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これぞ! という優位点をなかなか見いだせない

Apple Musicに踏み切れない理由を考えてみる

2015年09月27日 12時00分更新

文● 四本淑三

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Apple Musicの活路はSiriにある

 逆に機械的なレコメンドであるところのステーション機能、関連曲を数珠つなぎにして聴かせるという、あの機能には可能性を感じました。じゃんじゃん飛ばしながら聴いていくと、なにかしらの発見がある。サブスクリプション配信のメリットはこれかな? と思っているところです。

 もうひとつ魅力的なのは、クラウドにアップロードしておけば、世界中どこにいても自分のライブラリにアクセスできる点です。サービス側が提供するライブラリ本体よりも、こちらの使用頻度のほうが高い。ただ、それだと(今なら)月額780円で5万曲アップロードできるGoogle Play Musicのほうが、魅力的に見えてくるわけですが。

 Apple Musicの優位点もいくつかあります。

 友人に「Google Play Musicの方が海外のインディーズがあっていいぞ」とススめてみたら「今いる国では使えん」という答えが返ってきました。この友人はほとんど海外で仕事をしていて、その日はたまたまシンガポールにいたようです。調べてみたら確かにGoogle Play Musicはサービスしていませんでした。こうした方には、カバーエリアの広いApple Musicの方がよさそうです。

 あとはSiriが使えること。呼びかけると適当に音楽を探してくれたり、再生してくれたり、Siriの音楽の趣味が聴けたりするのは楽しい。将来的に検索やレコメンドはAIが担ってくれるはずです。この点でもいずれGoogleとAmazonとの競争になりそうです。

 ただAIとなると、ユーザーの趣向に合わせた曲を自動生成して、好みのボーカルスタイルやミックスで音源として仕立ててくれる、なんていう方向性もありそうです。むしろ、ユーザーの音楽的趣向や音源をクラウドに収集している現在は、そうした未来へいたる途中経過であるという気もしないではありません。



著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)

 1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ

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