ハイパーコンバージドシステムも安心で使える「FOHCE」
このようにコンバージドシステムの分野で数多くの実績を挙げてきた横河レンタ・リースだが、「構築や運用において、IT部門にプラスになることをサービスメニュー化し、最近では事例も増えてきた」(屋代氏)とのことで、HP ConvergedSystem 200を核に据えた新たなパッケージ「FOHCE」を立ち上げる。
FOHCEはFlexOperations-Hyper Converged Editionの略で、HP StoreVirtualやEVO:RAILを搭載したHP ConvergedSystem 200に加え、FlexOperations用の管理サーバー、スイッチ、初期構築、FlexOperationsのソフトウェアなどをパッケージで提供している。「実際、HP ConvergedSystem 200の電源を入れてから仮想化基盤を作るまでは、15分間で実現できました。とはいえ、ラッキングやケーブリング、セッティングのためのヒアリングは必要ですし、ハードウェア構成やセットアップの準備などもさせていただきます」(松尾氏)とのことで、ユーザーに納得感を持ってもらえるパッケージになっている。
スタンダードモデルのほか、HPのOpenStackディストリビューションである「Helion CloudSystem」を統合したモデルも用意しており、業界標準技術でのクラウド構築も可能になる。これらを組み上げた状態で納品し、インフラを意識させないで運用できるのが、FOHCEの大きな価値と言える。「中身としては仮想ストレージ上に仮想サーバーが立っているのですが、VMwareからはフラットに見えるんです。だから落とす順番を間違えないよう、FlexOperationsで正常な操作を自動化したり、オフィス向けのUPSとの連携も考慮されています」(松尾氏)とのことで、SIerとしてのノウハウがベンダー製品の運用の課題をきちんとカバーしているわけだ。
ここでのポイントは、SIS(Support Intensive Service)と呼ばれるトータルサポートサービスが1年目に無償バンドルされる点だ。SISは横河レンタ・リースが構築したシステムにおいて、カスタマイズした部分や同社がサポートするHP以外の製品まで横断的に対応するサービスになる。「先ほどの千葉労災病院様の事例では20弱のアプリケーションベンダーがFlexOperationsの基盤を使っています。当然、サポート窓口は問題になるので、アプリケーションベンダーさんと協業し、SISで一括で切り分けるようにしています」と松尾氏は語る。
また、年に2回の定期メンテナンスを提供しているのも、SISの特徴の1つ。「以前のシステムは、いったん構築したらアップデートもせず、“塩漬け”されているのが普通でした。でも、今のアプリケーションはすべての環境で動作確認が行なわれているわけではないし、むしろ最新のパッチを当てた方が安定運用が確保されるんです」とのことで、健康診断のように半年に1回アップデートを施し、リフレッシュを行なっている。こうした点も、横河レンタ・リースのシステムで障害や性能劣化が少ない理由だという。
横河レンタ・リースにとって、ハイパーコンバージドシステムとはどんな存在なのだろうか? 松尾氏は、「やはり専用ハードウェアならではの集積密度が大きい。DLサーバーを束ねるより、スペースも電力も小さくなっている点が大きい」と語る。一方で、横河レンタ・リース 執行役員 システム事業本部 エンジニアリング事業本部長の本間英俊氏は、製品が説明しやすくなったと指摘する。「サーバー3台束ねて、仮想ストレージができますと説明しても、お客様に理解されなかった。でも、ハイパーコンバージドシステムという名前が与えられたことで、製品がイメージでき、安心してお使いいただけるようになった」という。
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