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業界人の《ことば》から 第141回

Sunより高い金額で買収されたコンカーは“経費精算”に注目

2015年04月28日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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サン・マイクロシステムズより高かった買収金額

 コンカーは、米Concur Technologies, Inc.の日本法人だ。親会社の米Concurは、昨年、独SAPに買収され、米Concurの創業者であるスティーブ・シンCEOは、SAPのエグゼクティブボードメンバーに就任したものの、現在も、米Concurの会長兼CEOに就き、組織および製品、ブランドは独立した体制となっている。日本法人のコンカーも、SAPジャパンとは別の組織として、本社も異なる場所に置いている。

コンカーの企業情報

 同社によると、独SAPによる買収金額は、9000億円規模となっており、IT業界におけるこれまでの買収事案では第9位の買収金額になるという。

買収額は9000億円規模、SAPが過去に買収したどの企業よりも大きく、IT企業により大型買収となる。

 「大型買収案件といわれたオラクルによるサン・マイクロシステムズの買収金額を12%も上回っていた」(三村社長)という買収案件だった。

 SAPは、クラウドビジネスの遅れが指摘されていたが、Travel & Expense市場において存在感を発揮する米Concurを買収したことで、クラウド市場におけるポジションを固めはじめている。SAPにとっては、Concurの買収は、クラウド事業の拡大を打ち出す上でも必要な企業だったといえる。

 Concur Travel & Expenseは、大手企業を中心に、全世界150ヵ国、3万社、2700万人のユーザーが利用しているクラウドサービスで、フォーチュン500の61%以上の企業が採用。処理ボリュームは、年間4兆円に達しているという。

国内においても導入企業は増え続けている。

 日本でも、現在、400社以上が利用。ファーストリテイリング、三菱重工、双日などの大手企業が導入している。

 今回の新サービスは、日本独自のものとしてスタート。同社にとっても、初の間接販売モデルになる。

 SAPの傘下に入ったことで資金力が増強されたのは確か。そして、NTTデータグループとの連携によって、新たな広がりも期待できる。日本におけるコンカーのビジネスは新たなフェーズに入ったようだ。

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