とにかく全力でAPIを提供し、パートナーから操作できるように
強力なデータセンターとクラウドの基盤を持つNTTコミュニケーションズだが、パートナー向けにはどのような施策が用意されているのだろうか?
まずはクラウドサービスのOEM提供が挙げられる。ホワイトラベル機能により、エンドユーザー向けのポータルもOEM先のロゴやサービス名称で提供することが可能。また、チケットシステムやビリングレポート、サービス管理、アカウント管理、ユーザー管理などの機能を提供するパートナー向けの管理ポータルも提供するという。
特に注力しているのがAPIの整備だ。「とにかく申し込みのやりとり前提でなにかやるのはやめよう」(田中氏)ということで、ありとあらゆるものにAPIを用意するのが同社の方向性だという。Enterprise Cloudはコンピュート周りを中心に、そしてCloud nはほぼすべての機能でAPIを用意。今冬の新クラウド基盤にもフルAPIを提供するという。「人手を介したやりとりではなく、純粋な機械としてわれわれの基盤をパートナー様からAPI経由で操作していただけるようにする」と田中氏はアピールする。
田中氏は、「NTTコミュニケーションズはグローバルクラウド基盤にこれからも投資を続けていく。SDNをはじめとした最新の技術により、便利で使いやすい基盤を提供していきたいと思いますので、パートナー様が自らのビジネスを展開する際にはぜひ弊社のクラウドをお使いいただきたい。全力でサポートさせていただく」とパートナーにアピールし、講演を締めた。
4年間で40%増と拡大するパートナービジネス
こうしたNTTコミュニケーションズのパートナービジネスは4年間で40%増という勢いで拡大しているという。田中氏の後に登壇したNTTコミュニケーションズ 第五営業本部長 楠木健氏は、聴衆のパートナーに謝辞を述べた後、プライベートクラウドの市場が5年間で約4倍に拡大するというIDC Japanの調査を披露。「特にレイヤーが上の部分、マイグレーション、SIなどはわれわれだけでは実現できない。パートナーと組んでしっかりやっていきたい」と説明した。
需要の高いパートナーリングモデルとしては、アプリケーションやシステムの基盤としてNTTコミュニケーションズのクラウドを採用する例がある。また、オンプレミスやコロケーションとのハイブリッドクラウド、さらにグローバルでのシステム連携などが挙げられるという。「国内では自前のシステムやデータセンターを採用している会社が、グローバルに出る際に弊社のクラウドをご利用いただく」(楠木氏)といった例だ。実際、パートナーとの協業の成果も上がってきており、講演では複数のパートナー事例が披露された。
まずは自社サービスを海外展開するにあたって、NTTコミュニケーションズのクラウドサービスを利用しているあるSIerの事例だ。「製造業のお客様などが海外展開するので、SIerとしても外に出て行きたいが、海外に投資して回収するのは敷居が高い。1つ1つの案件で収支を見るSIのビジネスモデルだと、なかなかあわない」ということで、NTTコミュニケーションズのクラウドをSIerのブランドで提供しているという。逆に、自社のERPを日本やAPACに展開する際、NTTコミュニケーションズのクラウドを採用した外資系企業の事例もある。欧米企業のAPAC進出においては、アジア圏に強いNTTコミュニケーションズが高い競争力を持つという。
その他、ビルマネジメントのIoT/M2M基盤としての利用事例、複雑な店舗向けシステムをコロケーションとクラウドで提供しているハイブリッドな事例、データ転送料無料という特徴を活用したコンテンツ配信事業者の事例などがあるという。最近では、NTTコミュニケーションズのサービスを採用したアビームコンサルティングの提携がある。
NTTコミュニケーションズはこうしたパートナービジネスを促進すべく、「Partner Solution Program(PSP)」と呼ばれるパートナープログラムを提供。NTTコミュニケーションズのリードを基にしたセールスサポートのほか、テクニカルサポートやトレーニングに関しても拡充。年に100回規模となる定期的なパートナー勉強会を開催するほか、技術者向けの設計支援・サポートも実施する。特に2015年度には初の「PSP Award 2015」を開催する予定になっており、クラウドやパッケージ、ワークスタイル変革、コラボレーションなどの分野での表彰を行なうという。
「ぜひNTTコミュニケーションズの基盤を利用していただき、2015年もパートナービジネスをますます成長させていただきたい。新しいコラボレーションをグローバルに作って参りたいと思いますので、引き続きよろしくおねがいします」と楠木氏は締めた。