5月10日、横河レンタ・リースは計測器を管理する部門向けのクラウド型ツール「MyAssets」の提供を開始した。台帳や所在の機器管理、機能や精度を確認する校正作業や修理の実績管理、校正の依頼管理、校正期限や契約満了などのアラーム管理など、基本機能は無料。また、社内の共有利用を効率化する各種予約機能は有料(月額5万円)で提供される。
あわせて管理業務の一部を代行するBPO(Business Process Outsourcing)サービスである「MyAssetsアシスタンス」も提供する。こちらでは導入時の棚卸しやバーコードの付与、MyAssetsへの機器登録のほか、追加機器やスペック情報の登録、現地照合サービスなどをMyAssetsアシスタンスとして提供する。
レンタル事業だけでは計測器の管理の課題は解決できなかった
今年の1月で創業30周年を迎える横河レンタ・リースは、計測器とIT機器のレンタル事業、システムインテグレーションをメインに手がけており、取引先の企業は約4000社に上る。
このうち創業時の事業である計測器レンタル事業においては、計測器をタイムリーにレンタルすることで、使った分だけコストを負担できるという価値をユーザーに提供してきた。横河レンタ・リース代表取締役社長の金川裕一氏は、同社が30年続けてきたレンタル事業自体が「モノのコト化」にあたると述べ、高い経験と実績を積んできたことをアピールした。
もとより、こうした計測器は技術者にとって必須のツールで、最近でも「5Gの通信、自動運転を担うカーエレクトロニクス、マイクロ波の通信など、計測器が担う役割は増えている」(金川氏)と市場のニーズは高い。しかし、コストや運用という観点で大きな課題を抱えているのも事実。金川氏は、「保有している計測器の老朽化や低い稼働率、非効率な投資、高価な所有コスト、重い設備管理業務などの課題が山積しており、現場での競争力が大きく削がれてきた」と語る。国内の計測器市場もすでに頭打ちになり、製品の差別化も難しい状態になってきた現在、所有から利用へという流れとなるレンタル事業は時代の潮流になっているという。
しかし、同社が長らく手がけてきたレンタル事業だけでは、計測器の管理という課題は解消しなかった。計測器の所在や利用状況が把握できない、台帳管理がバラバラ、校正期日の管理や手配業務が煩雑などという課題だ。計測器の場合、機能や精度を確認する校正作業が管理対象すべてで必要になるほか、備品扱いの計測器が管理台帳から漏れることも多いという。こうした課題に対して、横河レンタ・リースは資産管理ソリューションを一部の顧客に提供していたが、今回はこれをMyAssetsとしてツール化し、計測器の運用管理を容易にしていく。
MyAssetsを皮切りに、同社は計測器の管理や活用、調達までをトータルで支援する体制を構築し、「ワンストップ・マルチベンダ・クロスカテゴリ」のコンセプトを推進していく。これにあわせてMyAssetsも計測器の管理サービスから、収集したデータを元にし、計測器を販売するパートナーの営業を支援するサービスに育て、遠からず多言語対応とグローバルへの進出も進めていくという。