「WPC 2015」で新たなパートナープログラム発表、一気にビジネスの加速を図る
パートナー施策拡充で新段階へ、マイクロソフトのクラウド戦略
2015年07月22日 09時00分更新
競合他社からクラウドパートナーをリクルート、拡大へ
米マイクロソフトのワールドワイドパートナーグループ パートナープロフィッタビリティ&コンピートのブレント・コンベスト ディレクターは、「マイクロソフトのクラウドパートナー戦略のひとつに競合他社からのリクルートがある」とする。
現在、全世界で7万5000社のクラウドパートナーを持つが、「かなりの勢いで、AmazonやGoogle、Salesforce.comからのパートナーが増えている」とする。
あるパートナーでは、Salesforce.comのパートナーを続けながらOffice 365の扱いを開始したが、その後、Dynamics CRM Onlineの方が親和性の観点などから使いやすいと判断。いまでは完全に、マイクロソフトのクラウドサービスの取り扱いにシフトしているという。
「調査会社の試算によると、マイクロソフトのパートナープログラムには、年間32万5000ドル相当の価値があるとされる。マイクロソフトには、クラウドサービスの機能性の高さだけでなく、パートナー制度という強みがある。これによって、パートナーは長期的に持続可能な成長ができるようになる」(コンベスト氏)
今回、参加したあるパートナー企業は、「AWSやGoogleには、明確なパートナー戦略がない。マイクロソフトと手を組むことが、クラウドビジネスを加速するための基盤になると感じた」と漏らした。
実は、WPC 2015の会場においても、AmazonやGoogle、Salesforce.comのパートナー企業の経営トップの顔を数多く見ることができた。
富士ソフト、4年間でクラウド事業を「10倍」に拡大し表彰
WPC 2015では、各国ごとに優秀な業績を収めたパートナーに対する「Country Partner of the Year」の表彰が行われ、日本からは富士ソフトが受賞した。
富士ソフトは、ワークスタイルとビジネスの変革を直感的に経験することができる「マイクロソフトソリューション&クラウドセンター」を設置。同センターを通じて、積極的にOffice 365のメリットを顧客に説明、販売することで、2011年からの4年間でクラウドの売り上げを10倍に伸ばした実績が表彰された。
富士ソフト MS事業部の森本真里事業部長は、「5年前にクラウドビジネスを開始したときには、まだマイクロソフトの体制が整っておらず、マイクロソフト以外のクラウドサービスを取り扱ってきた経緯がある。富士ソフトは、独立系として、様々なメニューのなかから最適なサービスを提供するのが基本姿勢。Office 365では、Notesやサイボウズなどからのリプレースが多い。数年前は、Office 365 E1の導入が多かったが、いまはOffice 365 E3が増えている。日本にデータセンターが設置されたこともプラスになっている。いまは、クラウドビジネス全体の3割弱がマイクロソフト製品。今後は、CSPとしてAzureのビジネスにも取り組む」と語る。
また、「社内ではGoogle Appsを利用しているが、Office 365を自社活用していく方向で検討、準備を進めている」と述べた。
もともとオンプレミス市場において日本マイクロソフトと強い結びつきがあった富士ソフトだが、クラウド時代においても、その関係が再び構築されつつある。
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