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DCC、ヒューマンアカデミー、ランサーズ、リアルワールドで合同取材

クラウドソーシングに技能検定が登場!業界標準を目指す4社に聞く

2015年09月29日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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業界標準のものさしでスキルを見える化する

アスキー大谷:たとえば、人材派遣会社の場合、スキルや経験について理解しているキャリアコンサルタントみたいな人が入っていますが、クラウドソーシングの場合は、こうしたスキルや経験の管理をどのようにやっているのでしょうか?

ランサーズ 秋吉:ランサーズの場合、登録して仕事を開始するにあたって、何回もやりとりします。そうするとメッセージ1つとっても、返事が遅いか、速いかわかります。ほかにも納品率や締め切り、事故率など、データで管理できるものがかなりあります。こうした定量的なデータを使って、弊社では「認定ランサーズ」という制度をやっています。そのため、認定ランサーズの方は納品率も高いし、事故も少ないんです。ほかにも全国でスキルテストや有料セミナーもやっていますし、クライアントへの事後のヒアリングも行なっています。

リアルワールド 菊池:われわれも作業履歴を元に評価はしているのですが、初めての方は確かに難しいです。特にライティングと業界特有の知識はつかみにくいので、今回の検定は意義深いです。ただ、これの課題は弊社の「CROWD」で仕事をやったことがないと、評価ができない点です。初めてのユーザーさんの場合、自己申告に依存するところがあります。その点、今回の認定制度があれば、来る前からどういう人かわかります。あとは先ほど話していた業界標準のものさしという話です。CROWDの認定ではなく、業界で標準の基準でスキルを推し量れるので、ユーザーにとっていい仕組みだと思います。

ヒューマンアカデミー 岡本:これはIT業界に限らないのですが、個社ごとの評価制度だと、客観性を担保するのがどうしても難しいんです。その会社の基準ではレベルが高くても、別の会社では通用しないということがままあります。その点、業界が成熟していないこのタイミングで、大手も参加して業界標準のようなものを作られるというのは、働く側も、発注する側も安心感が生まれます。

アスキー大谷:ひとりよがりの資格制度ではなく、統一したものさしで新しい働き方を評価できるということですね。

ヒューマンアカデミー 岡本:われわれもいくつも資格制度を作ってきましたが、正直過去に苦い経験もあります。自社のものさしで作ると、新しいスキルを身につけても、ほかで活用できないので、なかなか役に立つモノにはなりません。その意味で、業界標準を目指して作るというのは、今回とても意義のあることだと思います。

アスキー 大谷:今まで、こういう資格はなかったんでしょうか?

ヒューマンアカデミー 岡本:デザインやプログラミングはありましたが、私が知る限り、ライティングはないです。コンテンツマーケティングやオウンドメディアなどの隆盛で需要が増えている中、客観的なものさしがなかったのは事実だと思います。

DCC 南雲:もちろん、クラウドソーシング事業者もそれぞれスキルの認定やスキルの高い人に仕事を割り当てる仕組みはお持ちだったと思います。しかし、業界で統一された基準がなかったので、今回作らせていただきました。

資格取得者には優先的にレベルの高い仕事が来る

アスキー大谷:先ほど教材を見させていただいたのですが、SEOの話だったり、Wordの校正機能の活用だったり、かなり実践的ですね。いろいろ苦労もあったんではないですか?

DCC 南雲:実際、作るにあたっては、ここにいるみなさまにかなりの時間を割いていただきました。文章を書くというのは本当に奥深いものですが、まずは人様に見ていただく文章はこのようにできているという内容を中心に構成しています。句読点やてにをは、敬語の理解や、文章を書く際の構成、ある種の想像力のようなものまで含まれています。

ヒューマンアカデミー 岡本:われわれとしては、今までどのようなことを勉強してきたか、どういう教育やステップが正しいかではなく、実際のビジネスでどう評価されるか、社会に必要とされるものはなんぞやという点を重視しています。今回の場合も、今求められている人材像から逆算して、こうした勉強が必要という形で教材や講座に落とし込んでいます。

ヒューマンアカデミーで用意されるクラウドソーシング検定のテキスト

リアルワールド 菊池:弊社でも毎月10万本くらいの記事を作成してもらう中、それらに品質チェックをかけているので、初心者の方が陥りやすい失敗について、ノウハウがあります。今回のWebライティング技能検定にはこうしたノウハウをより強化したものを提供し、初めての方でも品質の高いものを書けるようにしています。

DCC 南雲:ライティングの資格は筆記試験もありますし、かなりスキルが必要なものになっています。まずはしっかり文章が書ける方をクラウドソーシング業界に送り出すのが目標です。クラウドクリエイターさんは資格を取得することで、クラウドソーシング業界でスキルをアピールできますし、クラウド事業者からもさまざまな特典が提供されます。

アスキー 大谷:資格取得者には、どんな特典が用意されるのでしょうか?

リアルワールド 菊池:一定の作業量に達しないとご案内していない仕事を優先的に紹介します。仕事量が増えるとインセンティブも発生しますので、ユーザーさんにもメリットがあると思います。

ランサーズ 秋好:現在、2つを検討中です。まずはわれわれがディレクションしている単価の高い案件のご紹介です。フィルタリングをしっかり行なっているので、かなりいいお仕事です。あとは有資格者は無条件で「認定ランサーズ」になっていただくことを検討しています。

DCC 南雲:クラウドソーシングの事業者側で、資格のある方、ない方で仕事を分けていただいてもよいですし、既存の認定制度と組み合わせることもできます。

(次ページ、主婦や地方の方が新しい働き方をチャレンジするきっかけに)


 

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