再生品のネットワーク機器販売や保守サービスを手がけるカーバチュア。2014年にNetwork Hardware Resale(NHR)から社名変更し、日本進出を本格化させている。カーバチュア ジャパン カントリーマネジャーのケルビン・ゴー氏にメーカー保守・製品ライフサイクルに関する“迷信”について聞いた。
再生品販売から保守サービスへと軸足を移すカーバチュア
カーバチュアはネットワーク機器の再生品ハードウェアを25年に渡って販売してきた米国のIT企業になる。2014年にNetwork Hardware Resale(NHR)から現在のカーバチュアに社名変更。再生品ハードウェアのリセールから、保守サービスに軸足を移すにあたって、1年半以上の検討で新社名を考え、カーバチュアになったという。
カーバチュアの「NetSure」ではシスコ製品を中心に、4時間対応、翌日対応、オンサイト対応などベンダーと同じSLAで保守サービスを提供する。サポート終了以降も同等機器を提供できるほか、サポート期限も設けていない。ベンダーの費用に比べて安価な保守サービスを提供できるだけではなく、毎年保守費用を下げているという。ケルビン氏は「ネットワーク機器は基本的にスタティックなデバイスなので、ファンや電源以外は消耗しにくい。だから、毎年保守費用は下げられる」とアピールする。
同社のライフスキャンサービスでユーザーが既存資産のリストを提出すると、NetSureでカバーできる機器かどうか、どの程度のコスト削減効果が得られるかをカーバチュア側でアセスメントする。その上で、メーカー保守が必要な部分と、カーバチュアが請け負える部分を切りわけ、サービスを選定することになるという。
サポート終了後も使いたいという声に応える
同社のビジネスの根幹には「メーカー保守が切れたネットワーク機器を長く使いたい」という顧客の強いニーズがある。「シスコの機器は品質も高いので、サポート終了後も使いたいという声は多い」とケルビン氏は指摘する。
調査会社のフォレスターコンサルティングによると、ネットワーク機器は5年で更新しなければならないという“迷信”があるという。同社の調査では79%の機器が3~5年でリフレッシュされるが、85%のユーザーはレガシー機器をそのまま使いたいと考えているという。一方で、80%のユーザーはカーバチュアのようなサードパーティの保守サービスを知らない。ケルビン氏は、「メーカー保守は5年というところが多いが、ガートナーの調査によると実際の耐用年数は7~10年だ。Catalyst 3750などはMTBFで33年を謳っている。ここにギャップがある」と指摘する。
また、ソフトウェアに関しても迷信があるという。通常メーカー保守契約にはソフトウェアのアップデートやソフトウェアサポート、ハードウェアリプレースなどが含まれている。しかし、シスコのソフトウェアであるIOSでは、基本機能を提供する「IP Base」が無償提供されているため、メーカー保守契約なしでもアップデートできる。これはポリシーでも明記されているという。
「全体の40~60%はベーシックな機能しか使っていないので、IP Baseで十分という企業は多い。パフォーマンス面で問題ない、使用率がそれほど高くない、なによりメーカー保守の終了のみが廃棄の理由になっているという話であれば、NetSureを検討していただきたい」とケルビン氏は語る。
ネットワーク機器のリフレッシュはもっと減らせる
歴史が長いだけに、グローバルでの実績は高い。1200台のCatalyst 6500を世界の拠点に展開する大手金融機関は、カーバチュアの保守サービスを受け、機器の寿命を延命。設備投資費を確保した3年後に、Cisco Nexusへの更新を実現したという。また、北米のスーパーマーケットでは4000店舗に設置されたネットワーク機器をNetSureに移行したほか、カナダの1000店舗ではあえて1世代前の機器をカーバチュアから購入。ともに億単位のコスト削減を実現しているという。
日本ではすでに7年間ビジネスを提供しており、600社以上の顧客を獲得している。インドや中国に先んじて、日本市場の重視を掲げており、投資も拡大。現在、150箇所の在庫・物流センターを利用できる状態にあり、基本的には国内全土をカバーしているという。フィールドサポートも4時間での対応を実現しているほか、平日での日本語サポートも提供。再生品に対するバイアスさえなければ、利用に際しての障壁はきわめて低い。
ケルビン氏は、「ある日本のお客様は、今まで40年間で機器を10回もリフレッシュしてきたが、カーバチュアを使えば4回で済んだかもしれないとおっしゃっていた。多くの企業はITコストの8割を運用に使っているが、今後は運用コストを削減し、イノベーション分野に効率的に配分してほしい」と語る。
2014年11月には米CSUインダストリーを買収し、サーバーに関してもサードパーティ保守を開始している。今後は、日本語サポートの拡充やパートナーとの提携を本格化させていく予定となっている。