ハッカドール THE あにめ~しょん」はスマホアプリ「ハッカドール」を原作とする異色のアニメですが、男性人気とR-18イラストでは上記の通りビッグタイトルに続く人気となっています。ちなみに一番よく描かれているキャラは男の娘の「ハッカドール3号」。

 またアニメに先行して公式にMMDモデルが配布されており、ニコ動にも動画が投稿されています。現状では大きな動きではないものの興味深いところです。

 また同じくR-18イラストの多い「落第騎士の英雄譚」ではヒロインの「ステラ・ヴァーミリオン」で投稿が多くなっています。

アニメ「ハッカドール THE あにめ~しょん」より第1話の公式配信動画。DeNA開発のスマートフォン用オタク向けニュースアプリ「ハッカドール」のキャラクターが原作。ウルトラスーパーアニメタイム内で放送中。
ハッカドールのMMDモデルでsasakure.UK×DECO*27のオリジナル曲「39」を踊ってもらった動画。ハッカドールのメインキャラ3名はアニメに先行して9月よりニコニ立体で公式MMDモデルが配布されており動画も多数投稿されている。MMDモデル制作者は初音ミクや艦これのMMDモデルでよく知られるおんだ氏。

 今回の調査作品でpixivで投稿の多いキャラクターとしては、上記した通り「おそ松さん」の六つ子やハイキュー!!の「影山飛雄」「孤爪研磨」、女性キャラクターでは「チノ」「谷地仁花」「忍野扇」(終物語)、「ココア」「クオン」(「うたわれるもの 偽りの仮面」)、「シャロ」「クーデリア・藍那・バーンスタイン」など。

 またR-18イラストではここまでに挙げた「一松」「カラ松」「ステラ・ヴァーミリオン」「ハッカドール3号」「クーデリア・藍那・バーンスタイン」の投稿が多いようです。

10月開始アニメのおもな9作品の関連タグについて、10月1日スタートで7日間ごとで区切ったpixivでのイラスト投稿数をグラフにしたもの

2015年10月期アニメ二次創作傾向のまとめ

 今期は人気作2期のごちうさ・ハイキューも変わらず好調ですが、上記のグラフでも見えるように「おそ松さん」人気が動画・イラストともに劇的な拡大を見せています

 人気男性声優配役・下ネタギャグ・MAD等も人気というと前期の「監獄学園」を思い出す路線ですが、それ以上の劇的な人気となっています。内容が内容だけにBS放送時の差し替えや1話の配信停止・BD1巻収録中止などの残念な話題もあり、今後の放送が気になるところです。

 他でも「ワンパンマン」「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」「落第騎士の英雄譚」など新作で話題となっている作品も多いほか、「ゆるゆり さん☆ハイ!」「終わりのセラフ 名古屋決戦編」「K RETURN OF KINGS」など人気作の続編もそれぞれに好調。また今回のような調査では目立ちませんが二次創作は盛んでなくても人気の高いタイトルはあるでしょう。

 10月アニメも序盤が終わり、みなさんそれぞれ見るアニメも決まってきたころでしょうか。冬コミの配置も発表されましたが、早速「おそ松さん」などの動向が話題になっているところです(サークルカット等に反映されてくるのは夏コミ以降ですが)。

 今後もニコ動・pixivのアニメ人気に注目していきたいと思います。

イベント告知

 夏コミ新刊の「世界のUGCと二次創作の現状」はCOMIC ZINさんに委託中。通販もやっていますのでこちらでお求めいただくと手軽です。冬コミでも12月31日の3日目ヒ-49aで参加。「ニコニコ動画統計データハンドブック」の改訂版を出す予定です。

 米沢嘉博記念図書館では企画展示「江口寿史展 KING OF POP Side B」が開催中。2階閲覧室では「ガイマン賞2015」に関連して過去1年に刊行された邦訳の海外のマンガをすべて読める展示もやっています。11月21日はイタリアのバンド・デシネ作家ラウラ・ズッケリ氏をお呼びしたトークイベントも開催。ぜひご来場ください。

 ちなみに「おそ松さん」と同じく赤塚不二夫先生の生誕80周年記念で放送直前まで「赤塚キャラ誕生のひみつ 展」を開催してました。まだ関連図書は2階閲覧室に並んでいますので、元祖おそ松くんや他の赤塚作品、赤塚先生について興味を持った方もぜひ。


江口寿史展 KING OF POP Side B

2016年2月7日(日)まで開催

 江口寿史は、1977年のデビュー以来、30年以上にわたって、いつもその時代ごとの〈ポップ〉を形にし続けてきました。幅広く愛されるポピュラリティを持ち、それでいて、時代の先端ではじける軽さを兼ね備えること。『少年ジャンプ』の人気作家であることと、サブカルチャーの最先端に位置することを両立させられる稀有な資質を持つ作家だといえるでしょう。米沢嘉博記念図書館では、川崎市市民ミュージアムなどを巡回する「江口寿史展 KING OF POP」のSide B として、マンガやイラストの原画に加え、初出誌や関連資料を多く用いて、それぞれの仕事が置かれた時代の文脈を見ていきます。江口寿史の〈ポップ〉はどのような時代の気分の中で形作られ、またどのような時代の気分を形作ってきたのか。会期を4期に分けて探っていきます。

■会場:米沢嘉博記念図書館 1階展示コーナー
■期間:2015年10月9日(金)~2016年2月7日(日)
特別整理などで休館する場合あり。公式サイト、もしくは開館日に電話にて要確認。

■主催:明治大学 米沢嘉博記念図書館
■特別協力:玄光社、フリースタイル
■問い合わせ:米沢嘉博記念図書館
 〒101-8301 東京都千代田区猿楽町1-7-1
 TEL:03-3296-4554

会場は東京都千代田区の明治大学 米沢嘉博記念図書館。コミックマーケット前代表の故・米沢嘉博氏が蒐集したサブカルチャー資料などを収蔵する。また、期間限定ながら直近のコミケで収集された見本誌を閲覧できるレアな場所でもある

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