ヘッドホンは付属せず
別売でノイキャン対応ヘッドホンを用意
NW-ZX100にヘッドホンは付属せず、自分の愛用するものを組み合わせて使うのが基本だ。しかし、一般のヘッドホンやイヤフォンではノイズキャンセル機能を使えない。そこで、ノイズキャンセル機能に対応したイヤフォンが用意される。それがMDR-NW750Nだ(予想実売価格 1万2000円前後)。
ハウジングの後部にマイクを内蔵したカナル型で、要するにNW-A20HNシリーズに付属するイヤフォンと同等のモデル。9mmドライバーの搭載などは共通で、40kHzまでの超高域再生が可能だ。
NW-A20HNシリーズに付属するイヤフォンとの違いはカラバリのみ。同梱品は本体カラーと同じ6色がセットになっているが、MDR-NW750Nはブラックとホワイトの2色のみとなる。ちなみに、ノイズキャンセル機能付きではあるが、ノイズキャンセル処理はウォークマン側で行なうので、A20シリーズやNW-ZX100と組み合わせた場合のみノイズキャンセル機能を使える。
実はこのイヤフォン、ベースとなるモデルが「h.ear」シリーズの「MDR-EX750」という製品で、その音の実力はなかなかのもの。
MDR-EX750は1万円前後の実売になるが、低音から高音までワイドレンジで、クセのない鮮明な音が楽しめるなど、同価格帯のライバルと比べても飛び抜けた実力を持つ。
NW-ZX100の購入を検討するユーザーは、より高価なヘッドホンやイヤフォンをすでに所有している可能性があるが、ノイズキャンセル機能が使える日常使い用としてこのMDR-NW750Nも手に入れることをおすすめしたい。
ZX1の出音の勢いやキレ味の良さを踏襲し
質の高さを一段と高めたサウンド
さて、いよいよNW-ZX100の音の印象を紹介しよう。使用したイヤフォンはMDR-NW750Nだ。NW-ZX1はいい意味で従来のウォークマンのくっきりとした再生音を基調にしたもので、NW-ZX2となるとそこから脱皮してHi-Fiコンポーネントを思わせる品位の高さ、質感の豊かな音になっていた。
ソニーの開発者によると、ここは価格帯を含めて戦略的に音の傾向を変えたそうだ。NW-ZX100はというと、NW-ZX1の路線を踏襲する。出音の勢いやキレ味の良さをもち、音楽をエネルギッシュに楽しめるタイプだ。
ジャズなどを聴くと、ドラムの出音のレスポンスがよく、グルーブ感がよく伝わる音だと感じる。ウッドベースも低音の伸びはもちろんだが、弦を弾いたときの感触が明瞭でキレ味豊かに再現される。ボーカルもニュアンスは十分に豊かなのだが、溌剌と元気一杯に出ているような勢いのよさがある。
ロックやポップスに合う音調といえるが、決してそれだけではない。音のキレ味やレスポンスのよさだけでなく、細かな質感や音の微妙な余韻などもきめ細かく再現され、全体的に質が大きく向上している。
イヤフォンをシュアの「SE846」に変えて、NW-ZX2と聴き比べてみると、NW-ZX100はいい意味でウォークマン的なメリハリの効いた元気の良さを感じるが、楽器の音色や歌声のニュアンスなどはNW-ZX2にも負けない情報量の豊かさがある。
いわば、自然で落ち着いたムードになるNW-ZX2と、ダイナミックで力強さが前に出たNW-ZX100という感じ。
さまざまな曲を聴いて解像感や音場感などなどの項目で採点していけば、NW-ZX2の方が高得点にはなるが、NW-ZX100にはNW-ZX2にはないフレッシュさがある。音質にこだわる人にとっても十分な実力もあるし、ロックやポップスを好み人ならばNW-ZX100の方が好ましいと感じる人もいるはずだ。
(次ページに続く、「A20とは異なって聞こえる 音楽再生時のノイキャンの効果」)

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