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よりアグレッシブに、情報の「可用性」と「洞察」実現目指す―APACJ担当幹部に聞く

シマンテック分社で誕生、“新生ベリタス”はこうなる

2015年07月13日 12時15分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp 写真● 曽根田元

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2016年1月の完全分社化に向けたスケジュールは?

 昨年(2014年)10月に分社計画を発表したシマンテック。「情報セキュリティ」と「情報マネジメント」という事業の2本柱のうち、情報マネジメント事業を担う新会社がベリタステクノロジーズ(以下、ベリタス)である。

ベリタス アジア太平洋/日本地域担当 営業責任者、クリス・リン(Chris Lin)氏。これまでもグレーターチャイナ地域(大中華圏)担当VPを務めており、日本にも100回以上足を運んできたという

 「分社に向けた作業の90%は完了している」と、今年4月からベリタスのアジア太平洋/日本地域担当 営業責任者を務めるクリス・リン氏は語る。この言葉どおり、すでにシマンテック内部では、シマンテック/ベリタスの経営や組織の分割が進められている。10月までにはこうした分割を終え、来年(2016年)1月には完全に分社化、新会社がスタートする。

 2004年に合併した両社があらためて分社に向かう理由、分社後の“新生ベリタス”が何を目指すのか、顧客にはどのようなメリットがもたらされるのか。リン氏に聞いた。

ベリタステクノロジーズ発足に向けたロードマップ(同社資料より、以下同様)。2016年1月には情報マネジメント専業の企業としてスタートする

今、あらためて「Veritas」を新会社化する狙いは?

 「Symantec NetBackup」「Symantec Backup Exec」など、現在の同社情報マネジメント製品からVeritasブランドは消えているが、市場におけるブランド浸透度は依然として高い。それでもなお分社が必要な理由があるのだろうか。

2015年度、シマンテックの情報マネジメント事業の売上規模は25億ドルだった。この事業がベリタステクノロジーズとして分社される

 リン氏は、その背景には、情報セキュリティ/情報マネジメントの各市場における近年の変化があると説明する。両社が合併した2004年時点と比べて、どちらの市場とも規模が飛躍的に拡大しており、顧客のニーズも多様化している。

 「したがって、より(情報マネジメントに)フォーカスを強め、顧客の求めるソリューションをアグレッシブに展開できるような体制をとる。それが分社の大きな目的だ」(リン氏)

 たとえば、これまでシマンテックで両分野を手がけていたフィールド営業/サポートの人員も、これからは“情報マネジメント専業”の人員となる。世界3000人規模のベリタス営業/サポート人員によって、より専門性の高い提案やサービスを図っていくという。

 また、新たな組織として、プリセールスやコンサルタント、アーキテクトの人材を有するTSS(Technical Sales & Support)も立ち上げた。「これにより、世界各地にベストプラクティスを展開していくことができる」(リン氏)。

 さらに製品開発において、リリースの迅速化と品質向上を目的に「ベリタスではすでにアジャイル開発技法を採用している」と語った。これまでは年1回だった主要製品の新バージョンリリースも、50~100日に1回とペースアップし、顧客からの要望に基づく機能拡張や新OSへの対応を早めていくとした。

新生ベリタスがフォーカスするテーマとは?

 分社後の新生ベリタスがフォーカスするのは、「Information Availability(情報の可用性)」と「Information Insight(情報に対する洞察力)」という2つのテーマだ。いずれも現在の顧客にとって大きな課題になっていると、リン氏は説明する。

新生ベリタスがフォーカスするのは「Information Availability(情報の可用性)」と「Information Insight(情報に対する洞察力)」

 近年、ビジネスにおける正しい意思決定を目的に、データ活用の重要性が高まっている。しかし他方で、企業や組織の抱えるデータの量は急増しており、その増加ペースは今後、さらに加速することが予想されている。データ増大のペースに、ストレージの物理キャパシティ拡張やIT予算の増額が追いつかない企業もあるという。ストレージシステムが大規模化すれば、その複雑さも問題となる。

 したがって、まずは顧客が必要とするデータ/情報がどこに保存されていても、いつでも容易に取り出せるという「可用性」が求められる。さらに、保存されているデータ/情報から、不要なものを削除可能にしてストレージコストの低減につなげる「洞察力」も必要になってくる。

 「データ増大に悩むある顧客から相談を受け、ベリタスが調査したところ、保持データのうち70%が2年間だれもアクセスしていないデータだった。最近では、ストレージに保存したデータは一切削除しない、ひたすら追加し続けるという企業も多いが、1ペタバイトのデータを保持するためには、400~500万ドルの年間コストがかかるという。保持する必要のないデータを適切に判断、削除できればストレージコストが適正化できる」(リン氏)

 またリン氏は「顧客が本来必要とするのはデータではなく『情報(Information)』である」と強調し、単なるビット列(データ)ではなく意味を持つ「情報」として扱うことで、必要なときにすぐ探し出せる可用性や、要/不要の判断などが可能になる洞察力が実現すると説明した。

 「他社製品の場合、『情報』のマネジメントという観点でできることは非常に限られている。Information Availability、Information Insightという部分で、現在の市場でベリタスに追随できるベンダーはないと認識している」(リン氏)

5つの新製品/新バージョン発表、今後のリリースは?

 ベリタスでは7月10日、5つの新製品/アップデートをリリースした。「いずれもInformation Availability、Information Insightに関わるものだ」(リン氏)。たとえば旗艦バックアップ製品の最新版である「NetBackup 7.7」では、クラウドストレージとの連携を大幅に高速化している(関連記事)

 新製品である「Veritas Infoscale」は、物理/仮想環境における多層型アプリケーションの可用性維持と、SDS(ソフトウェア定義ストレージ)機能をセットで提供する。日本では初ローンチとなる「Veritas Data Insight 5.0」は、非構造化データの状況を可視化し、オンプレミスストレージと「Box」クラウドストレージ全体 に対してアクセス制御や統合管理を実現し、企業ガバナンスを支援する。

NetBackup新版、InfoScale、Data Insightの各カバー領域(Data Insightは今年度リリース予定)

 同様に、今年度リリース予定の製品/サービスとして、複雑なマルチベンダー環境のサービス継続性(RTP/RPO)を可視化、また災害対策を自動化する「Veritas Resilliency Platform」、NetBackupからファイルのメタデータを収集し全サイトのストレージ使用状況を可視化する「Veritas Information Map」も発表されている。

 「ベリタスのすべての製品ポートフォリオについて、これから5四半期の間、毎四半期ごとに新バージョンや新製品のリリースを行っていく。新生ベリタスではアグレッシブに、正しい製品を顧客に提供していく方針だ」(リン氏)

ベリタスの製品戦略まとめ。ベリタス製品全体の包括的アーキテクチャ構築も狙っている

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