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クラウド普及の第二幕で顕在化しつつあるSIerの産みの苦しみ

アカウント販売からクラウドニッチに舵を切るグルージェント

2015年07月17日 10時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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サイオスグループのクラウドビジネス全般を担っているグルージェント。実績の高いGoogle Appsのアカウント販売から、付加価値的なサービスやサードパーティ製品の販売に大きく舵を切っている現状について、グルージェントCEOの鈴木都木丸氏、ビジネス開発部 統括部マネージャー 吉岡大介氏に聞いた。

グルージェント ビジネス開発部 統括部マネージャー 吉岡大介氏、グルージェント CEOの鈴木都木丸氏

Google Appsで100万アカウント以上の実績を誇る

 グルージェントはサイオステクノロジーの子会社として、クラウド系の開発のほか、Google AppsやSalesforce.comのリセール、サードパーティ製品の販売を手がけている。もともと同社が強みにしているのが、日本でのGoogle Appsの導入。数万人規模の大規模なユーザーを擁する文教系の事例をはじめ、すでに100万アカウント以上の実績を誇る。

 また、Google Appsへの移行を促進すべく、「Gluegent Apps」のブランドで自社開発の共有アドレス帳、グループスケジューラー、ワークフローなどをあわせて展開している。Googleサイト向けのガジェットや今では珍しい携帯電話向けのアプリなども用意。「既存のグループウェアからGoogle Appsへ移行するお客様から要望される機能をグルージェントで追加している」(吉岡大介氏)という。

 このようにGoogle Apps中心にビジネスを展開してきたグルージェントだが、今後パブリッククラウド向けソリューションを幅広く展開するクラウドインテグレーターへと大きく舵を切っていくという。具体的にはOffice 365やSalesforce.com、Cybozu.comなどGoogle Apps以外のパブリッククラウドへの対応、サードパーティ製品の販売などを積極的に進めるという。

パブリッククラウド向けのソリューションを幅広く提供する

キャズム越えしたはずのGoogle Appsが伸び悩む理由

 この背景にはGoogle Appsビジネスの限界がある。長らくGoogle Appsのアカウント販売をメインに手がけてきた同社だが、Google Appsの場合、もとが安価なのに加え、SaaSであるが故に付加価値が付けにくい。そのため、ボリュームが稼げないと、利幅が薄いという課題が以前からあった。「Google Appsが素晴らしいのは間違いない。でも、営業コストもかかるし、現在の円安を考えるとアカウント販売だけでは厳しい」と鈴木氏は苦渋をにじませる。これに対して同社はソフトバンクと提携し、アカウント販売よりもGluegent Appsなどの周辺ツールの販売に注力することにした。これが2013年の話だ。

 昨年からはテクニカルパートナープログラムが提供されるようになり、ようやくGoogleもパートナー販売やエコシステムの構築に乗り出した。このままGoogle Appsの利用が加速し、普及期に達すれば、グルージェントのビジネスはスケールするはずだが、現実は異なっているようだ。鈴木氏は「マーケットの理屈から考えれば、キャズムを超えることで、アーリーマジョリティが入ってきて、右肩上がりになるはず。しかし、実際にはそうなっていない。そこをマイクロソフトが穫り始めている」と指摘する。

 バズワードだったクラウドの認知度が進み、コストや信頼性、セキュリティの高さといったメリットが市場で醸成されつつある。こうした中、オンプレミスからの置き換え先をクラウド側に用意したマイクロソフトが、市場での存在感を増しつつあるというのが、鈴木氏の見立て。そのため、Google Appsに依存したビジネスを変換し、そもそもクラウドを導入するユーザーの多くが課題に感じている部分をカバーしていくというのが、同社の戦略になう。

シングルサインオン、サードパーティ製品で付加価値を追求

 こうした同社の戦略転換を象徴するプロダクトが、シングルサインオンやアクセス制御を提供する「Glugent Gate」だ。自社開発のGluegent GateではSAMLを使ったGoogle AppsやOffice 365などでのシングルサインオン、統合的なID管理、Active Directory等のID連携をクロスデバイス環境で実現する。

シングルサインオン、統合的なID管理、Active Directory等のID連携をクロスデバイス環境で実現するGlugent Gate

 また、CloudLockやBackupifyなどパブリッククラウド向けのサードパーティ製品も国内で展開する。CloudLockは、パブリッククラウドの情報漏えい対策を提供する製品で、コンプライアンス対応や暗号化、サードパーティのアプリケーションからのアクセス監視、ソーシャルデータの漏えい対策などを提供する。「Google+などにポストした情報を監視して、アラートをあげたり、削除できるサービス」(吉岡氏)とのことで、1つのポリシーで複数のクラウドのセキュリティをまとめて管理できる点が高く評価されているという。

複数のクラウドへのセキュリティを単一のポリシーで管理できるCloudLock

 一方、Backupifyはクラウド上のデータをバックアップし、ユーザー自身が復旧できるというサービス。「クラウドベンダーがバックアップとっているからバックアップとらなくて大丈夫というお客様もいますが、データ消失の理由としてはお客様の過失という場合も多い。でも、Backupifyがあれば、ユーザーが自分でデータを戻せる」(吉岡氏)とのこと。オーナーとなっているファイルが全部削除されてしまうため、多くの会社が苦慮している退職者のデータ削除に関しても、Backupifyであれば復元が可能だという。

クラウドニッチには確実に需要がある

 とはいえ、現状これらのサードパーティ製品の導入は、メールやオフィスアプリの次のキラーアプリとなるクラウドストレージの普及が必須条件になる。「海外ではクラウドストレージを普通に使っており、銀行での利用事例すらある。一方、日本ではセキュリティリスクの懸念でなかなか導入が進まない状況。ユーザーであっても、社内向けのファイルサーバーとしてだけ使っている」(吉岡氏)とのこと。クラウドストレージが本来メリットとしている外部向けの利用がなかなか進まないのも日本での課題だ。

 もう1つの課題は価格だ。訴訟社会の米国では、情報漏えいに対するペナルティが明確に存在しており、これらのリスクを防ぐためのCloudLockなどの製品は価格面での納得感がある。また、クラウドストレージ専業のDropbox、BOXなどであれば、付加価値として付けやすい。しかし、多くの機能を持ち込みつつ、安価なGoogle Appsの場合、サードパーティ製品がかなり高く見えてしまうという問題があるという。

 こうした課題がありながらも、グルージェントはなぜ付加価値の追求に進むのか? 鈴木氏は「顧客のニーズがあるにも関わらず、市場規模から考えてクラウドベンダーが提供しない“クラウドニッチ”という分野が確実にある」と語る。クラウドベンダーが機能拡充で埋めないところを、自社開発やサードパーティの製品で補い、ユーザーのクラウド利用を促進していくのが、グルージェントの戦略だ。「CloudLockはグローバルで600万ID、Backupifyも9000社の導入がある。日本ではまだこうした製品は知名度がないが、クラウドストレージの利用も含めて、積極的に推進していきたい」と吉岡氏は語る。

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