ティントリジャパンは6月4日、同社の仮想化環境専用ストレージ「Tintri VMstore」の最新版OSである「Tintri OS 3.2」を発表した。個々の仮想マシンのQoS(IOPSの上限値/下限値)が設定可能になったほか、新オプションとして、柔軟かつ迅速なVM単位のコピーデータ管理を実現する「SyncVM」の販売も開始した。
ティントリのTintri VMstoreは、VMware vSphere、Microsoft Hyper-V、Red Hat Enterprise Virtualization(Linux KVM)の各仮想化環境に特化したストレージ製品。汎用ストレージのように「LUN」や「ボリューム」の単位ではなく、「仮想マシン(VM)」や「仮想ディスク(vDisk)」単位で運用管理ができるため、仮想化環境におけるストレージ運用の複雑さや難しさが大幅に軽減される。
また、フラッシュドライブ(SSD)搭載による高いパフォーマンス、重複排除/圧縮による高い実効容量などの特徴もある。
最新版OSで追加された「VMパフォーマンス」機能は、これまで自動調整のみだった各VMのQoSを、GUIを介して手作業でも設定可能にするもの。予想以上に負荷の高いVMの「IOPS上限値」を設定して他のVMのパフォーマンスへの悪影響を防いだり、逆に高いパフォーマンスを必要とするミッションクリティカルなVMの「IOPS下限値」を設定して安定稼働を保証したりすることができるようになる。
また、クラウドサービスプロバイダーがTintri VMstoreを導入する場合は、この機能でVMごとにIOPS上限値/下限値を設定することにより、エンドユーザーに対するサービスレベルが保証できる。
そのほかTintri OS 3.2では、Hyper-V対応の拡張、マルチテナンシーへの対応、DR/BCPのための1分間隔でのレプリケーション(1-minute RPO)対応などの機能強化が図られている。
スナップショット技術で柔軟なデータ管理が可能に「SyncVM」
新オプションの「SyncVM」は、スナップショット技術を用いて柔軟なデータ管理を可能にするものだ。主に2つの機能が提供される。
1つめの「タイムトラベルVMリカバリー」機能は、過去に取得したスナップショットのバージョン間を前後に移動して選択し、VMをロールバック/ロールフォワードできるもの。ロールバック先時点から見て“未来”の時点のスナップショットもすべて保持されるので、任意の時点に何度でもリカバリーできる。
もう1つ、本番稼働しているVMのスナップショットから、vDisk単位で開発環境やテスト環境など別のVMにデータを瞬時に「同期」できる機能も備える。これにより、たとえば本番環境の最新データセットを用いて開発やテストを進めることが可能となり、工程の短縮につながる。
創業時からの“夢”を実現したリリース、「第2章が始まる」
説明会で挨拶したティントリジャパン社長の河野通明氏は、Tintri OS 3.2により「仮想環境専用ストレージはこうあるべきだ、という理想の姿が完成したと自負している」と語った。また米ティントリ テクノロジー担当VPのレックス・ウォルターズ氏も、「今回は2つの大きな機能が追加されたが、いずれも7年前の創業時から考えていたものだ」と、今回のOS新バージョンがひとつの区切りとなることを説明した。
「今回のリリースは、ティントリにおける“第一章”の最後のページだ。明日からは“第二章”が始まる」(河野氏)
その“第二章”の戦略について、河野氏は「詳しくはまた9月に発表する」と前置きしつつ、「(ティントリの創業から)この間、仮想化マーケットは変化しており、それに適合していく。また、現在実装している機能をさらに洗練させていきたい」と述べた。従来は仮想化の対象とならなかったミッションクリティカルなアプリケーション、データマイニングのアプリケーションなども仮想化されるようになっており、「仮想化専用ストレージベンダーとして、そうした用途に適合していくことがわれわれの役割だ」としている。